海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン11 第19話を起点に、アメリカのアパートで耳にする tenants association(入居者協会)を取り上げます。この回では、建物の入居者協会の会長の座をめぐって、シェルドンとレナードたちの間で一騒動が起こります。
協会とはどんな集まりなのか、そして賃貸契約の名義がなぜ話の決め手になるのか。劇中の場面に沿って、賃貸にまつわる英語とあわせて見ていきます。
「tenants association」は借り手どうしの集まり
話の始まりは、建物の前に来ていたフードトラックが姿を消したことでした。ペニー、レナード、シェルドンがいる場面です。
Penny: The pastrami truck moved.
(パストラミのトラック、移動しちゃった。)Leonard: That is the danger of a restaurant on wheels.
(それが車輪付きレストランの危うさだね。)Penny: No, apparently someone complained to the tenants association, and they’re not allowed to park on our street anymore.
(違うの、誰かが入居者協会に苦情を入れたらしくて、もううちの通りには停められないんだって。)TBBT Season11 Episode19
tenant は家や部屋を借りて住む人、つまり借り手・入居者を指す語です。tenants association は、一般的に、同じ建物や地域に住む借り手が集まってつくる団体とされます。住まいの困りごとを共有したり、まとまって貸し手側に意見を伝えたりする場として説明されることが多い一方、活動の中身や規模、正式な位置づけは地域や物件によって異なります。
ところが劇中の協会は、かなり様子が違います。苦情を入れたのはシェルドンで、しかも協会はシェルドン一人だけでした。勝手に会長を名乗るなとレナードに言われ、シェルドンはこう説明します。
Leonard: You can’t just declare yourself president.
(勝手に会長を名乗るなんてできないだろ。)Sheldon: I didn’t. I called a meeting, I was the only one to attend. I nominated myself, and after a pretty moving speech, I voted myself in.
(名乗ってなどいない。会議を招集したら、出席者は僕一人だった。自分を推薦し、なかなか感動的な演説のあと、自分に投票して当選したのだ。)TBBT Season11 Episode19
call a meeting(会議を招集する)、nominate(推薦する)と、手続きの言葉を一つずつ踏んでいるのに、出席者は本人だけ。この落差が笑いどころになっています。実際の協会では会合に住人が集まって話し合う形が想定されるため、一人きりの協会という設定そのものが誇張として描かれていると言えます。
「lease」に名前があるかが決め手になる
騒動の決め手は、意外なところから出てきました。レナードとペニーが、エイミーとシェルドンの前で切り出します。
Leonard: Turns out, when Amy took over Penny’s apartment, she was put on the lease, not you.
(実はさ、エイミーがペニーの部屋を引き継いだとき、契約に名前が載ったのはエイミーで、君じゃなかったんだ。)Penny: Yeah, and when I moved across the hall, you got taken off the lease and I got added.
(そう、それで私が向かいの部屋に移ったとき、あなたは契約から外されて、私が加えられたの。)TBBT Season11 Episode19
lease は賃貸借契約、またはその契約書を指す語です。be put on the lease(契約に名前が載る)、be taken off the lease(契約から外れる)のように、名義に入るかどうかを on と off で表すのが分かりやすいところです。名義に入っていないシェルドンは技術的には tenant ではない、というのがこの場面の理屈で、エイミーもそう言い直しています。誰が名義人になるか、同居人をどう扱うかは物件や契約ごとに決まるもので、一律の決まりがあるわけではありません。
会長の座が空いたところで、新しい会長が決まります。
Leonard: So, looks like we need to figure out who the new president should be. I nominate myself.
(じゃあ、新しい会長を誰にするか決めないとね。僕は自分を推薦する。)Penny: I second it.
(賛成。)TBBT Season11 Episode19
second は、会議で出された提案や推薦に賛同する動詞です。渋るシェルドンに、エイミーは次のように声をかけます。
Amy: Sheldon, it’s the American way, the peaceful transfer of power.
(シェルドン、それがアメリカのやり方よ。平和的な権力の移譲。)TBBT Season11 Episode19
the peaceful transfer of power は、選挙のあとに権力が争いなく引き継がれることを指して、政治の話題でしばしば聞かれる言い回しです。建物の小さな協会の交代劇に国政の言葉を当てはめているところに、このやり取りのおかしさがあります。
まとめ|賃貸の英語を劇中の騒動から
今回は、借り手の集まりである tenants association、借り手を指す tenant、名義を左右する lease、会議の nominate や second を見てきました。制度の細部は地域や物件で異なりますが、基本の語を押さえておくと賃貸の話題を追いやすくなります。
小さな協会の会長選びから、アメリカの住まいの言葉が見えてくる回です。
この回のほかのコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、会長の座をめぐるやり取りがより立体的に見えてきます。


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