海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン2第10話では、ジェイとフィルがルークとマニーを連れて、ダンス用の服を買いにショッピングモールへ出かけます。駐車場所を横取りされたことをきっかけに、決して譲るなと説くジェイと、張り合わなくていいと返すフィルの考え方の違いが浮かび上がります。
今回は2人のやり取りから、横取りを許すかどうか、文句を言うか水に流すかをめぐる英語表現を見ていきます。
横取りを許すか、張り合わずに引くか
駐車場所を待っていたところへ別の人に入り込まれ、ジェイがフィルに声を上げる場面から始まります。
Jay: Hey, that was our spot! What are you doing? You gonna let him snake your spot?
(おい、あそこは俺たちの場所だったぞ!何してる?あいつに横取りさせておく気か?)
Phil: Not worth it.
(張り合うほどのことじゃないよ。)
Jay: Boys, here’s the only thing you gotta know about being a man never let someone take what is yours.
(いいか、お前たち、知っておくべきことはひとつだけだ。自分のものは誰にも取らせるな。)
Phil: Unless it’s just a parking spot and there’s plenty of others.
(ただの駐車場所で、ほかにもたくさん空いてるなら別だけどね。)
Jay: That’s sweet, Phil.
(そいつはご立派だな、フィル。)
Jay: You ought to write that down.
(書き留めておいたらどうだ。)
Modern Family Season2 Episode10 (Dance Dance Revelation)
snake はここでは動詞で、すきを突いて横取りすることを表すくだけた表現です。let him snake your spot で「あいつに場所をかすめ取らせる」となり、黙って見ているのかとフィルをけしかける問いかけになっています。
これに対するフィルの Not worth it. は、主語と動詞を省いた短い返しです。「そこまでする価値はない」と一言で引く姿勢が伝わります。be worth it の使い方は同じ回のフレーズ記事で詳しく扱っています。
ジェイの never let someone take what is yours は、自分のものを人に取らせるなという言い切りです。そこへフィルが Unless で条件を付け足し、ほかに空きがあるなら話は別だとずらしている点が面白いところです。ジェイの That’s sweet は字面こそほめ言葉ですが、続く You ought to write that down. とあわせて、フィルの付け足しを皮肉っている返しと読み取れます。
買い物の場面でも、ジェイは男の子たちに同じ考えを繰り返します。
Jay: Now this is what I’m talking about, boys.
(ほら、これが俺の言ってることだ、お前たち。)
Jay: You give people an inch, they’ll run all over you.
(ちょっとでも譲ったら、とことん踏みつけにされるぞ。)
Phil: Or you could just be nice.
(それか、ただ親切にしてもいいんだよ。)
Phil: Pay it forward.
(恩送りってやつさ。)
Phil: They don’t make movies out of bad ideas.
(悪い考えなら映画になんかならないって。)
Jay: All I know is you gotta fight for what you want.
(俺に分かってるのは、欲しいものは戦って取れってことだけだ。)
Modern Family Season2 Episode10 (Dance Dance Revelation)
give an inch は「ほんの少し譲る」、run all over someone は「相手を好き放題に踏みつけにする」という意味です。2つを組み合わせたジェイの一文は、少しの譲歩が相手をつけ上がらせるという考えを表しています。英語には give them an inch and they’ll take a mile という似た言い回しもあり、同じ発想の表現として知られています。
フィルは Or you could just be nice. と別の選択肢を示し、ジェイは fight for what you want で自分の考えを押し通します。Or you could just ~ は「〜するという手もある」と、相手の意見を否定しすぎずに代案を出すときに使える形です。
文句を言いに行く言い方と、水に流す言い方
その後、ジェイは駐車場所を取った男性を見つけ、男の子たちの前で本人に声をかけます。
Jay: I’m not gonna hit him, but I’m gonna give him a piece of my mind.
(殴りはしないが、がつんと言ってやる。)
Jay: Now, boys, pay attention.
(さあ、お前たち、よく見とけよ。)
Jay: You wanna be men? This is how you handle a jerk like this.
(男になりたいか?こういう嫌なやつはこうやってあしらうんだ。)
Jay: Hey, chief.
(よう、大将。)
Jay: You know, you stole our parking space today.
(あんた、今日俺たちの駐車場所を横取りしたよな。)
Guy: What?
(え?)
Jay: That’s right.
(そうだよ。)
Jay: I was waiting for the parking space, you sneaked right in there.
(俺が待ってたのに、あんたがすっと入り込んだんだ。)
Modern Family Season2 Episode10 (Dance Dance Revelation)
give someone a piece of one’s mind は、相手に面と向かって不満をぶつけるときの決まった言い回しです。「自分の考えのひとかけらを渡す」という字面から、言いたいことをはっきり伝えるという意味になります。
chief は見知らぬ男性へのくだけた呼びかけで、ここでは親しみよりも挑むような響きがあります。sneak in は「こっそり入り込む」で、right を添えると「すかさず」「まんまと」という勢いが加わります。
ところが男性は、横取りしたことに気づいてもいなかったと答え、自分のつらい事情を打ち明けます。聞き終えたジェイの返事は、それまでとは違うものでした。
Guy: So I just keep wandering around the mall.
(だから、ずっとモールをうろうろしてるんです。)
Jay: You know what? Forget about the spot.
(なあ、駐車場所のことはもういいよ。)
Modern Family Season2 Episode10 (Dance Dance Revelation)
Forget about ~. は「〜のことは忘れていい」「もう気にしなくていい」と、こちらから件を水に流すときの言い方です。前置きの You know what? は、考えを切り替えて何かを言い出すときの合図として働いています。決して譲るなと言っていたジェイが、自分から引き下がるという場面です。
強い言葉を重ねてきた人物が、最後は短い一言で件を終わらせる流れからは、譲らない言葉と引く言葉が同じ人の口から出てくることも分かります。日常会話でも、相手の事情を聞いたあとに Forget about it. と返せば、それ以上は責めないという気持ちを穏やかに伝えられます。
まとめ|譲らない言葉と引く言葉
snake your spot・give an inch・give someone a piece of one’s mind のような譲らない側の言葉と、Not worth it.・Forget about the spot. のような引く側の言葉を見てきました。選ぶ言葉に人柄が表れるのが分かります。
次回も『モダンファミリー』を観ながら、場面に合う一言を拾っていきましょう。
同じ回のほかのコラムやフレーズ記事とあわせて読むと、この日の買い物の英語がより立体的に見えてきます。


コメント