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『フレンズ』シーズン3第1話では、チャンドラーは、付き合っているジャニスと今度は別れないと言い切ります。ところがジョーイは、どうしてもジャニスが苦手です。
苦手な相手のことを話すとき、どの強さの言葉を選ぶかで、聞き手の受け取り方は大きく変わります。「うっとうしい」と言い切る言い方、hate を避けて言い換える言い方を、3つの場面から見ていきます。
「She’s annoying」と言い切ったうえで受け入れる
チャンドラーがジャニスと別れないという話は、モニカの部屋に集まった仲間のあいだでも話題になります。二人がお似合いだと言うレイチェルに、ジョーイは納得がいきません。
Rachel: Have you seen them together? They’re really cute.
(二人が一緒にいるとこ見た?すごくかわいいのよ。)
Joey: “Cute”? This is Janice! You remember Janice?
(「かわいい」?ジャニスだぞ!ジャニスを覚えてるだろ?)
Rachel: Yes, I remember. She’s annoying. But you know what? She’s his girlfriend now. I mean, what can we do?
(ええ、覚えてるわよ。うっとうしい人よね。でもね、今は彼の恋人なのよ。つまり、私たちに何ができるっていうの?)
Friends Season3 Episode1(The One With the Princess Leia Fantasy)
annoying は「うっとうしい」「いらいらさせる」という意味の形容詞で、相手の言動が神経にさわることを率直に表します。レイチェルはそれを認めたうえで、But you know what? と話の向きを変え、what can we do? で「どうしようもないでしょ」と受け入れる方向に締めくくっています。
ここでの What can we do? は、答えを求めない問いかけで、「仕方がない」というあきらめを表します。ところがジョーイは、この一言に「それだよ、その意気込みだ」と飛びつきます。「何か手を打とう」という問いとして受け取り、誰から案を出すかと仲間に聞き始めるのです。ロスが「大人になって受け入れよう」と提案すると、ジョーイはそれを Plan B と呼んで脇に置きます。同じ英文が、言い方と受け取り方しだいで正反対の意味になるという場面です。
「She’s just a lot to take」で hate を避ける
チャンドラーの部屋では、アイスホッケーの試合のチケットの話から、チャンドラーがロスではなくジャニスを誘うつもりだと分かります。その流れで、チャンドラーが切り出します。
Chandler: I may be way out on a limb here, but do you have a problem with Janice?
(見当違いだったら悪いけど、お前、ジャニスのことで何か問題あるのか?)
Joey: No!
(ないよ!)
Joey: Yes…
(ある……)
Joey: Oh, God, how do I say this? Uh…
(ああもう、どう言えばいいんだ?えっと……)
Friends Season3 Episode1(The One With the Princess Leia Fantasy)
I may be way out on a limb here, but ~ は、「外れているかもしれないけど」と前置きして推測を口にする言い方です。out on a limb は木の枝の先に出ている状態のたとえで、根拠の弱い場所に立っているという含みがあります。話を切り出す側が、自分の推測が外れる可能性を先に認めておくことで、相手が否定しやすくなることもあります。ジョーイは否定から肯定へ言い直し、How do I say this? で言いにくさを示します。
Joey: Look, I don’t hate Janice. She’s just a lot to take, you know?
(なあ、ジャニスのことは嫌いじゃないんだ。ただ、ちょっと手に余るっていうかさ。)
Friends Season3 Episode1(The One With the Princess Leia Fantasy)
a lot to take は「受け止めるには多すぎる」という意味合いで、人について言うと「付き合うのに骨が折れる」「手に余る」と受け取られることが多い表現です。I don’t hate ~. で強い語をまず否定し、just で「ただ〜なだけ」と程度を下げる組み立てになっています。
Joey: Don’t look at me like that. She drove you nuts before, too, remember?
(そんな目で見るなよ。お前だって前は彼女にイライラしてたじゃないか、覚えてるだろ?)
Chandler: I’m crazy about her now. This could be the real thing. Capital R, capital T!
(今は彼女に夢中なんだよ。これは本物かもしれない。大文字のR、大文字のTだ!)
Friends Season3 Episode1(The One With the Princess Leia Fantasy)
drive ~ nuts は「〜をいらいらさせる」、be crazy about ~ は「〜に夢中だ」という意味です。どちらも nuts や crazy のような「正気でない」系の語を使いながら、向きが正反対になっている対比が分かります。チャンドラーの the real thing は「本物」で、そのあとの Capital R, capital T は、その頭文字を大文字で強調する冗談です。
このあとチャンドラーは「彼女を好きだと言ってほしい」と迫りますが、ジョーイは無理だと答え、chemical thing(化学反応のようなもの)という言葉で説明します。理屈では変えられない相性の問題だと伝える表現で、「合わない」理由を説明するときの手がかりになります。
「I never said “hate.”」本人に問い詰められたら
ジョーイの本音は、やがてジャニス本人に伝わります。チャンドラーの部屋で、ジャニスがジョーイに切り出します。
Janice: So I hear… you hate me!
(で、聞いたわよ……あんた、私のこと嫌いなんだって!)
Joey: I, uh, never said “hate.” I was very careful about that.
(いや、その、「嫌い」とは一言も言ってない。そこはすごく気をつけたんだ。)
Friends Season3 Episode1(The One With the Princess Leia Fantasy)
So I hear ~ は「〜って聞いたけど」と、人づてに知った話を相手にぶつける切り出し方です。ジョーイの I never said “hate.” は、言葉そのものを引用して「その語は使っていない」と弁明する形です。実際、チャンドラーとの会話でジョーイは I don’t hate ~ の形で「嫌いじゃない」と言っていたので、言葉の上では本当のことを言っています。
続く I was very careful about that. は「そこは慎重に言葉を選んだ」という意味で、本人が言葉の強さを意識していたことを自分から明かす一言になっています。気持ちの中身は同じでも、hate という語を使ったかどうかが、ジョーイにとっての言い分の分かれ目です。
まとめ|苦手な気持ちを伝える言葉の強さ
She’s annoying で率直に認める言い方、She’s just a lot to take で hate を避けてやわらげる言い方、I never said “hate.” で言葉の選び方を盾にする言い方を見てきました。同じ苦手でも、選ぶ語で角の立ち方が変わります。
ジョーイとチャンドラーのやりとりを観ていると、言葉の強さを測りながら話す英語の感覚が見えてきます。
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