海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
遅刻の理由を説明しはじめたものの、細かい経緯まで話すと長くなりすぎるので、結論だけ先に伝えたくなる場面があります。
そんなときの前置きになる「long story short」を、『モダンファミリー』シーズン10第4話の中盤、ヘイリーに打ち明け話を切り出すアーヴィンの場面から、一緒に見ていきましょう。
「long story short」の意味とニュアンス
long story short
意味:話を端折ると、要するに、手短に言うと
long story shortは、説明すると長くなる出来事を、途中の経緯を省いて結論だけ伝えるときに置く前置きです。long storyは「長い話」、shortは「短く」を表し、組み合わせて「長い話を短くすると」という合図になります。
to make a long story shortと同じ意味で言い換えられ、to make が付いた形も辞書に載っています。長い話の細部を飛ばして要点に入るという働きは、どちらの形でも変わりません。
使い方の特徴は、あとに結論を言い切る文が続くことです。経緯は長いのに、これから話す結論は短い。その落差が、この表現の持ち味です。前置きのあとに長い説明を続けてしまうと、合図と中身が食い違います。前置きの時点では、まだ何があったかは語られません。聞き手は、「ここから先は経緯を飛ばして結果だけを聞くことになる」と受け取ることになります。遅刻の理由、転職の経緯、会議の結論など、本来なら順を追って話すところを、一言で締めたい場面で使われる表現です。
【ここがポイント!】
- 「long story short」の核は、長い話を縮めて結論だけ渡すという省略の合図
- 文頭にも文中にも置け、カンマで区切ったあとに結論の文が続く
- 前置きの時点では経緯が語られないので、聞き手は結論の中身に集中できる
『モダンファミリー』S10E04のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
アーヴィンがヘイリーに「話さなきゃいけないことがある」と切り出し、ヘイリーの聞き返しに「違う」と答えてから、ヘイリーのキスの話を聞いたあとの行動を話し始める場面です。パブに向かったいきさつの途中でlong story shortを挟み、結論の一文に進みます。短い返事で終わるやり取りまでを、順に見ていきます。
Arvin: Haley, I need to tell you something. I transgressed.
(ヘイリー、君に話さなきゃいけないことがある。僕は過ちを犯したんだ。)Haley: You were a woman?
(あなた、女性だったの?)Arvin: No. No. After you told me about your kiss, um, I headed straight to a pub frequented by other scientists and, long story short, I kissed a nuclear physicist. I know it’s not PC to say, but they really are the loosest of the scientific disciplines.
(違う。違うよ。君がキスの話をしてくれたあと、えっと、僕はまっすぐ科学者がよく集まるパブに向かって、で、話を端折ると、核物理学者にキスしたんだ。こう言うのは政治的に正しくないとわかっているけど、彼らは本当に科学の分野の中でいちばんゆるいんだよ。)— I forgive you.
(許すよ。)Modern Family Season10 Episode4 (Torn Between Two Lovers)
シーン解説と心理考察
「話さなきゃいけないことがある。僕は過ちを犯したんだ」というアーヴィンの切り出しには、大事な告白を前にした重さが表れています。聞き返しを受けて短く「違う」と繰り返したあと、話は経緯の説明へと進みます。
ここで使われるlong story shortの位置に注目です。アーヴィンは、キスの話を聞いたあとにパブへ向かったところまでを順に話し、そのあとにand, long story short,と挟んで、途中で起きたことを一気に飛ばします。省かれているのはパブでの出来事の中身で、次の一文には「核物理学者にキスした」という結論だけが置かれます。経緯を飛ばす合図があるからこそ、最後の一文が結論として際立ちます。長い前置きのあとに結論が一文で置かれる構成は、聞き手が内容を受け止める準備をする時間にもなっています。
文中のumからは、言葉を選びながら切り出していく様子が伝わってきます。続けて「こう言うのは政治的に正しくないとわかっているけど」と断ってから、もう一言を付け足していて、前置きを重ねて話を進める話し方になっています。
その後に「許すよ」という短い返事が来ます。長い前置きと、短い一言が並ぶことで、会話の長さの対比がくっきり出る場面です。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
分厚い一冊の本を、中身を開かずに、背表紙の一行だけ見せて手渡す場面を頭に描いてみてください。本編の細かい展開は全部省かれて、結論だけが相手に渡ります。これがlong story shortのイメージです。
アーヴィンの場合は、パブで何があったかという分厚い部分を本棚に戻して、「核物理学者にキスした」という背表紙の一行だけを差し出していました。前置きの長さは本の厚みに、結論の短さは一行に重なります。long storyが分厚い本、shortが一行に縮める動作、と対応させておくと、「話を端折ると」という意味と前置きの働きがセットで頭に残ります。
例文で覚える「long story short」
long story shortは、あとに続く結論の文とセットで使います。日常と仕事の場面で、前置きと結論の組み合わせを3つの例文で確かめます。
Long story short, we missed the train and had to take a taxi.
