「give someone a break」の意味と使い方|『フレンズ』S02E10で学ぶ英会話

「give someone a break」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

同じ話を何度も蒸し返されて、思わず「もう勘弁して」と口をついて出そうになる。あるいは逆に、自分のミスを「今回だけは見逃して」と頼み込む。そんな正反対の場面が、誰にでもあるはずです。

どちらにも使える「give someone a break」を、『フレンズ』シーズン2第10話の中盤、俳優の代理人が電話口で別の依頼人をあしらっているシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「give someone a break」の意味とニュアンス

give someone a break
意味:大目に見る、勘弁する、手加減する

break は「休憩」や「中断」を指します。give someone a break を直訳すれば「誰かに休憩を与える」となりますが、実際に休ませるという意味ではありません。相手が加えている圧力や追及を、一時的に緩めてほしいと求める表現です。

この表現の面白いところは、方向が二つあることです。相手の言い分がしつこかったり無理があったりするときは「いい加減にして」という呆れの相槌になります。反対に、自分の失敗を許してほしいときは「今回は見逃して」という懇願になります。同じ言葉が、見下ろす方向にも見上げる方向にも働きます。

どちらに転ぶかを決めるのは、語調と状況です。文字の上だけでは判断がつきません。break の前に第三者を置けば、その人をかばう言い方にもなります。

【ここがポイント!】

  • 核は「追及の連続を、一瞬だけ断ち切ってくれ」という要求のイメージ
  • 呆れの相槌にも、許しを乞う懇願にもなる、方向の定まらない表現
  • どちらの意味かは、語調と状況から読み取るのがコツ

『フレンズ』S02E10のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

ジョーイがオーディションの報告に、代理人の事務所を訪れます。ところが彼女は電話中でした。電話の相手は画面に映らず、彼女の声だけで会話が進んでいきます。相手は鳥を使った芸を売りにしていた依頼人らしく、その鳥が死んでしまったという事情があるようです。食い下がる相手に、ついにこの一言が飛び出します。

Estelle: No. No, no, no, no, I’m not saying you’re not talented. You’re very talented. It’s just that with the bird dead and all there’s very little act left.
(いえ、才能がないなんて言ってないの。あなたはとっても才能があるわ。ただね、鳥が死んじゃった以上、芸として残るものがほとんどないのよ)

Estelle: Oh, honey, give me a break.
(ちょっと、勘弁してちょうだい)

Estelle: Oh. I’ll talk to you later. Well, there’s my favorite client. So, tell me, darling, how was the audition?
(じゃ、また後でね。あら、私のお気に入りの依頼人じゃない。それで、オーディションはどうだったの?)

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シーン解説と心理考察

「才能がないとは言っていない」という前置きが、まず耳に残ります。褒め言葉から入って断りへ向かうこの型は、相手を傷つけまいとする配慮であると同時に、話を長引かせないための手順でもあります。それでも相手は食い下がってきたのでしょう。

give me a break が出てくるのは、その配慮が尽きた瞬間です。軽い苛立ちがにじむ場面ですが、彼女は関係を断ち切ってはいません。honey という呼びかけを添えているあたりに、あしらいながらも縁は残しておくという計算が見えます。

そして電話を切った直後、彼女はまったく違う温度でジョーイへ向き直ります。「私のお気に入りの依頼人」「darling」と続く言葉の甘さは、たった今まで電話口にあったものと同じ種類の愛想です。この切り替えの速さが、業界における本音と社交の落差をやわらかく見せています。

『フレンズ』流・覚え方のコツ

責め立てられている人が、両手を上げて「ちょっと休ませてくれ」と訴える姿を思い浮かべてみてください。攻撃が止まないなかで、一瞬の隙間を求めている。その手のひらの動きが give me a break です。

代理人はこのとき、電話の向こうから食い下がられ続けています。彼女が求めているのは文字通りの休憩ではなく、追及の手を緩めてもらうことです。「休憩をくれ」が「勘弁してくれ」に転じる回路が、この場面ではっきり見えます。

