海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン2第5話では、モニカ、ロス、チャンドラーの3人が、ほかの3人にごちそうとコンサートのチケットを用意します。ところが、その申し出は思ったようには受け取られません。
好意を差し出す側と、受け取りきれない側。どちらの言い分にも使える英語が、この回のやりとりに並びます。おごりの申し出から、気持ちのすれ違い、最後のひと言までを順に見ていきます。
「It’s on us」とおごりを申し出る
レストランで収入の差が話題になったとき、ロスの誕生日のコンサートはやめておこうという話が出ます。その後、モニカの部屋で、モニカが職場の新しい仕入れ先からもらったステーキと、チャンドラーが持つ6人分のコンサートのチケットが、座っている3人の前に出されます。
Monica: It’s on us, all right? So, don’t worry– this is… our treat.
(これは私たちのおごりよ、いい?だから心配しないで。……私たちからのごちそうなの。)
Phoebe: So… thank you.
(じゃあ……ありがとう。)
Ross: Could you be less enthused?
(それ以上気のない返事ってある?)
Friends Season2 Episode5(The One with Five Steaks and an Eggplant)
It’s on us. の on は「〜の負担で」という意味で、It’s on me. なら「私のおごり」、It’s on the house. なら「店のおごり」です。続く our treat も「私たちのごちそう」で、treat は名詞として「おごり」を表します。モニカは同じ申し出を2通りの言い方で重ねて伝えます。
それに対するフィービーの返事は So… thank you. の短いひと言です。ロスの Could you be less enthused? は、直訳すると「もっと乗り気でなくなることはできる?」で、実際には「これ以上ないくらい気のない反応だな」という皮肉です。enthused は「熱心な」「乗り気な」という意味の形容詞です。less を使った疑問文で相手の反応の薄さを指摘する型で、日常会話でも冗談まじりに使われることがあります。
「It’s a nice gesture」と好意を認めつつ引っかかりを伝える
ロスの皮肉を受けて、ジョーイが口を開きます。
Joey: Look, it’s a nice gesture.
(なあ、気持ちはうれしいんだ。)
Joey: It is, but it just feels like…
(ほんとにそうなんだけど、なんか……)
Monica: Like?
(なんか?)
Joey: Charity.
(施しみたいでさ。)
Friends Season2 Episode5(The One with Five Steaks and an Eggplant)
gesture は「身ぶり」のほかに、「気持ちを示す行い」「心づかい」という意味があり、a nice gesture で「ありがたい心づかい」を表します。ジョーイはまずそれを認め、It is, but ~ と続けて「本当にそうだけど」と引っかかりを切り出します。いきなり否定せず、相手の好意を一度受け止めてから本音を足す順番です。最後の charity は「慈善」「施し」で、対等な友達どうしの好意が、一方的な施しのように感じられることを1語で伝える言葉です。
Ross: We’re just trying to do a nice thing here.
(俺たちはただ、いいことをしようとしてるだけなんだって。)
Rachel: Yeah, but Ross, you have to understand your nice thing makes us feel about this big.
(うん、でもロス、分かってほしいの。あなたたちのいいことのせいで、私たち、これくらいちっちゃく感じちゃうのよ。)
Phoebe: Actually, it makes us feel that big.
(ていうか、これくらいね。)
Ross: I mean, you.. It’s like we can’t win with you guys.
(いや、だって……お前らには何をやっても勝てないみたいだ。)
Chandler: Yeah, I mean, if you guys feel this big maybe that’s not our fault. Maybe that’s just… how you feel.
(ああ、つまりさ、お前らがこれくらいちっちゃく感じるなら、それは俺たちのせいじゃないかもしれないだろ。それはただ……お前らの感じ方なんじゃないか。)
Friends Season2 Episode5(The One with Five Steaks and an Eggplant)
make ~ feel this big は「〜に自分がこれくらい小さいと感じさせる」、つまり肩身の狭い思いをさせるという言い方です。フィービーは this を that に替えて言い直します。ロスの can’t win with ~ は「〜相手だと何をしてもうまくいかない」という意味で、差し出した好意が裏目に出た戸惑いを表す言い回しです。
「Let me get that」で支払いを引き受ける
結局、3人はコンサートに行かず、モニカ、ロス、チャンドラーだけが出かけます。後日、カフェのセントラルパークで、コンサートのあとに3人が楽しく過ごしていたと分かると、ロスとレイチェルはこう言い合います。
Ross: Look, don’t blame us. You guys could have been there.
(なあ、俺たちのせいにするなよ。お前らだって来られたんだから。)
Rachel: Oh, what? As part of your poor friends outreach program?
(え、何?あなたたちの「貧しい友達の支援プログラム」の一環として?)
Friends Season2 Episode5(The One with Five Steaks and an Eggplant)
outreach program は、支援が届きにくい人に向けて団体などが行う取り組みを指す語です。レイチェルはそこに poor friends をつけ、自分たちが支援される側に置かれているという皮肉を込めた一言です。ジョーイの charity と同じく、好意が施しに見えるという引っかかりが、別の言葉で繰り返されている形です。
このあと、モニカは仕事の電話で解雇を告げられます。ジョーイは支払いを引き受けると申し出ます。
Joey: Let me get that.
(ここは俺が払うよ。)
Joey: You got five bucks?
(5ドル持ってる?)
Friends Season2 Episode5(The One with Five Steaks and an Eggplant)
Let me get that. の get は「(支払いを)持つ」という意味で、会計の場面で「ここは私が」と申し出るときに使われる言い方です。ジョーイはその直後、チャンドラーに You got five bucks? と尋ねます。支払いを申し出たすぐあとに、相手の手持ちを確かめる流れです。You got ~? は Have you got ~? の Have が省かれたくだけた形で、Do you have ~? と同じ意味で使われます。
まとめ|好意を差し出す英語と受け取る英語
It’s on us と our treat の申し出、It’s a nice gesture, but ~ で好意を認めてから引っかかりを伝える型、can’t win with ~ の戸惑い、そして Let me get that の申し出を見てきました。差し出す側と受け取る側の両方を知っておくと、すれ違いも言葉にできます。
おごりをめぐる6人の会話を思い出しながら、次回も『フレンズ』と一緒に英語を学んでいきましょう。
このエピソードのほかのコラムやフレーズ記事でも、お金をめぐる別の場面の英語を取り上げました。


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