海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』のシーズン1、第17話では、仕事を辞めたことを打ち明けたパートナーの一人が、まずは前向きな宣言を口にし、それでもやがて不安を隠しきれなくなっていく様子が描かれます。相手を落ち着かせようとしたはずの側が、逆につられて動揺を見せてしまう場面の言い方を、今回は取り上げます。
強がりから本音がこぼれ出るまでの会話の流れを見ていきましょう。
「I am not letting people run my life anymore.」― 新しい自分を宣言する言い方
ミッチェルが仕事を辞めたことをキャメロンに告げる場面です。
Cameron: You quit?
(辞めたの?)Mitchell: Mm-hmm.
(ああ。)Mitchell: Mm-hmm.
(そうなんだ。)Mitchell: It was amazing.
(最高の気分だったよ。)Mitchell: No, no.
(いや、違うんだ。)Mitchell: This is the new me, Cam.
(これが新しい僕なんだよ、キャム。)Mitchell: I am not letting people run my life anymore.
(もう誰にも人生を振り回されない。)Modern Family Season1 Episode17 (Truth Be Told)
run my life は、「人生を振り回す・支配する」という言い方です。not letting people run my life anymore で、「もう人に人生を振り回されない」という宣言になります。ミッチェルはこの言葉で、自分の決断を後ろ向きな失業ではなく、前向きな独立宣言として位置づけようとしています。
このセリフの直前、ミッチェルは Mm-hmm. を2回重ねたあとで It was amazing.(最高の気分だった)と続けています。辞めたことを聞かれてすぐには詳しく答えず、短い相づちを挟んでから前向きな評価を口にするこの間の取り方が、後半で本音がこぼれ出る展開とのギャップを生んでいます。
This is the new me.(これが新しい僕だ)も、決断を機に自分自身を変えていこうとする場面で使える表現です。仕事を辞めたという事実そのものよりも、そこから何を変えるかに焦点を当てた点が特徴です。
A: I’ve decided to move to a new city on my own.
(自分の意志で新しい街に引っ越すことにしたんだ。)
B: Wow, this is the new you. I love it.
(すごい、新しいあなたね。いいと思う。)
このように、決断をきっかけに自分を変えようとする場面全般で使える表現です。run my life も this is the new me も、どちらも過去の自分と今の自分を対比させる言い方という点で共通しています。
「If you panic, I panic!」― 相手を落ち着かせようとして自分が動揺する言い方
前向きな宣言のあと、ミッチェルの様子が変わっていきます。
Cameron: You’re not panicking, are you?
(パニックになってないよね?)Mitchell: Of course I am panicking.
(もちろんパニックになってるよ。)Cameron: No.
(だめだよ。)Cameron: Don’t panic.
(パニックにならないで。)Cameron: If you panic, I panic!
(あなたがパニックになるなら、私もパニックになるじゃない!)Mitchell: I just quit my job.
(僕、仕事を辞めたんだ。)Mitchell: Cam!
(キャム!)Cameron: My God.
(なんてこと。)Modern Family Season1 Episode17 (Truth Be Told)
You’re not panicking, are you?(パニックになってないよね?)は、付加疑問の形で相手に確認しながら、実は自分自身も不安を感じているときの聞き方です。それに対してミッチェルは取り繕わず Of course I am panicking.(もちろんパニックになってる)と即座に本音を認めます。
続くキャメロンの If you panic, I panic!(あなたがパニックになるなら、私もパニックになる)は、「相手が〜なら、自分も〜」という型で、相手の感情につられて自分も同じ状態になることを表す言い回しです。ミッチェルを落ち着かせようとしていたはずのキャメロンが、この一言でその立場を自ら崩してしまうところに、この場面の面白さがあります。
Don’t panic.(パニックにならないで)と相手をなだめておきながら、その直後に自分自身が panic という同じ単語を使って動揺を表すところも見どころです。相手に向けた言葉と自分の状態を表す言葉が、わずか2文の間で同じ単語に収束していくやり取りになっています。キャメロンがパニックを口にしたこの一言に続けて、ミッチェルはすでに伝えていたはずの I just quit my job.(僕、仕事を辞めたんだ)を、改めて口にします。
A: I don’t think this is going to work out.
(これ、うまくいかない気がする。)
B: Hey, don’t panic. If you panic, I panic! Just tell me what happened.
(ねえ、パニックにならないで。あなたがパニックになったら私もパニックになるんだから! 何があったのか教えて。)
このように、相手の落ち着きが自分の安心の支えになっている関係性を表すときに使える型です。相手を励まそうとした側が、結局は相手の状態に振り回されてしまうという構図は、身近な会話でもよく見られる展開です。
You’re not panicking, are you? の付加疑問と、If you panic, I panic! の条件文は、どちらも panic という同じ単語を軸にしていますが、前者は相手の状態を確認する形、後者は自分の状態を宣言する形と、役割が異なります。ひとつの単語が場面の中で立場を変えながら繰り返される様子も、このやり取りの読みどころです。
まとめ|強がりと本音のあいだで揺れる会話
I am not letting people run my life anymore. は、決断を前向きな宣言に変える言い方でした。そして If you panic, I panic! は、相手を落ち着かせようとした側が、逆に相手の動揺につられてしまう、皮肉のきいた言い回しです。
次回も『モダンファミリー』と一緒に英語表現を見ていきましょう。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。


コメント