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『モダンファミリー』シーズン10第4話では、マニーが大学へ戻ったあと、恋人のシェリーがジェイとグロリアの家に泊まることになります。早く出ていってほしいのに、自分からは言い出したくない2人の張り合いが続きます。
家族の中で誰が「嫌われ役」を引き受けるかは、どの家庭でも起こりそうな駆け引きです。役回りを名指す be the bad guy と be the villain の違いを中心に、本音と建前が入れ替わる会話を順に見ていきます。
「I want her out」と「I think she’s funny」、本音と建前
グロリアは、大学の寮でマニーと一緒に暮らせないシェリーを家に泊めると説明します。サンドイッチを作ろうとするグロリアに、ジェイはこう返します。
Jay: I don’t want a sandwich.
(サンドイッチなんかいらん。)
Jay: I want her out of my house.
(あの子に家から出ていってほしいんだ。)
Jay: And I kind of want a sandwich.
(それと、サンドイッチはちょっと欲しい。)
Modern Family Season10 Episode4 (Torn Between Two Lovers)
I want her out of ~ は「彼女に〜から出ていってほしい」と、相手を追い出したい気持ちを率直に言う形です。out の後ろに場所を置くだけで意味が通るため、口語ではとても短く言えます。最後の一文は前言を少しだけ引っ込める冗談で、本音をぶつけたあとでも空気を和らげるジェイらしい付け足しになっています。
続いてジェイは、グロリアの本心を確かめにかかります。
Jay: You’re saying you don’t find her annoying?
(お前、あの子がうっとうしくないって言うのか?)
Gloria: No.
(ええ、思わないわ。)
Gloria: I think she’s funny.
(面白い子だと思うわ。)
Gloria: And don’t worry.
(それに心配しないで。)
Gloria: She’s only gonna stay here until she can support herself doing improv.
(即興劇で食べていけるようになるまで、ここにいるだけよ。)
Jay: Well, put her name on the answering machine, ‘cause she’s not going anywhere.
(なら留守電にあの子の名前も入れとけ。どこにも行きゃしないんだから。)
Modern Family Season10 Episode4 (Torn Between Two Lovers)
You’re saying ~? は「つまり〜だと言うのか?」と相手の言葉を確かめ直す聞き方です。この確認の問いへの No. は「うっとうしいとは思わない」という意味になる点に注意が要ります。ジェイの she’s not going anywhere は「どこにも行かない」、つまり居座るという皮肉で、留守電の名前のくだりと合わせて不満を冗談に包んでいます。
グロリアはこの時点では「面白い子」と言い切り、滞在は一時的だと請け合います。ところがのちに、ジェイから正直に言えと迫られて本音を認めることになります。建前の I think she’s funny. と本音とのずれが、この話の張り合いの出発点になっています。
「be the bad guy」——嫌われ役を押しつけられたと気づく
しばらくして、シェリーが練習中のキャラクターはグロリアの発案だったと分かります。ジェイが問いただすと、答えたのはシェリーでした。
Jay: How did you know she was doing that?
(なんでこの子がそれをやってるって知ってたんだ?)
Sherry: She is so supportive.
(すごく応援してくれてるの。)
Sherry: It was her idea.
(彼女のアイデアなんだから。)
Jay: And there it was.
(それで分かった。)
Jay: Gloria didn’t want that weirdo here any more than I did.
(グロリアも、あの変わり者にここにいてほしくなかったのは俺と同じだった。)
Jay: She just wanted me to be the bad guy.
(俺に悪者をやらせたかっただけなんだ。)
Jay: But the joke’s on her, because, for short bursts of time, I can be quite nice.
