海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン10第16話では、クレアが仕事の話を相次いで持ちかけられます。娘のアレックスには面接を受けるよう背中を押され、新しい事業を始める父ジェイからは「うちに席がある」と誘われます。
せっかくの話を断るとき、相手の気持ちを受け止めながら自分の考えを伝えるのは、意外と難しいものです。クレアの返し方から、お礼と理由を添えて断る英語を見ていきます。
「Thank you, but ~」で、誘いを受け止めてから断る
会社を離れて犬用ベッドの事業を始めると決めたジェイは、クレアに冗談まじりにこう声をかけます。
Jay: Well, if you miss me too much, there’ll always be a position for you at Dog Beds by Stella.
(まあ、俺がいなくて寂しくなりすぎたら、Dog Beds by Stella にはいつでもお前の席があるからな。)
Claire: Thank you, but I think maybe it is time I prove myself on my own.
(ありがとう。でも、そろそろ自分の力で自分を証明するときなんだと思う。)
Modern Family Season10 Episode16 (Red Alert)
ジェイの there’ll always be a position for you は「いつでも君のポストがある」という誘いの言い方です。if you miss me too much と条件を添えることで、本気の勧誘というより、離れていく父なりの気づかいとして響きます。
クレアの返事は Thank you, but ~ の形です。まずお礼で相手の申し出を受け止め、but のあとに断る理由を置く、英語の断り方の基本の型と言えます。理由の部分には I think maybe が重ねてあり、「〜なんだと思う」と言い切りを和らげています。強く突き放さずに、自分の考えとして伝える響きになります。
it is time I ~ は「そろそろ〜するときだ」という言い方で、後ろの動詞は過去形を使うのが一般的とされますが、口語では原形もよく耳にします。prove myself は「自分の力を証明する」、on my own は「人の助けを借りずに」です。父の会社の娘としてではなく自分の力で、という気持ちを、断る理由として差し出す返事です。
「You sure?」と食い下がられたときの受け流し方
ところがジェイは、すぐには引き下がりません。
Jay: You sure? ‘Cause this could be huge.
(本当にいいのか? こいつは大化けするかもしれないんだぞ。)
Jay: I got a million dog-bed ideas.
(犬用ベッドのアイデアなら山ほどあるんだ。)
Jay: I got a hot-dog bun, I got a space capsule, I got an igloo.
(ホットドッグのパン型だろ、宇宙カプセル型だろ、イグルー型だろ。)
Claire: What about one shaped like a dog bone?
(骨の形のはどう?)
Modern Family Season10 Episode16 (Red Alert)
You sure? は Are you sure? を縮めた口語で、断られたあとに「本当にいいの?」と念を押すときによく使われます。‘Cause this could be huge. と理由を添えて、もう一度考えてほしいと迫る形です。could be huge は「大きく化けるかもしれない」で、新しい計画の可能性を売り込むときの言い方として覚えられます。
I got a million ~ の a million は文字どおりの数ではなく、「数えきれないほどの」という誇張です。ジェイはそのままアイデアを次々に並べます。I got a ~, I got a ~ と同じ形を重ねる言い方は、勢いよく例を挙げるときの話し言葉らしいリズムです。
これに対してクレアは、断り直すことも言い争うこともせず、「骨の形のはどう?」と案を1つ出します。What about ~? は「〜はどう?」と提案するときの基本の形です。答えを繰り返さずに話題を相手の得意な方へ移すと、断った事実を変えないまま会話を前向きに続けられます。食い下がる相手に、同じ言葉で押し返さない受け流し方の一例です。
「I think I was flattered.」「I’ll be fine.」で理由を添える
話の序盤には、別の断り方も出てきます。アレックスが母の面接の幸運を祈ると、クレアはこう返します。
Alex: Good luck with your interview.
(面接、がんばってね。)
Claire: Oh, you know what? I decided to pass on that.
(ああ、それがね、あれは見送ることにしたの。)
Alex: Why? That’s an amazing job, and you were so excited.
(どうして? すごい仕事だし、ママもすごく乗り気だったじゃない。)
Claire: I think I was flattered.
(おだてられて、いい気になってただけだと思う。)
Modern Family Season10 Episode16 (Red Alert)
クレアの説明によれば、それはスナック菓子の大手企業の CEO の面接でした。pass on ~ は「〜を見送る、遠慮する」で、decided to と組むと、もう結論を出したことが伝わります。flattered は「(誘われて)うれしく思った、おだてられた」という形容詞です。乗り気だったのは確かでも、それは評価されたうれしさだったと振り返る理由づけとして読み取れます。
アレックスに面接を受けるよう迫られても、クレアは考えを変えません。
Claire: Honey, I already have a seat at the table.
(ねえ、私はもうテーブルに席があるの。)
Claire: In fact, at the head of the table.
(それどころか、上座にね。)
Alex: You mean when Grandpa’s not there?
(おじいちゃんがいないときは、ってこと?)
Claire: Tables have two heads.
(テーブルには上座が2つあるのよ。)
Modern Family Season10 Episode16 (Red Alert)
have a seat at the table は、話し合いや意思決定に加わる立場があることを表す比喩として広く知られています。今の場所で十分だと示すことが、そのまま断る理由です。続く at the head of the table は「上座に」で、ただ加わっているだけでなく率いる立場だと付け加える言い方です。やがてクレアは Thank you for your concern, but I’ll be fine. と話を収めます。心配へのお礼と but を組み合わせた、ここでも同じ型の締め方です。
まとめ|お礼と理由で、角を立てずに断る
Thank you, but ~ で申し出を受け止め、I think I was flattered や I already have a seat at the table で理由を添え、What about ~? で食い下がる相手を受け流す流れを見てきました。お礼と理由の置き方で、断る響きが変わります。
父と娘のやりとりを観ながら、断り方の言葉選びを比べてみるのも『モダンファミリー』の楽しみ方です。
同じ回のほかのコラムでは、身を引く決断を伝えるジェイの英語や、寝不足を伝えるフィルの英語も扱っています。


コメント