海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
周りがみんな顔なじみに見える集まりでは、最初のひとことがなかなか出てこないものです。
そんなときに役立つ「break the ice」を、『モダンファミリー』シーズン7第11話の中盤、娘リリーのベトナム舞踊団を通じた保護者づきあいについて、ミッチェルが語る場面から、一緒に見ていきましょう。
「break the ice」の意味とニュアンス
break the ice
意味:気まずい空気をやわらげる、打ち解けるきっかけを作る
break the ice は、初対面の相手や緊張した場で、会話や冗談をきっかけに空気をほぐすことを表す表現です。ice は氷、break は割るという意味で、文字どおりには「氷を割る」です。人と人のあいだにある冷たくて固い壁を、氷にたとえています。凍った水面を割ると先へ進めるように、最初の壁がなくなって、会話が動き出すイメージです。
今回のシーンでは、break the ice が breaking the ice の形で登場します。動詞の break が -ing 形になって、「氷を割ること」という名詞のはたらきをしています。breaking the ice with the other parents has been a little tough では、これ全体が文の主語で、「ほかの保護者と打ち解けること」が has been a little tough(少し難しい)と述べられています。with のあとに、打ち解けたい相手を置く点も押さえておきたい形です。
使い方の型は大きく3つあります。1つめは break the ice with + 相手で、「~と打ち解ける」。2つめは to break the ice のように to 不定詞で目的を示す形で、「場をほぐすために」。3つめは今回のように -ing 形にして主語にする形です。いずれも、中心にあるのは「最初の壁を取り除く」という動作です。
ここで大切なのは、break the ice が指すのが「最初の一歩」だという点です。時間をかけて少しずつ親しくなっていく変化そのものではなく、会話が動き出す最初のきっかけを作ることに焦点があります。
【ここがポイント!】
- 「break the ice」の核は、人と人のあいだの固い壁を割って、会話を動かすイメージ
- 初対面や緊張した場の最初の一歩を指し、with のあとに打ち解けたい相手を置く
- 動詞の形のほか、to 不定詞や -ing 形にして目的や主語としても使える
『モダンファミリー』S07E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ミッチェルが、リリーのベトナム舞踊団の仲間を招いてお泊まり会を開くと話し始める場面です。続けて、娘に自分のルーツをもっと身近に感じてほしいという思いと、ほかの保護者と打ち解けるのがちょっと難しいという悩みを語ります。その悩みの中に、今回のフレーズが登場します。
Mitchell: I’m hosting a sleepover for Lily’s Vietnamese dance troupe.
(リリーのベトナム舞踊団の子たちを招いて、お泊まり会を開くことになったんだ。)Mitchell: We want her to be more in touch with her heritage, but breaking the ice with the other parents has been a little tough.
(僕たちはリリーに、自分のルーツをもっと身近に感じてほしいんだ。でもほかの保護者と打ち解けるのは、ちょっと難しくてね。)Mitchell: Cam and I are the only white parents, the only gay parents, the only parents that find us funny.
(キャムと僕は、白人の親も、同性の親も僕たちだけだし、僕たちをおもしろいと思ってくれる親も僕たちだけなんだ。)Modern Family Season7 Episode11 (Spread Your Wings)
シーン解説と心理考察
ミッチェルの語りは、お泊まり会を開くという具体的な話から始まります。I’m hosting a sleepover と現在進行の形で、これから迎える予定をさらりと伝えています。招く相手を「リリーのベトナム舞踊団」の子たちと具体的に挙げている点に、娘の舞踊団に関わる話であることがはっきり出ています。
続くひとことでは、We want her to be more in touch with her heritage と、「僕たち」を主語にして、夫婦の願いを述べます。続く but を境に、願いと現実のあいだの隔たりが語られます。breaking the ice with the other parents has been a little tough は、その隔たりの中身です。ここで a little という控えめな言い方を添えている点が見どころです。tough とは言っても、深刻な行き詰まりというより、「ちょっと難しい」という軽い口調がにじみます。
has been と現在完了形を使っている点にも注目です。これは、今の時点までの状態を述べる形で、「これまでを振り返って難しいと感じている」という響きがあります。
最後のひとことは、キャメロンと自分の2人を主語にして「~も僕たちだけ」と並べていく形です。最後の「僕たちをおもしろいと思ってくれる親も僕たちだけ」で、自分たちを落とす軽い冗談に着地します。悩みを語りながらも、ユーモアで包んでみせる語り口が、ミッチェルらしさとして伝わってきます。
『モダンファミリー』流・覚え方のコツ
break the ice は、冬の朝の池にたとえると覚えやすくなります。水面は分厚い氷におおわれていて、向こう岸へは進めません。そこで棒を一度コツンと当てて、氷にひびを入れます。ひびが走ると、その先から水が動き出します。
人と人のあいだも同じです。初対面のときの緊張は、水面の氷のように固く見えます。でも最初のひとことや、ちょっとした冗談が氷にひびを入れる一撃になり、そこから会話が流れ出します。break the ice の break は、その一撃を表しています。
ミッチェルが語った「ほかの保護者と打ち解けるのがちょっと難しい」という状況も、まだ氷が割れていない水面として思い浮かべられます。氷が厚いほど、最初の一撃を探す時間も長くなります。池の絵には、with のあとに相手を置く形も一緒に書き添えておきましょう。
例文で覚える「break the ice」
break the ice は、仕事の場でも日常でも、人と人のあいだの最初の壁を割る場面で使えます。3つの例文で、場面ごとの使い方を確認していきましょう。
He told a joke to break the ice at the start of the meeting.
