海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン2第10話では、レイチェルのデート相手のラスと、ロスがカフェのソファで張り合います。二人は言葉の使い方をめぐって言い返し合い、最後はお互いの話をさえぎり合う展開になります。
言い合いの英語は、相手を正す前置き、決めつけへの問い返し、「最後まで言わせて」の一言に分けると整理しやすくなります。三つの場面から順に見ていきます。
「You could not be more wrong」相手の誤りを正し、突っぱねる
カフェのセントラルパークで、ソファに座ったチャンドラーがクロスワードを解きながら、両隣のロスとラスに話を振っています。そのうち、ロスがラスに向かってこう言います。
Ross: For your information it’s a card sharp not a card shark.
(言っておくけど、それは card shark じゃなくて card sharp だから。)
Russ: You could not be more wrong. You could try, but you would not be successful.
(君はこれ以上ないほど間違ってるよ。もっと間違えようとしても、うまくはいかないだろうね。)
Friends Season2 Episode10(The One with Russ)
For your information は「念のため言っておくと」「参考までに」という前置きです。情報を足すだけの中立な使い方もありますが、言い合いの場面では「知らないようだから教えてあげる」という、とげのある響きになることが多いとされています。ロスはこの前置きに続けて、言葉の違いを持ち出します。card sharp と card shark のどちらが正しいかについて、作中では二人の言い分がぶつかるだけで、答えは示されません。
ラスの You could not be more wrong. は、直訳すると「これ以上間違えることはできないだろう」で、「完全に間違っている」と強く否定する言い方です。could not be more ~ は「これ以上ないほど〜だ」という型で、I couldn’t be happier.(最高に幸せ)のように、よい意味でも使われます。ラスはさらに You could try(やってみてもいいけど)と続け、同じ型を引き延ばして言い返しています。
「I know what your problem is」決めつけを受けて問い返す
チャンドラーがコーヒーを取りに行くと言うと、二人の言い合いはロスへの指摘に移ります。
Russ: I know what your problem is.
(君の問題が何か、僕には分かってる。)
Ross: Oh, you do, do you?
(へえ、分かってるって?)
Russ: Uhm-hm, you’re jealous.
(うん、君は嫉妬してるんだ。)
Ross: Uh…of what?
(えっと……何に?)
Russ: You’re jealous because I’m a real doctor.
(僕が本物の医者だから、嫉妬してるんだよ。)
Friends Season2 Episode10(The One with Russ)
I know what your problem is. は「君の問題が何か分かっている」と、相手の態度の理由を決めつけて言い当てようとする前置きです。言われた側は身構えやすい言い方なので、日常で使うときは相手との関係に注意が要ります。
ロスの Oh, you do, do you? は、相手の you know を受けて you do と返し、さらに do you? を付けた形です。前半と同じ肯定の付加疑問を重ねると、「へえ、そうなの?」と疑いや皮肉を込めて聞き返す響きになることが多いとされています。否定の付加疑問(don’t you?)で確認を求めるのとは働きが違います。
続く of what? は、jealous of ~(〜をねたむ)の of だけを拾って「何に?」と短く問い返す形です。相手の文の前置詞をそのまま使うと、長く言い直さなくても質問になります。最後のラスの You’re jealous because ~ は、「〜だから嫉妬しているんだ」と理由を添えて、決めつけの中身を言い切る形です。ラスの答えを受けて、ロスはラスの専門分野をからかって言い返し、言い合いはさらに続きます。
「Let me finish」話をさえぎられたときの一言
ラスが言い返そうとしたところで、二人はお互いの話を止め合います。
Russ: You listen–
(いいか、聞いて──)
Ross: No, no. Let me finish.
(いや、いや。最後まで言わせろ。)
Russ: No, let me finish.
(いや、僕に最後まで言わせて。)
Ross: No, you let me finish.
(違う、そっちが俺に最後まで言わせるんだ。)
Friends Season2 Episode10(The One with Russ)
Let me finish. は「最後まで言わせて」と、話をさえぎられたときに使う一言です。ラスが話し始めたところで、ロスは自分の話がまだ終わっていないとして、この言葉で止めています。ラスが同じ言葉を返し、ロスが you let me finish と主語の you を加えて言い返すことで、「そっちこそ」と相手に向け直しています。命令文に you を付けると、相手を強く指す響きが加わります。
なお、let me ~ は「私に〜させて」という依頼の形で、Let me explain.(説明させて)や Let me think.(考えさせて)と同じ作りです。finish の後ろに目的語を置かなくても、「今の話を終えさせて」という意味で通じます。
同じ場面で使える言い方を、作中の形とあわせて並べると次のようになります(作中以外は一般的な例です)。
| 言い方 | ニュアンス |
|---|---|
| Let me finish. | 最後まで言わせて(作中の形) |
| Can I finish? | 言い終えてもいい?と尋ねる、やわらかめの形 |
| Hold on, I’m not done. | ちょっと待って、まだ途中なの |
| Sorry, go ahead. | ごめん、どうぞ(相手に譲るとき) |
言い合いでは Let me finish. の応酬になりがちですが、譲る側の Sorry, go ahead. を知っておくと、話を落ち着かせるきっかけにもなります。このあと二人の後ろにレイチェルが来て、ロスとラスはそれぞれ Hi. とあいさつします。
まとめ|言い返すときと、さえぎられたときの英語
相手を正す For your information、強い否定の You could not be more wrong、決めつけに問い返す Oh, you do, do you? と of what?、さえぎられたときの Let me finish を見てきました。言い合いの流れに沿って覚えると、使いどころと響きの強さがつかみやすくなります。
ソファの二人の張り合いを観ながら、言い返し方の幅を広げていくのも一つの楽しみ方です。
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