(話を端折ると、電車に乗り遅れてタクシーに乗るしかなかったんだ。)
遅刻の理由を手短に伝える場面です。文頭に置いて、カンマのあとに結果の文を続けています。
The meeting ran for three hours, but long story short, we’re going with the second plan.
(会議は3時間かかりましたが、要するに2番目の案でいくことになりました。)
会議の結果を同僚に報告する場面です。but のあとに置くと、長かった経緯を飛ばして結論に入る流れが作れます。
A: Why are you so late?
B: Long story short, my car broke down and my phone died.
(A:どうしてそんなに遅れたの?)
(B:話を端折ると、車が故障して携帯の電池も切れたんだ。)
遅れた理由を聞かれて答える会話です。経緯を省いて、起きたことだけを並べる返し方になっています。
あわせて覚えたい関連表現
to make a long story short
(手短に言えば、話を縮めると)
to make a long story shortは、long story shortにto makeを付けた形で、意味は同じです。付けるぶん、少し改まった言い方に聞こえます。
in a nutshell
(要するに、ひとことで言えば)
in a nutshellは、要点をまとめて言い切る表現です。long story shortは、途中の経緯を端折る感覚が強い前置きという違いがあります。
in short
(要するに、手短に言うと)
in shortは、話や文章の結論をまとめる中立的な言い方で、書き言葉にも使えます。long story shortは、話し言葉の中で経緯を飛ばすときの前置きです。
Note|文頭にも文中にも置ける、long story shortの位置
long story shortは、文頭に置く形だけでなく、アーヴィンが使ったように文の途中に挟む形もあります。位置による違いと、カンマの置き方を整理します。
文頭に置く形は、Long story short, we missed the train.のように、先頭に置いてカンマで区切り、あとに結論の文を続けます。話し始めの時点で「経緯は飛ばします」と宣言する形です。一方、文中に挟む形は、アーヴィンの文が手本になります。I headed straight to a pub … and, long story short, I kissed a nuclear physicist.のように、andのあとに置き、前後をカンマで挟みます。話の途中までは順を追って進め、ここから先だけを省くときの形です。書くときは、long story shortの前後をカンマで区切ります。カンマがないと結論との境目が分かりにくくなります。どちらの位置でも、long story shortのすぐあとには主語と動詞を備えた普通の文が続き、その文が省略後の結論を担います。
文頭なら話全体の前置き、文中なら話の途中の切り替え。位置が違っても、あとに続く結論の文は変わりません。シーンのアーヴィンは、前半は丁寧に順を追い、途中から結論へ飛ぶ流れを文中に挟む形で作っていました。
位置が変わっても、役目は経緯を飛ばす合図のままです。
まとめ|経緯を飛ばして結論へ進む合図
long story shortは、長くなる経緯を省いて、結論だけを伝えるための前置きです。
文頭に置けば話全体の前置きに、文中に挟めば途中からの切り替えになり、あとに続く文が結論を担います。遅刻の説明、転職の報告、会議の結果と、どの場面でも使い方は同じです。聞き手に「ここから先は結果だけを話します」と知らせる役目を果たし、話の流れを手早く整えてくれます。
アーヴィンの切り出し方からは、順を追って話しながら、肝心な一点だけを短く言い切る話し方の型が読み取れます。


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