海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『メンタリスト』シーズン3第1話には、リズボンが、CBI(カリフォルニア州捜査局)で上司にあたるハイタワーに捜査の状況を伝え、念押しの指示を受け、提案を断られる場面があります。報告のあとに指示が出て、返事の弱さを突かれ、頼みが退けられるという流れです。
上司と部下のやりとりに出てくる英語を、台詞に沿って順に見ていきます。指示を受け止める返事から断りの言葉まで、場面ごとに形が違います。
「Keep Molly in public affairs apprised」念押しの指示を受け止める
リズボンが、リグスビーとヴァン・ペルトが誘拐現場の周辺で聞き込みをしていると報告する場面です。聞き込みは英語で canvass と言い、台詞では canvassing the area の形で使われています。報告を受けるのは、リズボンの上司にあたるハイタワーです。ハーヴェイ・ダブリンは、誘拐されて行方が分からなくなっている大物ロビイストです。その事件をめぐり、ハイタワーは次のように指示を出します。
Hightower: Well, this is a scary one. Lots of attention.
(これは厄介な事件ね。注目が集まっている。)
Hightower: Keep Molly in public affairs apprised of any good stuff we can feed the media,
(広報のモリーには、メディアに流せる好材料があれば随時知らせておいて。)
Hightower: keep them on our side, and don’t make any mistakes.
(味方につけておくこと。そして、ミスはしないこと。)
Lisbon: No, ma’am.
(しません。)
The Mentalist Season3 Episode1 (Red Sky at Night)
a scary one の scary は「怖い」という意味ですが、ここでは事件の重大さを指す言い方として読めます。keep A apprised of B は、AにBを随時知らせておく、という形です。feed the media の feed は「餌を与える」から、情報を提供するという使い方になっています。keep them on our side は「味方につけておく」で、メディアを指しています。
最後の No, ma’am. は、don’t make any mistakes という否定の指示に No で応じており、「しません」という意味になります。ma’am は、目上の女性に対する呼びかけです。指示を、短い返事で受け止めています。
「That’s not very convincing」歯切れの悪い返事を突く
ジェーンの様子をめぐるやりとりの中で、リズボンが次のように返し、ハイタワーがそれを受けます。
Lisbon: I mean, no. Well, I don’t think so. I think he’ll be fine.
(つまり、違うわ。ええと、そうは思わない。大丈夫だと思う。)
Hightower: That’s not very convincing, Lisbon.
(あまり説得力がないわね、リズボン。)
The Mentalist Season3 Episode1 (Red Sky at Night)
リズボンの返事は、I mean, no. と Well, I don’t think so. で言い直しを重ねたあと、I think he’ll be fine. で終わっています。I think ~ は断定を弱める形で、言い直しが続くため、確信が弱く聞こえます。convincing は「説得力がある」という意味で、not very ~ で「あまり〜でない」という控えめな否定になります。ハイタワーは、リズボンの名前を呼びかけて、指摘しています。
続いて、ジェーンを休ませたほうがよいという提案が出ます。それが断られるやりとりが次です。
— I think some time off will do him good, though.
(ただ、少し休みを取らせたほうが彼のためになると思う。)
Hightower: Yeah, well, no can do.
(ええ、でも、それは無理ね。)
— Bertram wants him on the Dublin case.
(バートラムは彼にダブリンの件を担当させたがっている。)
The Mentalist Season3 Episode1 (Red Sky at Night)
some time off は「少しの休み」で、do 人 good は「人のためになる」という形です。no can do は「できない」を短く言い切る口語で、それだけで断りが伝わる短い言い方です。そのあと、バートラムの名前が出ます。バートラムは、ハイタワーの上に立つ、部門全体の責任者です。want 人 on ~ は、人を〜に加えたがる、という形で、断りの理由が上の意向にあることを示しています。
「I don’t wanna know」立場の事情と、聞かない返事
ハイタワーは、バートラムについて次のように述べます。
Hightower: He won’t let personal issues intrude.
(彼は個人的な事情を持ち込ませない。)
Hightower: Jane’s the best asset we have, and Bertram knows that.
(ジェーンはうちで一番の戦力で、バートラムもそれを知っている。)
The Mentalist Season3 Episode1 (Red Sky at Night)
intrude は「入り込む」という意味で、let ~ intrude は入り込むのを許す、という形です。ここでは否定の won’t が付いて、個人的な事情を仕事に持ち込ませない、という意味になります。asset は本来「資産」ですが、ここでは役に立つ人材を指しています。the best asset we have は、最上級に we have が付いて「手持ちの中で最高の」という形です。
そのあと、ジェーンを事件に就かせる件で、もう一度やりとりがあります。
Hightower: I’m not gonna tell Bertram we can’t control our own people.
(うちの人間を統制できないとは、バートラムには言わない。)
Lisbon: I have an idea as to how to persuade him, but it’s kind of unethical.
(彼を説得する方法に心当たりがあるけれど、少し倫理に反するわ。)
Hightower: I don’t wanna know.
(知りたくない。)
The Mentalist Season3 Episode1 (Red Sky at Night)
control our own people は「自分たちの人員を統制する」という意味です。リズボンの台詞では、as to ~ が「〜に関して」を表し、kind of が「少し」とぼかす働きをしています。unethical は「倫理に反する」で、策の中身は台詞に出てきません。
最後の wanna は want to の口語の形で、I don’t wanna know. は聞きたくないという返事です。中身を聞かないという返し方は、台詞だけを見ると、問い返さずに受け流す形になっています。
まとめ|報告、指摘、断りを順に見る
Keep ~ apprised of ~ の念押し、That’s not very convincing の指摘、no can do の断り、I don’t wanna know の返事が、同じ会話の中に並んでいました。
上司と部下のやりとりを順に追うと、指示を出す、突く、退ける、聞かないという流れごとに、英語の形が見えてきます。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、場面全体の英語がより立体的に見えてきます。


コメント