海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『モダンファミリー』シーズン8第18話では、映画へ向かう車の中で、ジェイとグロリアが話し方をめぐって言い合いになります。グロリアが話し始めると、ジェイは途中で何度も口を挟みます。
相手の話が長いと感じたとき、英語ではどう先を促すのでしょうか。この場面には、似ているようで働きの違う言い方が次々と出てきます。語り手の側の言い返しもあわせて見ていきます。
「short and simple」派と「journey」派
まず、二人の話し方の好みがはっきり分かれる場面です。
Jay: A story should be short and simple.
(話ってのは短くて簡単なのがいいんだ。)Jay: Don’t tell me anything I don’t need to know.
(知らなくていいことまで話すな。)Gloria: I am taking you on a journey.
(私はあなたを旅に連れていってるのよ。)Gloria: I am not teaching you how to build a bookcase.
(本棚の組み立て方を教えてるんじゃないの。)Modern Family Season8 Episode18 (Five Minutes)
short and simple は「短くて簡潔」という組み合わせで、話や説明に求める条件をひと言でまとめています。似た並びに short and sweet(短くて気が利いている)があり、こちらはあいさつやスピーチが手短で好ましいときに使われます。
Don’t tell me anything I don’t need to know. は「知る必要のないことは言うな」と、聞き手の側から情報を絞る言い方です。anything と don’t need to know の組み合わせで、余計な情報はいっさい要らないという姿勢がはっきり出ます。
対するグロリアは、take someone on a journey(〜を旅に連れていく)という言い方で、話を聞くことを旅にたとえています。描写を積み重ねて相手を物語の中へ連れていく、という語り手の考え方が伝わってきます。続く I am not teaching you how to build a bookcase. は、組み立て説明書のように要点だけを並べる話し方とは違う、という対比です。
この二人の考え方の違いが、このあとの「急かす英語」の背景になっています。簡潔さを求める側と描写を楽しむ側、どちらの言い分も英語でそのまま言える形になっているのが面白いところです。
「End of story」と「holding his attention」
グロリアがスーパーで有名人を見かけたと思った話を始めると、ジェイはすぐに口を挟みます。
Jay: I already know the ending.
(結末はもう分かってる。)Jay: It wasn’t her.
(本人じゃなかった。)Jay: End of story.
(以上、終わり。)Modern Family Season8 Episode18 (Five Minutes)
I already know the ending. は「結末はもう知っている」と先回りする言い方です。End of story. は「話はそれで終わり」「それ以上言うことはない」と議論や話題を打ち切る決まり文句で、ここではグロリアの話そのものを締めくくろうとしています。強く響くため、使う相手と場面は選ぶほうが無難です。グロリアはこのあと、本当は誰だったのか知らないでしょう、と食い下がります。
相手の話の結末を先に言ってしまう I already know the ending. は、聞き手の側からのかなり強い割り込みです。少しやわらげるなら、I think I know where this is going.(話の行き先が見えてきた気がする)のように推測の形にする手もあります。
話が続くなか、グロリアはマニーに声をかけます。
Gloria: Manny, are you listening?
(マニー、聞いてる?)Manny: No, sorry.
(ううん、ごめん。)Manny: I wasn’t paying attention.
(聞いてなかった。)Jay: Because you’re not holding his attention.
(お前がこいつの気を引けてないからだ。)Modern Family Season8 Episode18 (Five Minutes)
ここでは attention を使った2つの言い方が並んでいます。pay attention は聞き手の側が「注意を払う」、hold someone’s attention は話し手の側が「相手の注意を引きつけておく」ことです。マニーは自分が聞いていなかったと認め、ジェイはそれを話し手の側の問題として言い換えています。主語が聞き手か話し手かで、責任の置き場所が変わる点が分かります。
「Get on with it」と「Just get to the end」の違い
ジェイはさらに続けます。
Jay: And this is what I’ve been talking about too many useless details.
(俺が言ってたのはこれだ、余計な細かい話が多すぎる。)Jay: Get on with it.
(さっさと先へ進め。)Modern Family Season8 Episode18 (Five Minutes)
グロリアがサングラスの話を始めると、ジェイはこう言います。
Jay: Nobody cares about your sunglasses.
(サングラスなんか誰も気にしてない。)Jay: Just get to the end.
(とにかく最後まで飛ばせ。)Gloria: I don’t want to now.
(もう話したくなくなった。)Modern Family Season8 Episode18 (Five Minutes)
2つの言い方は、どちらも話を急かすときに使われますが、求めている中身が違います。
| 表現 | 求めていること | ニュアンス |
|---|---|---|
| Get on with it. | 話を続けたまま、速く先へ進める | 途中で止まっていることへのいら立ち |
| Just get to the end. | 途中を省いて結末まで飛ぶ | 経過はもう要らないという姿勢 |
get on with ~ は「(止まっていたことを)先へ進める」で、ここでは話の続きを早く進めるよう促しています。一方の get to the end は「最後にたどり着く」で、Just が付くことで「とにかく途中は飛ばして」という意味合いになります。どちらも命令形のままではかなりぶっきらぼうなので、日常では Could you get to the point?(要点を言ってもらえる?)のように尋ねる形にするほうが角が立ちません。
最後のグロリアの I don’t want to now. は「今はもう話したくない」で、急かされて話す気がなくなった気持ちを短く伝えています。now が「さっきまでは話すつもりだったのに」という変化を表しています。
まとめ|話の先を促す英語の使い分け
short and simple と take you on a journey に表れた話し方の好み、End of story. で話を打ち切る言い方、そして Get on with it. と Just get to the end. の違い。急かす一言にも、求める中身の差があると分かります。
『モダンファミリー』の家族の言い合いを観ながら、言葉の選び方にも耳を傾けてみると発見があります。
同じ車内で交わされる別のやりとりは、同じ回のほかのコラムやフレーズ記事で取り上げています。


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