(だが、一杯食うのはあいつのほうだ。短い時間なら、俺だってなかなか感じよくできるからな。)
Modern Family Season10 Episode4 (Torn Between Two Lovers)
be the bad guy は「悪者になる、嫌われ役を引き受ける」という意味で、家庭や職場で誰かが言いにくいことを言う役を指すときによく使われます。make someone the bad guy とすると「人を悪者に仕立てる」になり、ジェイの受け止め方にそのまま重なります。
この言い方は自分から名乗る場合にも使え、I’ll be the bad guy. と言えば「嫌われ役は自分が引き受ける」という申し出になります。ジェイの台詞はその逆で、押しつけられかけた役を降りるための言葉として使われています。not ~ any more than I did は「私と同じくらい〜ではなかった」という比較で、2人の本音が実は同じだったことを示します。
the joke’s on her は「笑われるのは彼女のほうだ」、つまり相手の思惑が裏目に出るという言い方です。ジェイはここで方針を切り替え、シェリーの即興をほめちぎる側に回ります。悪者役を引き受けない手段が「感じよくふるまうこと」になっている点に、この張り合いの筋道が見えてきます。
「the villain」と「that’s your job」、我慢比べの「crack first」
ほめ続けるジェイに、グロリアがついに切り込みます。
Jay: I’m loving this.
(最高に楽しいよ。)
Jay: My only fear is that she might hit it big and leave us.
(心配なのは、あの子が大当たりして、ここを出ていっちまうことだけだ。)
Gloria: You think I’m an idiot? Nobody thinks that that is funny.
(私をばかだと思ってるの? あれを面白いと思う人なんていないわ。)
Jay: Be honest, you want her out of here more than I do.
(正直に言え。お前のほうが俺よりあの子を追い出したいんだろ。)
Gloria: Okay, fine, but I don’t want to be the mother that hates her son’s girlfriend.
(ええ、そうよ。でも、息子の恋人を嫌う母親にはなりたくないの。)
Jay: I don’t want to be the villain anymore.
(俺だって、もう悪役はごめんだ。)
Gloria: But that’s your job.
(でも、それがあなたの役目でしょ。)
Gloria: I am the quiet and fun one.
(私は穏やかで楽しい役なの。)
Modern Family Season10 Episode4 (Torn Between Two Lovers)
villain はもともと物語の「悪役」を指す語で、the villain と言うと、毎回決まって憎まれる側に回される役どころという響きが強まります。その場かぎりの嫌われ役を指す the bad guy に比べ、ジェイの台詞からは「いつもの悪役はもう降りたい」という疲れが読み取れます。グロリアの that’s your job と the quiet and fun one は、家族の中の役回りを「担当」として言い表す返しです。
ジェイの Be honest, は文頭に置いて「正直に言え」と本音を迫る前置きで、グロリアの Okay, fine は渋々ながら認める返事にあたります。
最後に2人は、どちらが先に折れるかの勝負に持ち込みます。
Jay: You want to get rid of her, you do it.
(追い出したいなら、お前がやれ。)
Gloria: I won’t have to, because I can pretend that I like Sherry longer than you can.
(その必要はないわ。シェリーを好きなふりなら、あなたより長く続けられるもの。)
Gloria: You will crack first.
(先に音を上げるのはあなたよ。)
Modern Family Season10 Episode4 (Torn Between Two Lovers)
crack は「ひびが入る」から転じて「我慢しきれずに折れる」を表し、crack first で我慢比べの負けを指します。グロリアの pretend that I like ~ longer than you can は「好きなふりなら相手より長く続けられる」という比較で、勝負の宣言として機能しています。結末では、帰ってきたマニーにシェリーが「あなたのお母さんに嫌いだと言われた」と打ち明けます。
まとめ|嫌われ役を名指す英語
その場の嫌われ役を表す be the bad guy、決まった悪役を思わせる the villain、役回りを担当として示す that’s your job、我慢比べの crack first を見てきました。家族の役回りをめぐる会話がぐっと読みやすくなります。
ジェイとグロリアの張り合いを観ながら、言葉の裏の本音を追ってみるのも楽しみ方のひとつです。
同じ回のほかのコラムでは、後悔を問われたときの返し方や、即興劇の文化も取り上げています。


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