「It was the onions.」に見る、涙を見られたときに認めずにごまかす英語表現|『モダンファミリー』S02E21で学ぶ英会話

『Modern Family』コラム: 「It was the onions.」に見る、涙を見られたときに認めずにごまかす英語表現|『モダンファミリー』S02E21で学ぶ英会話

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

『モダンファミリー』シーズン2第21話では、母の日のごちそうを作るジェイとフィルの場面から、「泣いたかどうか」をめぐるやり取りが何度もくり返されます。フィルに指摘されても家族にからかわれても、ジェイは玉ねぎのせいにしたり、きっぱり打ち消したりして、泣いたことを認めようとしません。

今回は、涙の原因をほかのものに押しつける言い方と、cry と tear up の違い、そして強く打ち消す言い方を、場面の順に見ていきます。

目次

「It’s the onions」で涙の原因を押しつける

フィルの説明によれば、この日はクレアとグロリアが子どもたちを連れて出かけ、ジェイとフィルが母の日のごちそうを用意します。ジェイは「It’s my mom’s recipe.」と言い、母のレシピどおりに作ることにこだわります。そのレシピの中から、幼いころのジェイが書いたものが出てきます。

Jay: Geez, I forgot all about that.
(なんだ、そんなもんすっかり忘れてた。)

Jay: I didn’t know she had that in there.
(おふくろがそんなもんを挟んでたとは知らなかった。)

Phil: What’s that, Francis?
(何だって、フランシス?)

Jay: Nothing.
(なんでもない。)

Jay: How much longer on the meat?
(肉はあとどれくらいだ?)

Modern Family Season2 Episode21 (Mother’s Day)

フィルの Francis は、紙に書かれていたジェイのミドルネームで呼びかけるからかいです。ジェイは Nothing. で打ち切り、How much longer on the meat? と料理の話に切り替えます。話題を変えて受け流す返し方が見どころです。

少し後、フィルがジェイの名前を呼び、泣いているのかと問う言葉が続きます。ジェイの返事は次のとおりです。

Jay: No.
(違う。)

Jay: It’s the onions, damn it.
(玉ねぎのせいだ、くそっ。)

Jay: Give me these.
(これをよこせ。)

Jay: What are you looking at?
(何見てんだ。)

Phil: Nothing.
(なんでもないよ。)

Phil: Those really frame your face.
(それ、すごく顔に似合ってるよ。)

Modern Family Season2 Episode21 (Mother’s Day)

It’s the onions. は「原因は玉ねぎだ」と、涙の理由を目の前の食材に押しつける言い方です。It’s the ~ の形で原因をひとつに言い切ると、それ以上の詮索を断る響きが生まれます。この場面より前には、フィルが Onion goggles について「No more tears when I cook.」と話すやり取りもありました。涙を防ぐ道具が話題になった後だけに、玉ねぎという言い訳がいっそう目立つ組み立てです。

フィルの Those really frame your face. は「顔を引き立てている」というほめ言葉の形で、それ以上は問い詰めずに受け流す返しと読み取れます。

「Which I didn’t.」と「You teared up.」の攻防

後の場面で、フィルはジェイがうっすら涙を見せたことを語り、あらためてジェイに声をかけます。ジェイは最初に「I need you to get away from me.」と距離を取ろうとしますが、フィルは「一回だけ言って終わりにする」と前置きして話を続けます。

Phil: It’s okay.
(大丈夫だよ。)

Jay: Gotcha.
(了解。)

Phil: You know what “it” is?
(「それ」が何のことか分かってる?)

— It’s you crying.
(泣いたってことだよ。)

Jay: Which I didn’t.
(泣いてないがな。)

Phil: You teared up.
(涙ぐんでたよ。)

Jay: It was the onions.
(玉ねぎのせいだ。)

Modern Family Season2 Episode21 (Mother’s Day)

Which I didn’t. は、直前の「泣いた」という内容を which で受けて「そんなことはしていない」と打ち消す返し方です。相手の文に関係代名詞で続ける形なので、短いのに否定の意図がはっきり伝わります。同じ形で Which I did. とすれば、逆に相手の言葉を受けて認める返事になります。

ここで言葉の選び方が変わる点も見逃せません。cry は「泣く」全般を指すのに対し、tear up は「目に涙がにじむ、涙ぐむ」という軽い段階を表します。フィルは泣いたかどうかの言い合いを避けて、否定しにくい tear up に言い換えています。それでもジェイは It was the onions. と、時制を過去に変えて同じ言い訳をくり返します。

  • A: Were you crying during the movie?
    (映画の途中で泣いてた?)
  • B: I just teared up a little. It was the dust.
    (ちょっと涙ぐんだだけ。ほこりのせいだよ。)

食事の場面での「I did not.」と「Let it out.」

家族がそろった食事の場面で、グロリアがこの話を持ち出します。

Gloria: You cried for your mommy.
(お母さんのことで泣いたんでしょ。)

Jay: Oh, crap.
(ああ、くそ。)

Jay: I did not.
(泣いてない。)

Gloria: Yes.
(泣いたのよ。)

Gloria: Phil just told
(フィルが今言ったもの。)

Phil: No, that’s not true.
(いや、それは違うよ。)

Phil: She’s a liar.
(この人、嘘つきなんだ。)

Modern Family Season2 Episode21 (Mother’s Day)

I did not. は didn’t と縮めずに言うことで、not に強勢が置かれ、きっぱりした否定として響きます。フィルの No, that’s not true. は、グロリアの「フィルが言った」という発言を打ち消すもので、続く She’s a liar. は冗談めかした言い逃れと読み取れます。ジェイはこの後、大げさな感情の場面などなかったと家族に言いますが、マニーに母親が恋しくないのかと聞かれると「Of course I do.」と答えました。

その後、ジェイが子どものころの母の思い出を話すと、グロリアとキャメロンが反応します。

Gloria: It’s happening again.
(また始まったわ。)

Cameron: It’s okay, Jay.
(大丈夫よ、ジェイ。)

Cameron: Let it out.
(出しちゃいなさい。)

Cameron: Let it out.
(全部出しちゃって。)

Jay: You only get one mom.
(母親ってのは一人しかいないんだ。)

Modern Family Season2 Episode21 (Mother’s Day)

Let it out. は、こらえている気持ちを外に出していいと促す言い方です。You only get one mom. の you は特定の相手ではなく「人は誰でも」という一般的な主語で、ここでジェイは玉ねぎの話をしていません。言い訳をくり返していた人物が、最後に短い一文で気持ちを口にする流れが印象的です。

まとめ|涙をごまかす言い方と受け止める言い方

It’s the onions. で原因を押しつけ、Which I didn’t. や I did not. で打ち消す。一方で You teared up. や Let it out. は、相手の気持ちを受け止める側の言葉です。否定と受容の両方が一つの話にそろっています。

次回も『モダンファミリー』の家族の会話を観ながら、英語表現を一緒に拾っていきましょう。

同じ回のほかのコラムやフレーズ記事では、母の日をめぐる別の場面の英語を取り上げました。

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