海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回取り上げるのは、『ビッグバン★セオリー』シーズン9 第5話に登場する、言いにくいことを切り出す前置きの表現です。バリー・クリプキがエイミーに興味を示していると知らされるシェルドンの場面と、スチュアートが自分の問題に向き合う場面に、前置きの型が続けて登場します。
重い内容ほど、いきなり本題に入らずクッションを挟むのは日本語も英語も同じです。butの前に置かれる言葉の使い分けを、順番に見ていきます。
「I hate to say it, but」で気が進まない知らせを伝える
体育館の場面。シェルドンがエイミーとの破局を口にすると、クリプキは思わせぶりな反応を返します。その意味を測りかねたシェルドンに、レナードが見立てを告げます。
Leonard: Oh. I hate to say it, but it sounds like he’s interested in her.
(ああ。言いたくはないんだけど、彼は彼女に気があるみたいだよ。)TBBT Season9 Episode05
I hate to say it, but ~ は、「言いたくないんだけど」と自分の気が進まないことを先に示す前置きです。聞き手にとって嬉しくない知らせを、少しでも受け止めやすくする働きがあります。
受け入れがたいと反発するシェルドンに、レナードはさらに続けます。
Leonard: Oh, buddy, I get that you don’t like it, but it’s not really up to you.
(なあ、君が嫌なのは分かるよ。でも、それは君が決められることじゃないんだ。)TBBT Season9 Episode05
I get that ~, but … は、相手の気持ちをいったん受け止めてから本題に入る型です。it’s not up to you は「それは君が決めることではない」と決定権の所在を告げる言い回しで、butの前の一言が衝撃を和らげています。
「I should warn you」で忠告だと明示する
その後の場面で、レナードは今度はクリプキ本人に向かって、先回りの忠告を試みます。
Leonard: Listen, I should warn you that maybe asking Amy out isn’t a good idea.
(聞いて、忠告しておくべきだと思うんだけど、エイミーを誘うのはたぶんいい考えじゃないよ。)TBBT Season9 Episode05
I should warn you that ~ は、これから言うことが忠告だとあらかじめ宣言する前置きです。maybeやisn’t a good ideaという控えめな言い回しと組み合わさって、押し付けにならない形で注意を促しています。
この直後にシェルドンがクリプキへ声をかけ、レナードは「で、今から僕が言ったことのクレイジー版が始まるよ」と予告します。実際にシェルドンが選んだのは、前置きで和らげるどころか決闘を申し込むという斜め上の宣言でした。
同じ趣旨でも、クッションを挟むかどうかで伝わり方はまるで違う。2人の対比が、前置きの働きをそのまま見せてくれる場面です。
「Don’t be offended, but」で相手の身構えをほどく
コミックブックストアでは、女性のお客さんが来ない悩みを相談していたスチュアートが、思い切った切り出し方をします。
Stuart: All right, I’m not saying it’s true, but let’s, let’s consider for a moment that possibly I’m the problem.
(よし、本当だって言ってるわけじゃないよ。でも、ちょっと、ちょっとの間だけ、もしかしたら僕が問題なのかもって考えてみようか。)TBBT Season9 Episode05
I’m not saying it’s true, but let’s consider for a moment that ~ は、あくまで仮定の話だと限定してから踏み込む前置きです。自分にとって痛い可能性でも、仮の話という体裁なら口に出しやすくなります。
この切り出しにバーナデットは即座に応じ、エイミーも「言っていいのよ」と促します。続けてペニーが、前置き付きの直球を投げ込みます。
Penny: Okay. Don’t be offended, but, what went wrong with you?
(わかった。気を悪くしないでほしいんだけど、あなたの何がいけなかったの?)TBBT Season9 Episode05
Don’t be offended, but ~ は、「怒らないでね」と先にお願いしてから踏み込む前置きです。かなり率直な質問が続く合図でもあるため、butの後ろには相応に重い内容が来ることが分かります。
まとめ|butの前に置くクッションの使い分け
今回は、I hate to say it, but / I get that ~, but / I should warn you that ~ / Don’t be offended, but という、言いにくい内容の前に置く表現を見てきました。どれも、butの後ろに来る内容の重さに応じて選ばれるクッションです。
言いにくいことを抱えた登場人物たちの顔を思い浮かべながら、『ビッグバン★セオリー』の世界をこれからも楽しんでいきましょう。
この回の他のコラムやエピソードまとめをたどると、同じ場面の英語を別の角度から確認できます。


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