海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン7第6話では、ジェイが「Titan Award」という表彰のための動画づくりに取り組みます。一度作ったものを作り直したり、カメラの前で言い直したりと、やり直しをめぐる場面がいくつも出てきます。ミッチェルが部屋の小物の手直しを提案する場面もあります。
「最初から作り直す」と「もう一度やる」は、英語ではどう言い分けるのか。start over と do it again を軸に、見せ方の手直しを提案する表現もあわせて見ていきます。
「I’m starting over」は最初から作り直す宣言
ジェイの動画はひとまず形になっていましたが、ジェイ自身はそれに満足せず、こう言い出します。
Jay: I’m starting over.
(最初から作り直す。)Gloria: Why?
(どうして?)Jay: You guys were bored, and the video obviously doesn’t capture my essence.
(お前たち、退屈してただろ。それに、この動画じゃ明らかに俺の本質が伝わってない。)Modern Family Season7 Episode6 (The More You Ignore Me)
start over は「最初からやり直す」という意味で、途中まで進めたものをいったん脇に置き、振り出しに戻るイメージの言い方です。ジェイのように I’m starting over. と進行形にすると、「これから作り直すことにした」と、すでに決めたことを告げる響きになります。
ジェイが挙げた理由は二つです。一つは You guys were bored(みんな退屈していた)という見る側の反応、もう一つは doesn’t capture my essence という自分の側の不満です。capture は「(特徴や雰囲気を)写し取る、うまく表す」という動詞で、capture the moment(その瞬間を捉える)のように写真や映像の話でもよく使われます。essence は「本質、らしさ」で、「自分らしさが出ていない」という言い分です。
似た言い方に start from scratch(一から始める)があり、こちらは「何もないところから」という意味合いがより強く出ます。部分的な修正ではなく、全体を作り直すと伝えたいときに、この二つが候補に挙がります。
「Maybe you should lose the ~」で手直しを提案する
別の場面では、ミッチェルを相手に、ジェイが動画の狙いを説明します。ミッチェルはそれを聞いて、部屋の小物について一言添えます。
Jay: It’s the video for my Titan Award.
(俺の「Titan Award」用の動画だ。)Jay: I told you about it.
(前に話しただろ。)Jay: I’m trying to project strength and confidence.
(力強さと自信を打ち出そうとしてるんだ。)Mitchell: Maybe you should lose the Garfield “I hate Mondays” mug on the mantel.
(だったら、暖炉の上のガーフィールドの「月曜日は嫌い」マグは片づけたほうがいいかもね。)Jay: Good catch.
(よく気づいたな。)Mitchell: I’ve waited my whole life to hear you say those words.
(そのひと言を聞くのを、僕は一生ずっと待ってたんだよ。)Modern Family Season7 Episode6 (The More You Ignore Me)
project は「投影する」が基本の意味で、ここでは「(印象や雰囲気を)外に打ち出す」という使い方です。project confidence は、面接やプレゼンで「自信があるように見せる」という場面でも使われます。
ミッチェルの Maybe you should ~ は「〜したほうがいいかも」と、押しつけずに提案する形です。lose はここでは「なくす」ではなく、「(余計なものを)外す、片づける」という口語的な意味で使われています。Lose the hat.(その帽子、取ったら?)のように、身なりや見た目の手直しを勧めるときにも出てくる言い方です。
Good catch. は、相手の指摘やミスの発見に対して「よく気づいたね」と返す一言です。ミッチェルはそれを受けて I’ve waited my whole life ~ と返します。父親からのほめ言葉を一生待っていた、という大げさな言い方で応じているのが分かります。
ここで直そうとしているのは、部屋の小物一つだけです。全体を作り直す start over とは違い、部分を手直しする場面と言えます。
「Let me do that again」はその場で言い直す
撮影の場面では、ジェイがカメラを前にして、動画の語りを試します。
Jay: What drives Jay Pritchett? A desire never to repeat himself.
(ジェイ・プリチェットを動かすものは何か? 同じことを二度と繰り返さないという思いだ。)Jay: Let me do that again.
(今のをもう一回やらせてくれ。)Jay: What drives Jay Pritchett? An Audi.
(ジェイ・プリチェットを動かすものは何か? アウディだ。)Modern Family Season7 Episode6 (The More You Ignore Me)
Let me do that again. の that は「今やったこと」を指し、直前の一回をもう一度やらせてほしいという申し出です。作品全体をやり直す start over に対して、do that again は「同じことをもう一度」という範囲の狭いやり直しです。「同じことを繰り返さない」と言った直後に「もう一回」と言い直しているところが、この場面の面白いところです。
言い直した後の What drives ~? の drive には、「(人を)突き動かす」と「(車を)運転する」の二つの意味があります。二度目の答えに車のブランド名を出すことで、その掛け言葉が成り立っています。
Let me ~ は「〜させて」と自分から申し出る形で、Let me try that again. や Let me rephrase that.(言い方を変えさせて)のように、言い直しを頼む場面で幅広く使えます。会議やプレゼンで自分の発言を訂正したいときにも、そのまま応用できます。
| 表現 | やり直す範囲 | 使う場面の例 |
|---|---|---|
| start over | 最初から全部 | 企画や作品を作り直す |
| start from scratch | 何もないところから | 案を白紙に戻す |
| do it again / do that again | 直前の一回 | 撮影や練習でもう一度 |
| redo | 作業や作ったもの | 書類や部屋を作り直す |
表のうち start from scratch と redo は劇中には出てきませんが、あわせて覚えておくと使い分けがしやすくなります。
まとめ|「最初から」と「もう一度」の言い分け
全体を作り直す start over、直前の一回を繰り返す do that again、部分を直す提案の Maybe you should lose ~。どこまでやり直すのかを言葉で区別すると、相手にも作業の範囲がはっきり伝わります。
『モダンファミリー』の家族のやりとりを観ながら、身近な場面で使える英語を少しずつ増やしていきましょう。
仕事の誘いに揺れるミッチェルの場面や、ファーマーズマーケットの屋台の英語は、同じ回のほかのコラムでも取り上げています。


コメント