海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『メンタリスト』シーズン3第1話には、ジェーンが記憶力の衰えを指摘されて大げさなたとえで切り返す場面や、相手に釘を刺したあとで種明かしをする場面、相手の態度を言葉にして確かめる場面が出てきます。
からかいや牽制に言葉で応じるときの形を、台詞に沿って3つの場面から順に見ていきます。それぞれの場面で、どの語がどんな働きをしているのかにも注目します。
「My memory is a mighty fortress」記憶力の指摘をたとえで返す
事件に報道が集まりそうだという話の流れで、FBI に回せばいいという案が出ますが、すでに遅いと返されます。そこへ新しい上司が来ていると告げられたジェーンが、聞き返す場面です。
Jane: New boss? I thought Hightower was boss.
(新しい上司? ハイタワーが上司だと思っていたけれど。)
— The boss of Hightower.
(ハイタワーのさらに上の人よ。)
— The director of the entire division.
(部門全体の責任者。)
Lisbon: I told you about him last week. Your memory’s going.
(先週、話したでしょう。記憶力が衰えてきているのよ。)
Jane: My memory is a mighty fortress, Lisbon,
(僕の記憶は難攻不落の要塞だよ、リズボン。)
Jane: from which no fact ever escapes once committed.
(いったん刻んだ事実は、そこから決して逃げ出さない。)
Jane: Now when you tell me boring things, I set ‘em free immediately.
(ただ、退屈な話をされたときは、すぐに解放してやる。)
— Saves overcrowding.
(過密にならずに済む。)
The Mentalist Season3 Episode1 (Red Sky at Night)
ここでのハイタワーは、CBI でリズボンの上司にあたる人物です。ジェーンはそのハイタワーが上に立っていると思っていたため、さらに上の責任者が来ていると聞いて聞き返しています。
I thought ~ は、思い込みと現実が食い違ったときに「〜だと思っていた」と伝える形で、ジェーンの聞き返しにも使われています。I told you about ~ last week は「先週〜について話した」という意味で、すでに伝えてあると返す形です。
Your memory’s going の go は「衰える、なくなっていく」という意味です。記憶力が落ちてきているという指摘に対し、ジェーンは mighty fortress(強大な要塞)というたとえで答えています。commit には「記憶にとどめる」という使い方があり、once committed は「いったん刻まれたら」という意味合いになります。
後半は set ‘em free の ‘em が them の口語的な短縮形で、リズボンが話す退屈なことは「釈放する」と言っています。boring は「退屈な」という意味です。続く Saves overcrowding. は、記憶を収容施設に見立てた冗談として読めます。物忘れの指摘に、忘れるのではなく手放すのだと言い換えて返す運びです。
「You ever smell a dead mouse?」問いかけで想像させ、種明かしで落とす
同じ現場の少しあとには、手を置かれたことを指摘し、二度とやらないよう告げるやりとりがあります。そこで「Or else what?」と返されたあとに、ジェーンが続けた言葉が次です。
Jane: You ever smell a dead mouse? Do you remember that smell?
(死んだネズミのにおいをかいだことは? あのにおい、覚えているかい?)
— Yes.
(ある。)
— Well, I just now put a dead mouse in your jacket pocket.
(実はね、たった今、上着のポケットに死んだネズミを入れた。)
The Mentalist Season3 Episode1 (Red Sky at Night)
Or else what? は、警告に対して「さもないとどうなる?」と返す短い問いです。続くジェーンの言葉は、その問いへの答えになっています。You ever smell ~? は Have you ever smelled ~? から Have が落ちた口語の形です。経験を尋ねたうえで、Do you remember that smell? とにおいの記憶を呼び起こしています。そのあとの just now は「たった今」という意味で、ポケットに入れたばかりだと告げています。
この話には続きがあります。相手が声を上げたあと、ジェーンは次のように明かします。
Jane: It’s actually just a wadded up napkin but, uh, has the same psychological effect.
(実際には丸めたナプキンにすぎないけれど、心理的な効果は同じだよ。)
— Human mind is funny that way.
(人間の心は、そういうところが面白い。)
The Mentalist Season3 Episode1 (Red Sky at Night)
死んだネズミは実在せず、入っていたのはナプキンでした。actually just ~ は「実のところ〜にすぎない」と種明かしをするときの組み合わせで、wadded up は「丸めた」という意味です。the same ~ effect で、においの想像だけでも同じ効果が出ると説明しています。問いかけで相手の経験を呼び起こし、あとから事実を明かす順序が、この場面の特徴です。
「So I take it you don’t want to hear my plan?」相手の態度を言葉にして返す
この話の後半には、計画があるという話を聞き入れてもらえない場面があります。事件から外れたいと言っていたのだから外れてかまわない、と突き放されたあとに、ジェーンが口にするのが次の台詞です。
Jane: So I take it you don’t want to hear my plan?
(つまり、僕の計画は聞きたくない、ということだね?)
— “No, I don’t want to hear your plan.”
(「いや、君の計画なんて聞きたくない」)
— “Sheepdip your plan.”
(「君の計画なんか知ったことか」)
The Mentalist Season3 Episode1 (Red Sky at Night)
I take it (that) ~ は、「〜ということだと受け取る」という意味で、相手の態度や言葉から読み取った内容を確認する言い方です。ここでは「計画は聞きたくない、ということだね」と、相手の突き放した態度をそのまま言葉にして確かめています。
続く2つの台詞は、引用符で括った形で書かれています。ジェーンの my plan が、ここでは your plan に入れ替わっている点にも目が向きます。誰の言葉を引用しているのかは、台詞だけでは決まりません。Sheepdip は少し前の場面にも出てくる語で、強い罵りの語を避けた言い方として使われているように読めます。引用符の形は、相手の言い分を自分の口で言ってみせることで、その内容を確かめる働きをしています。want to hear ~ は「〜を聞きたい」と望みを述べる形で、否定にすると聞く気がないことを示します。
まとめ|からかいも牽制も、言葉の形で返す
Your memory’s going にはたとえで、You ever smell a dead mouse? には問いかけと種明かしで、So I take it ~ には相手の態度を言葉にする形で、ジェーンは応じていました。
指摘をそのまま受けず、別の言い方に置き換える運びを見ていくと、軽口への返し方の幅が見えてきます。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事もあわせて読むと、場面全体の英語がより立体的に見えてきます。


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