海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
別の部屋に置いた上着を取りに戻ったり、飲み物を買いに行ったりする、そんな何気ない動作を英語で言い表したい場面は、日常のいたるところにあります。
そんな「取りに行く」を表すgo forを、『ホワイトカラー』シーズン1第2話、パーティー会場で殺人の物音を耳にしたモデルのタラが、コートを取りに行った拍子に事件と鉢合わせしそうになったと証言する場面から、一緒に見ていきましょう。
「go for」の意味とニュアンス
go for
意味:(物・人を)取りに行く
go forはもともと「(何かを)目当てに向かって移動する」という物理的な動作を表す句動詞です。goが「移動する」、forが「目的・対象」を示す働きを持ち、二つが組み合わさることで「目当てのものに向かって歩いていく」という感覚を土台に持っています。日常会話では、別の部屋に置いた上着を取りに行く、飲み物を買いに行く、担当者を呼びに行くといった、具体的な動作を表す場面で自然に使われます。過去形はwent for、現在進行形はgoing forとなり、その場を離れて何かを取ってくる・呼びに行くという一連の動きを短く伝えられる便利さがあります。同じ形のまま、レストランでメニューを「選ぶ」場面(I’ll go for the salad.=サラダにしようかな)や、目標に向かって「挑戦する」場面(命令形のGo for it!=思い切ってやってみて)にも意味が広がりますが、根っこにあるのは「対象へ向かっていく」という一つの感覚です。
【ここがポイント!】
- go forの核は、目当てのものに向かって体ごと移動していくイメージ
- 過去形はwent for、「(物・人を)取りに行く」が最も基本的な使い方
- 同じ形のまま「選ぶ」「挑戦する」にも意味が広がる、懐の広い表現
『ホワイトカラー』S01E02のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
偽造犯ゴヴァットの行方を追うピーターとニールは、事件現場となったパーティーに居合わせたモデルのタラから話を聞いています。奥の部屋へコートを取りに行った拍子に、言い争う二人の男と鉢合わせしそうになったというタラの証言が、捜査の手がかりになっていきます。
Peter: Okay. What happened?
(わかりました。何があったんですか。)Tara: I was at a party.
(パーティーに出ていました。)Peter: Why were you there?
(どうしてそこに?)Tara: Many models were invited. It happened as I was leaving. When I went for my coat. I was in the back room when the two men came in. They were arguing.
(モデルが大勢招待されていたんです。事件が起きたのは、帰ろうとしていたときでした。コートを取りに行ったときのことです。奥の部屋にいたら、男が二人入ってきて。言い争っていました。)White Collar Season1 Episode2 (Threads)
シーン解説と心理考察
タラの証言は、短い文を積み重ねる途切れがちな話し方が特徴です。事件を目の当たりにした緊張と恐怖が、言葉の切れ目のひとつひとつからにじみ出ています。「コートを取りに行った」という何気ない動作の直後に言い争う二人と出くわしたという時系列が、went forの一言を境に、日常が非日常に変わる瞬間を印象づけます。ピーターの短く端的な質問に対して、タラが記憶をたどりながら一つずつ事実を積み上げていくやり取りには、事件直後の聴取ならではの緊張感が漂います。何を取りに行ったかという些細な情報が、後の捜査の手がかりへとつながっていく様子が伝わってきます。
『ホワイトカラー』流・覚え方のコツ
go forを覚えるときは、パーティー会場の喧噪を離れて、奥の部屋に預けたコートへまっすぐ歩いていく人の姿を思い浮かべてみましょう。goが「移動する」、forが「向かう先を指す矢印」の働きをしていて、矢印の先にコートがある構図です。タラが何気なくコートを取りに行っただけのつもりが事件と鉢合わせしてしまったように、目当てのものへ体ごと向かっていく感覚を持っておくと、went for my bagやgo for a walkのように対象を入れ替えるだけで、日常のさまざまな場面に応用できるようになります。
例文で覚える「go for」
go forは、身の回りのものを取りに行く場面から、飲み物を買いに行く、人を呼びに行く場面まで、幅広く使える表現です。3つの例文で、その使い方を見ていきましょう。
Hold on, I’ll go for my jacket. It’s cold outside.
(ちょっと待って、上着を取ってくるよ。外は寒いから。)
友人と出かける直前、部屋に置いてきた上着を取りに戻るときに使える、日常会話らしい一言です。
She went for the manager when the customer had a complaint.
(お客様から苦情が出たとき、彼女は店長を呼びに行きました。)
接客中のトラブル対応の場面で使われる言い方です。取りに行く対象が物だけでなく人にも使える、応用範囲の広さが伝わってきます。
A: I’m going for a coffee. Can I get you anything?
B: Just my usual, thanks.
(A:コーヒーを買いに行くけど、何かいる?)
(B:いつもの、お願い。)
オフィスや学校の休憩時間に交わされるような、気軽なやり取りです。
あわせて覚えたい関連表現
go get
(取りに行く、取ってくる)
go forが「対象へ向かう動き」に焦点を当てるのに対し、go getは「取って戻ってくる」までを含む、より口語的な言い方です。
reach for
(〜に手を伸ばす)
移動を伴わず、その場で対象に手を伸ばす動作を指します。go forは歩いて向かう距離感がある点が異なります。
head for
(〜へ向かう)
方向・目的地への移動そのものに焦点があり、「何かを取る」という含みはありません。go forは取得の目的まで含意できる点が異なります。
Note|「取りに行く」から「選ぶ」まで——go forが広げる意味の地図
go forの中心には、「対象へ向かっていく」という一つの感覚があります。forという前置詞は本来「目的・対象」を示す働きを持ち、goという移動の動詞と結びつくことで、「目当てのものに向かって進む」という意味が生まれました。ask for(求める)やlook for(探す)といった、forを使う句動詞にも共通する感覚です。
この「対象へ向かう」という核から、go forの意味は文脈に応じて広がっていきます。奥の部屋に置いたコートへ向かえば「取りに行く」、レストランのメニューへ向かえば「選ぶ」、目標そのものへ向かえば「挑戦する」という具合です。形は同じでも、向かう先が物か、選択肢か、目標かによって日本語の訳語が変わる幅広さが、この表現の面白いところです。
タラが「コートを取りに行った」という何気ない動作をwent forの一言で語った場面は、go forがもっとも基本的な用法で使われた例だと言えます。
同じ「向かっていく」という一つの動きが、対象次第で表情を変えていきます。
まとめ|身の回りのものを取りに行く、go forの基本
go forは、目当てのものに向かって移動していくという物理的な動作を土台に持つ表現です。別の部屋に置いた上着を取りに行く、飲み物を買いに行く、人を呼びに行くといった、日常のさまざまな場面で自然に使われます。ドラマの中でタラが「コートを取りに行った」瞬間に事件と鉢合わせした場面のように、何気ない一言が状況を語る鍵になることもあります。同じ形のまま「選ぶ」「挑戦する」にも意味が広がる懐の深さを知っておくと、表現の引き出しに加えられる一言になります。


コメント