(彼は会議の冒頭で、場をほぐすために冗談を言った。)
会議の始まりの緊張をやわらげる、ビジネスの場面です。to break the ice と to 不定詞の形で、冗談を言った目的を示しています。
A: I don’t know anyone at this party.
B: Just say hi and talk about the food. That’ll break the ice.
(A:このパーティー、知ってる人が誰もいないんだ。)
(B:挨拶して料理の話でもしてみなよ。それで空気がほぐれるよ。)
初対面ばかりの集まりで、友人が声のかけ方を助言する会話です。That が前の「挨拶して料理の話をすること」を受けて、それが氷を割る一手になる、と言い切っています。
I brought cookies to break the ice with my new neighbors.
(新しい近所の人たちと打ち解けるために、クッキーを持っていった。)
引っ越し先でのあいさつの場面です。break the ice with + 相手の形で、新しい近所の人たちとの距離を縮めたい気持ちを表しています。
あわせて覚えたい関連表現
warm up to someone
(人にだんだん打ち解ける、好意を持つようになる)
break the ice が最初の壁を割る行為を指すのに対し、warm up to someone は時間をかけて相手に慣れていく変化を表します。
get to know someone
(人と知り合いになる)
get to know someone は、知り合っていく過程全体を指します。break the ice は、そのいちばん最初の緊張をほぐす一歩に焦点があります。
ease the tension
(緊張をやわらげる)
ease the tension は、初対面に限らず、張りつめた場面すべてに使えます。break the ice は、初対面や最初の気まずさと結びつく表現です。
Note|break the ice の形と、warm up to someone・get to know someone との使い分け
break the ice は、場面によって形が少し変わります。ここでは形を3つに分けて確認し、そのうえで近い2つの表現との違いを整理します。
形の1つめは、break the ice with + 相手です。with のあとに、打ち解けたい相手を置きます。I brought cookies to break the ice with my new neighbors. のように使います。2つめは、to 不定詞にして目的を示す形で、He told a joke to break the ice. のように「場をほぐすために」と言うときに使います。3つめは、今回のシーンのように -ing 形にして主語に置く形です。breaking the ice with the other parents has been a little tough. では、動詞の break が名詞のようなはたらきをして、「ほかの保護者と打ち解けること」という意味で文の主語になっています。
次に、近い2つの表現との違いです。break the ice は、最初の壁を割る一回の行為に焦点があります。warm up to someone は、時間をかけて相手への距離が縮まっていく変化を表します。get to know someone は、知り合っていく過程全体を指します。たとえば新しい同僚には、まず挨拶と雑談で break the ice し、その後の数週間で get to know し、やがて warm up to する、というように、時間の流れの中で並べられます。
3つの表現は、最初のきっかけ、時間をかけた変化、知り合う過程全体と、時間の流れの中の位置で役割が分かれています。
まとめ|最初の氷にひびを入れる、ひとこと
break the ice は、初対面や緊張した場で、気まずい空気をやわらげ、打ち解けるきっかけを作る表現です。break the ice with + 相手、to break the ice、-ing 形の主語と、形を変えながら使えます。
warm up to someone や get to know someone と並べると、最初の一歩を指す点が見えてきます。氷の下で水が動き出すのは、ひびが入った瞬間からです。
ミッチェルは、リリーの舞踊団のほかの保護者との関係を、breaking the ice with the other parents has been a little tough と語っていました。次に初対面の集まりへ向かう日は、最初のひとことを何にするか、あらかじめ思い浮かべておく手もあります。


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