海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
何気なく口にした一言に、相手が思いのほか強く反応して、「あ、これは図星だったんだな」と気づく場面があります。
そんな瞬間を言い表す「strike a nerve」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン7第21話の後半、占いに過剰に反発するシェルドンを見たペニーが、すかさず茶化すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「strike a nerve」の意味とニュアンス
strike a nerve
意味:核心を突く、痛いところを突く、(意図せず)気に障ることを言う
直訳は「神経(nerve)を打つ(strike)」です。むき出しの神経に触れると鋭い痛みが走るように、相手の隠れた弱点や感情の核心に触れて、強い反応を引き起こすことを表します。
この表現の面白いところは、良くも悪くも「深く刺さる」反応を指せる点です。相手の触れられたくない部分を突いて気まずくさせる場合にも使えますし、スピーチや作品が大勢の心の核心を突いて深い共感を呼ぶ場合にも使えます。
劇中のように過去形 struck a nerve の形で「痛いところを突いた」と振り返る使い方が頻出です。同じ意味で touch a nerve という言い方もあります。
【ここがポイント!】
- 直訳は「神経を打つ」、むき出しの神経に触れてズキッとくるイメージ
- 「気に障る」ネガティブな場面にも「深く共感を呼ぶ」場面にも使える
- 相手の強い反応を見て「図星だった」と気づく、その瞬間を捉える一言
『ビッグバン★セオリー』S07E21のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
占い師が「エイミーに身を委ねればすべてが整う」と核心を突いたことで、シェルドンが普段使わない強い言葉で反発します。その様子を見たペニーが、すかさず茶々を入れる場面です。
Sheldon: I reserve this word for those rare instances when it’s truly deserved. This is malarkey.
(この言葉は、本当にふさわしい稀な場面のためにとっておくんだ。これはたわごとだ。)Penny: Wow, you really struck a nerve. I’ve never heard him use the M word before.
(うわ、本当に痛いところ突いたわね。彼がMワード使うの、初めて聞いた。)The Big Bang Theory Season7 Episode21(The Anything Can Happen Recurrence)
シーン解説と心理考察
シェルドンは普段、感情をあらわにすることの少ない人物です。その彼が malarkey(たわごと)という、わざわざ「とっておく」と前置きするほど強い言葉で占いを切り捨てる——この過剰さそのものが、ペニーには見逃せないサインでした。
You really struck a nerve というペニーの一言には、シェルドンがそこまで強く反発するのは、占い師の言葉が図星を突いたからにほかならない、という鋭い観察がにじみます。
占いを信じないはずのシェルドンが、なぜか動揺している。その矛盾を「Mワードを初めて聞いた」という具体的な事実とともに言い当てるところに、ペニーの人を見る目の確かさが表れています。本人が否定すればするほど核心に近づいて見える、という人間の機微を、ペニーは軽い口調でさらりとすくい上げています。茶化しながらも本質を突くこの返しが、ペニーらしさとして響きます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
歯医者で、麻酔の効いていない神経にうっかり器具が触れた瞬間の、あの「ズキッ」を思い浮かべてみてください。strike は「打つ・触れる」、nerve は「神経」です。
普段は奥に隠れている神経が、ふいに触られて鋭く反応する——その身体感覚が、心の核心や弱点を突かれて思わず強く反応する、という比喩につながっています。このシーンでは、占い師の言葉が、占いを信じないはずのシェルドンの「むき出しの神経」に触れ、過剰な反発を引き出していました。神経に触れたときの鋭い痛みと、シェルドンのムキになった反応を重ねておくと、意味がすっと定着します。
例文で覚える「strike a nerve」
相手の核心や弱点に触れて、強い反応を引き出す場面で使える表現です。3つの例文で幅を見ていきましょう。
I must have struck a nerve, because she suddenly went quiet.
(痛いところを突いたみたいだ。彼女、急に黙り込んだから。)
相手の反応から図星に気づく場面です。ドラマのシーンと同じく、強い反応を見て「触れてはいけない所に触れた」と察しています。
The speaker struck a nerve with the audience when she mentioned job insecurity.
(登壇者が雇用不安に触れたとき、聴衆の心の核心を突いた。)
スピーチの場面です。こちらは大勢の「共感の核心を突く」という、ポジティブな方向の使い方です。
A: I think your comment about his hometown struck a nerve.
B: Really? I didn’t mean to upset him at all.
(A:彼の地元についての君の発言、痛いところを突いちゃったみたいだよ。)
(B:本当に? 怒らせるつもりは全然なかったのに。)
無神経な発言を指摘する会話です。「そんなつもりはなかった」という、意図せず核心に触れてしまった場面を描いています。
あわせて覚えたい関連表現
hit home
((言葉が)心に深く刺さる、痛切に感じられる)
「自分のこととして痛感する」という共感寄りの表現です。strike a nerve は「触れられたくない所に触れて強い反応が出る」点に焦点がある点で、少し異なります。
touch a sore spot
(痛いところに触れる)
sore spot(痛い箇所)を明示する分、相手の弱点やコンプレックスに触れるニュアンスがより具体的です。strike a nerve とほぼ同じ意味で言い換えられます。
get under someone’s skin
((人を)イライラさせる、気に障る)
持続的に「じわじわ苛立たせる」というニュアンスです。strike a nerve が一言で「ズキッと」核心を突く瞬間的な反応を表すのに対し、こちらは少し長めの苛立ちを表します。
Note|strike a nerve と touch a nerve、打つと触れる
strike a nerve には、ほぼ同じ意味で使える touch a nerve という兄弟のような表現があります。この二つの違いを見ると、英語の語感の細やかさが見えてきます。
どちらも「神経に触れて強い反応を引き出す」という意味で、多くの場面で入れ替えても通じます。違いは動詞の語感にあります。strike は「鋭く打つ・ぶつける」という、瞬間的で力のこもった動きを表す語です。一方の touch は「そっと触れる」という、より穏やかで軽い接触を表します。つまり touch a nerve は「触れてしまった」というニュアンス、strike a nerve は「ガツンと突いた」というニュアンスに傾きます。劇中でペニーが struck を選んだのは、シェルドンの反応が「ちょっと気に障った」程度ではなく、普段使わない強い言葉が飛び出すほどの過剰なものだったからだと考えられます。穏やかな touch では足りない。占い師の言葉がシェルドンの神経を鋭く打ち抜いた、その強さに struck という語がぴたりと合っているわけです。
同じ「神経に触れる」でも、打つのか触れるのか。動詞ひとつで反応の強さまで描き分けられるのが、この表現の奥行きです。
語感の違いに気づくと、表現の選び方まで見えてきます。
まとめ|「神経を突く」反応を英語で
strike a nerve は、相手の弱点や感情の核心に触れて、強い反応を引き出すことを表すイディオムです。神経に触れたときの鋭い痛みが、そのまま心の反応の比喩になっています。
この表現が使えると、誰かが思いがけず強く反応した瞬間を、「図星だったんだな」というニュアンスごと言い表せるようになります。気に障る場面にも、深く共感を呼ぶ場面にも使える、振り幅の大きい一言です。
相手の反応が思いのほか大きかったとき、それは strike a nerve の瞬間かもしれない——そんなふうに、会話のレパートリーに加えてみてください。


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