海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン2第10話では、レイチェルがデートの相手のラスを仲間に紹介します。周りの仲間はラスがロスに似ていることに気づきますが、レイチェルとロスの二人だけはなかなか気づきません。
「似ている」とはっきり言わずに相手に気づいてもらうには、どんな英語を使えばよいのでしょうか。仲間たちが口にしたほのめかしの言葉を、場面の順に見ていきます。
「remind you of someone」似ていることを遠回しに伝える
カフェのセントラルパークで、レイチェルはラスを待たせたまま、テーブルを片づけています。フィービーはそこへ近づき、こう切り出します。
Phoebe: Okay, so you know what you’re doing, right?
(ねえ、自分が何してるか、分かってるよね?)
Rachel: Waitressing?
(ウェイトレスの仕事?)
Phoebe: Well, yeah, but no. I mean, um, okay.
(まあ、そうなんだけど、そうじゃなくて。だから、えっと、いい?)
Phoebe: Doesn’t-doesn’t Russ just remind you of someone?
(ラスって、誰かを思い出させない?)
Friends Season2 Episode10(The One with Russ)
フィービーの最初の問いは、you know what you’re doing, right? と「分かってるよね?」と確認する形で、言いたいことを相手に気づかせようとする前置きです。レイチェルは仕事の話として答え、フィービーは Well, yeah, but no. と、いったん受けてから否定します。相手の答えを頭から退けずに話を戻す、やわらかい返し方です。
続く remind A of B は「AがBを思い出させる」という意味で、「AはBに似ている」と直接言う代わりに使える言い方です。否定疑問の Doesn’t ~? で始めると、「〜じゃない?」と相手の同意を引き出す響きになります。それでもレイチェルは、別の人の名前を挙げて返します。
remind は見た目だけでなく、話し方や雰囲気など全体の印象から誰かを連想させるときにも使われることが多い語です。「似ている」と言い切るよりも、相手に自分で気づいてもらう余地を残せるのが、この言い方の働きです。
ロスとラスが紹介される場面でも、チャンドラーが「これで予備ができた」という冗談を言い、似ていることをほのめかしています。
物語の最後の場面では、レイチェルと別れたラスが、チャンドラーとフィービーにこう尋ねます。
Russ: Oh, all she said was that I remind too much of somebody.
(彼女が言ったのは、僕が誰かに似すぎてるってことだけでさ。)
Russ: Do you have any idea who she’s talking about?
(誰のことを言ってるのか、心当たりある?)
Friends Season2 Episode10(The One with Russ)
too much of somebody と too much が加わると、「誰かに似すぎている」という意味になります。Do you have any idea ~? は「〜について心当たりはある?」と尋ねる聞き方です。最後にフィービーは知らないふりをして、別の名前を挙げてはぐらかします。
「Do you not see it?」気づかない相手に迫る否定疑問
レイチェルとラスが店を出ていったあと、ロスがレイチェルのデートを話題にすると、チャンドラーとモニカはこう問いかけます。
Chandler: Yes. Yes, but did you see who she was dating?
(ああ、ああ。でも、相手が誰か見たか?)
Ross: What do you mean?
(どういう意味だよ?)
Monica: Do you not see it?
(分からないの?)
Ross: See what?
(何が?)
Friends Season2 Episode10(The One with Russ)Ross: I don’t know what she sees in-in that goober.
(彼女があんなやつのどこがいいのか、俺には分からないよ。)
Ross: And it.. And it takes him, what? like-like, I don’t know, uh, uh, hello a week to get out a sentence?
(それにあいつ、何だ、えーと、その、ほら、一文言うのに一週間かかるだろ?)
Chandler: Yeah, it’s annoying, isn’t it?
(ああ、イライラするよな?)
Ross: Yeah.
(ああ。)
Friends Season2 Episode10(The One with Russ)
ここでの see は「見る」ではなく「気づく、分かる」という意味です。Do you not see it? は Don’t you see it? を分けて言った形で、not を強めに置くことで「本当に分からないの?」と迫る響きになるとされています。ロスは See what? と返し、問いの意味が伝わっていないことが分かります。その前のチャンドラーの did you see who she was dating? も、答えは言わずに「相手が誰か見た?」と事実に目を向けさせるだけの問いで、ほのめかしの一歩目になっています。
一方、ロスの see A in B は「BのAに魅力を感じる」という使い方で、what she sees in him なら「彼女が彼のどこを気に入っているのか」です。同じ see が、気づくという意味と、魅力を見いだすという意味の両方で出てくるのが、この場面の英語の面白さです。チャンドラーは、ロスの不満に同意する形で it’s annoying, isn’t it? と返しています。
後の場面で、カウンターにいるフィービーはレイチェルに、今度ははっきり伝えます。
Phoebe: You don’t see it? You actually don’t see it?
(分からない? 本当に分からないの?)
Rachel: What?
(何が?)
Phoebe: Okay.
(いい?)
Phoebe: Honey, you’re dating Ross.
(あのね、あなたはロスと付き合ってるのよ。)
Rachel: No, Pheebs, I’m dating Russ.
(違うわよ、フィービー。私が付き合ってるのはラスよ。)
Phoebe: Russ is Ross. Russ, Ross.
(ラスはロスなの。ラス、ロス。)
Friends Season2 Episode10(The One with Russ)
フィービーは actually を足して同じ問いを繰り返し、ほのめかしから言い切りへ切り替えています。you’re dating ~ の一文は字義どおりの意味ではなく、ラスがロスに似ていることを強く伝えるための言い方です。それでもレイチェルは、名前が似ていること以外は分からないと返します。このとき使われる other than ~ は「〜以外は」という意味で、相手の指摘の一部だけを認め、残りを否定するときに使えます。
まとめ|ほのめかしから言い切りまでの英語
似ていることを遠回しに伝える remind you of someone、気づかない相手に迫る Do you not see it? と You don’t see it?、魅力を表す see A in B を見てきました。ほのめかしから言い切りへ、言葉の強さが段階的に変わっていく流れが見えてきます。
仲間たちのほのめかしと、気づかない二人の返事に注目しながら観ると、この回の会話がいっそう楽しめます。
この回のフレーズ記事やほかのコラムとあわせて読むと、ラスをめぐる会話の英語がさらに見えてきます。


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