誰かをかばいたいときは、その人を break の前に置いてください。give the kid a break と言えば、責められている子どもの前に立って「この子に休憩をやってくれ」と手を広げる構図になります。守る相手が誰なのかが、目的語の位置で決まります。

例文で覚える「give someone a break」

呆れにも懇願にも使えるこの表現は、目的語の位置を変えるだけで「かばう」言い方にもなります。三つの方向を見ていきましょう。

Give me a break — it’s my first day.
(大目に見てよ、今日が初日なんだ)
慣れないミスを許してほしいときの一言です。理由を後ろに置くと、呆れではなく懇願の方向に振れます。

Could you give me a break on the deadline? I’m two days behind.
(締め切りを少し融通してもらえませんか。2日遅れているんです)
上司に期限の延長を頼む場面で使えます。on を続けると「何について大目に見てほしいのか」を具体的に指定できます。

A: You expect me to believe you finished the whole report last night?
B: Give me a break. I’ve been up since four.
(A:あのレポートを昨夜のうちに全部仕上げたって、信じろって言うの?)
(B:勘弁してよ。朝の4時から起きてるんだから)
疑いをかけられて反発する会話です。単独で置くと、呆れと不信をひとまとめにした相槌として機能します。

あわせて覚えたい関連表現

cut someone some slack
(手加減する、大目に見る)
ロープの張りを緩めるイメージの表現で、継続的な圧力を弱めることを指します。give someone a break が一回きりの見逃しにも使えるのに対し、こちらは基準そのものを緩める含みが強くなります。

lay off
(やめる、放っておく)
「攻撃をやめろ」という直接的な制止です。give someone a break より語気が強く、相手を突き放す響きがあります。親しくない相手には使いにくい表現です。

go easy on someone
(手加減する、優しく接する)
接し方そのものを穏やかにすることを求めます。give someone a break が「今回は見逃して」であるのに対し、こちらは「終始やわらかく扱って」という要求になります。

Note|呆れと懇願を同じ言葉で言う

give me a break という四語は、状況によって正反対に近い方向へ振れます。この振れ幅は、いったい何によって決まるのでしょうか。

たとえば相手が信じがたい主張を繰り返しているとき、この一言は「いい加減にしろ」という突き放しになります。話し手は相手を見下ろす位置にいて、語調は強く、語尾は下がります。ところが自分がミスをして許しを乞うとき、同じ四語が「今回は見逃してください」という懇願に変わります。話し手は見上げる位置にいて、語調はやわらぎ、しばしば理由が後ろに続きます。文字にすればまったく同じ文が、正反対の力関係を運びます。

この振れ幅を決めているのは、意味ではなく温度です。ネイティブが日常的に使い分けているのは語義ではなく、声の高さ、速さ、そして直前の状況です。give the kid a break のように第三者を目的語に置けば、今度は「かばう」という第三の方向が現れます。目的語の位置ひとつで、話し手の立ち位置が動いていきます。

代理人の give me a break が呆れの側に振れて聞こえるのは、彼女が断る側に立っているからです。同じ四語を電話の向こうの依頼人が口にしていれば、それは懇願として響いていたはずです。同じ通話のなかで、言える人と言えない人が分かれています。

どちらの意味かは、言葉ではなく場面が決めています。

まとめ|代理人の四語が教えてくれること

give someone a break は、相手が加えている圧力を一瞬だけ止めてほしいという要求です。その圧力を止める理由が呆れなのか、それとも許しを乞う気持ちなのかは、言葉の側では決まりません。同じ四語が、話し手の立ち位置によって別の方向へ動きます。

この表現を知っていると、英語のやり取りで「どちらの意味だろう」と立ち止まれるようになります。語調を聞き、状況を見て、初めて意味が定まる。そういう言葉があると知っておくこと自体が、聞き取りの精度を変えていきます。

呆れにも懇願にも転じる四語として、会話のレパートリーに加えてみてください。

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