海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、『ホワイトカラー』シーズン1 第2話に登場する、いつもと違う相手の行動を、からかい半分に持ち上げるやり取りです。現場対応が一段落したあと、いつになく体を張って動いたピーターを、ニールがからかい交じりに持ち上げ、ピーターも冗談で大げさに返す場面が描かれています。
からかいと持ち上げの応酬が、どんな言葉の組み立てでできているのか、順番に見ていきます。
いつもと違う相手の行動を、からかいながら持ち上げる言い方
現場の対応がひと段落し、周囲に指示を飛ばして事態を収めたピーターの姿は、普段のピーターとは少し違って見えたようです。その様子を見ていたニールが声をかけます。
Neal: Wow. You’re actually doing the whole hero thing.
(すごいな。まさに英雄そのものをやってるじゃないか。)
Peter: Yeah. People’re going to write songs about this.
(ああ。みんな、これを歌にするだろうな。)White Collar Season1 Episode2 (Threads)
You’re actually doing the whole X thing. は、「実際に(いつもと違って)Xというやつをやっているね」と、普段のイメージとは違う行動を取っている相手を、からかい半分に指摘する言い方です。actually が「意外にも」というニュアンスを添え、the whole … thing がその行動をひとまとまりの役割やパターンとして扱う響きを持たせています。
X の部分には hero 以外にも、the whole boss thing(上司ぶるやつ)のように、相手が普段見せない役回りを差し込んで使えます。普段の印象とのギャップをそのまま言葉にすることで、褒め言葉でありながら軽い冗談として伝わる、絶妙な距離感が生まれます。
これに対しピーターは People’re going to write songs about this. と、大げさな賞賛をあえて自分の口から言ってみせます。People are going to ~ で「みんなが〜するだろう」と未来の評判を予告する形を使い、実際にはそんな大それた話ではないとわかった上で、あえて誇張して返す茶化し方です。
相手にからかわれた側が、否定するのではなく開き直って輪をかけて誇張する、軽口の返し方の一例と言えます。からかいをそのまま受け止めるのではなく、さらに大きな話にして返すことで、深刻にならずに笑いへ変えている点が特徴です。
自慢めいた申告を、半信半疑でかわす言い方
この後、ニールは自分がゴヴァットを倒したのだと申告します。ピーターはすぐには信じきれない様子で言い返します。
Peter: You did? Excellent. You don’t look dirty.
(お前がか?大したもんだ。汚れてもいないのに。)
Neal: Yeah, well. I know what I’m doing.
(まあね。自分のやることぐらい、分かってるさ。)White Collar Season1 Episode2 (Threads)
You did? は、相手の申告に対して「そうだったのか」と確認する言い方です。動詞を did で受けて直前の内容をそのまま短く繰り返しており、続く Excellent. も詳しい説明を求めず短く相槌を打つ一言です。ただし、その直後の一言がこの相槌に疑いの色を加えます。
You don’t look dirty. は「汚れてもいないじゃないか」と、申告の内容と目の前の様子が食い違っていることを指摘する一言です。「信じていない」と直接言う代わりに、具体的な食い違いを一つ挙げることで、やんわりと疑いを伝える型と言えます。
ニールの返し I know what I’m doing. は、この疑いに正面から答えるのではなく、「自分のやることは分かっている」とだけ言ってその場をかわす返し方です。Yeah, well という前置きが、開き直りに近い、はぐらかしの響きを添えています。追及に深入りせず、涼しい顔で流してしまう受け答えが見どころです。
まとめ|からかいとかわしの応酬に見る、軽口の型
いつもと違う相手の行動をからかいながら持ち上げる言い方と、自慢めいた申告を半信半疑でかわす言い方を見てきました。持ち上げる側もかわす側も、ちょうどよい温度で軽く受け流す呼吸が伝わってきます。
次回も『ホワイトカラー』の会話とともに、こうした表現の型を見ていきましょう。
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