「I don’t need any supplemental hiding.」に見る、硬い言葉をわざと使う大げさな冗談|『ホワイトカラー』S04E08で学ぶ英会話

『White Collar』コラム: 「I don't need any supplemental hiding.」に見る、硬い言葉をわざと使う大げさな冗談|『ホワイトカラー』S04E08で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

今回は『ホワイトカラー』シーズン4 第8話の前半から、モジーとニールの軽口を取り上げます。アレックスの子どものころの話や「一生隠れて暮らす」という嘆きを、モジーはわざわざ論文や公文書のような硬い言葉で語ります。

大げさな単語選びが笑いを生む仕組みと、同じ硬さで返すニールの受け方を、場面の順に見ていきます。別の場面で使われる古風な別れのあいさつも、あわせて取り上げます。

目次

「prepubescence」「birthright」で、身近な話を大ごとにする

ジューンの屋敷で、モジーはアレックスが自分たちの前に現れることを警戒しています。アレックスが追っていた潜水艦の財宝を、自分たちが横取りしたと考えているからです。モジーはその経緯を、次のように言い表します。

Mozzie: She’s been hunting for that sunken submarine since prepubescence. We stole her birthright.
(彼女は思春期前から、あの沈んだ潜水艦を追い続けてきたのだ。私たちは彼女の生得の権利を盗んだのだ。)
Neal: Technically, you stole her birthright.
(厳密に言えば、盗んだのは君だけどね。)
Mozzie: And you reaped the benefits.
(そして、その恩恵を受けたのは君だ。)

White Collar Season4 Episode8 (Ancient History)

prepubescence は「思春期に入る前の時期」を指す語で、医学や学術の文章で見かける硬い単語です。普段の会話なら since she was a kid(子どものころから)で足りるところを、あえてこの語を選ぶことで、話全体が大げさに響きます。

birthright も同じ働きをしています。本来は「生まれながらに持つ権利」という重い言葉で、財宝の話に当てはめることで、横取りの一件が一族の遺産を奪ったかのような大事件に聞こえます。

ニールの Technically は「厳密に言えば」と細部を持ち出して、「盗んだ」の主語を we から you へ言い直す前置きです。モジーはすかさず reap the benefits(恩恵を受ける)で返します。reap はもともと作物を「刈り取る」という意味の動詞で、「実際に手を動かしたのは自分でも、実りを受け取ったのは君だ」という切り返しになっています。硬い語彙の応酬のまま、責任の押し付け合いが続くのが面白いところです。

「constituted primarily of」「supplemental」で、嘆きを冗談に変える

アレックスが姿を消していたころの方が単純だったと嘆くモジーに、ニールが同じ調子の言葉で応じます。

Mozzie: Things were so much simpler when she just vanished. Now I have to hide for the remainder of my natural life.
(彼女がただ姿を消していたころは、物事はずっと単純だった。これからは寿命が尽きるまでの残りの人生、隠れていなければならない。)
Neal: Your natural life is constituted primarily of hiding.
(君の人生は、主に隠れることで構成されているよ。)
Mozzie: Exactly. I don’t need any supplemental hiding.
(そのとおり。追加の隠れ暮らしなど必要ないのだ。)

White Collar Season4 Episode8 (Ancient History)

the remainder of my natural life は、for the rest of my life(一生)を改まった書き言葉に置き換えた言い回しです。remainder は「残り」、natural life は「寿命としての一生」で、日常の嘆きには不釣り合いな重さが笑いを誘います。

ニールはその言葉を受けて、be constituted of ~(〜で構成される)に primarily(主に)を添え、モジーの暮らしぶりを硬い言葉のまま言い返します。

モジーの Exactly. は、その皮肉を否定せず「そのとおり」と認めてしまう返しです。続く supplemental は「補足の・追加の」という事務的な語で、書類や保険の文脈で見かける単語です。「もう十分隠れているのだから、これ以上は要らない」という理屈を、あえて手続きのような言葉で言うところに、モジーらしいおかしみがあります。

同じ回の別の場面でも、モジーは芝居がかった言葉を使います。ピーターとエリザベスの家に贈り物を届けた帰り際の一言です。

Mozzie: Uh, for now, I bid you adieu.
(ええと、ひとまず、これにてさらばだ。)

White Collar Season4 Episode8 (Ancient History)

bid は「(あいさつを)告げる」、adieu はフランス語由来の「さようなら」で、どちらも古風な響きの語です。普通の goodbye で済むところを、舞台の退場のような一言に仕立てています。

まとめ|わざと硬い言葉を選ぶと冗談になる

prepubescence・birthright・the remainder of my natural life・supplemental・bid you adieu は、どれも日常の話に当てると大げさに響く語です。言葉の硬さと話の軽さのずれが笑いになることが分かります。

モジーの語彙に注目しながら観ると、同じ場面の会話がまた違って聞こえてきます。

この回の会話は、ほかのコラムやフレーズ記事でも扱っています。

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