海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
「あと数秒で何かが始まる!」というあのドキドキ感、英語でどう表現するか知っていますか?
今回は、まさにそんな瞬間にぴったりの表現「be about to」を、『フレンズ』シーズン1第6話のシーンから学んでいきましょう。
実際にそのシーンを見てみよう!
ジョーイが出演する奇抜なミュージカル『Freud!』の開演直前。
客席に座った仲間たちが、舞台が始まるのを今か今かと待っています。
ジョーイの芝居を初めて観る人のワクワクした様子を横目に、チャンドラーが不穏なことを言い出します。
そして、いよいよ幕が上がる瞬間——。
Rachel: There’s Joey’s picture. This is so exciting.
(ジョーイの写真がある。すごくワクワクする。)Chandler: The exclamation point in the title scares me. It’s not just Freud, it’s Freud!
(タイトルの感嘆符が怖いよ。ただのフロイトじゃない、『フロイト!』だ。)Ross: Shh. The magic is about to happen.
(シーッ。まさに魔法が始まろうとしているぞ。)舞台上の役者: Well, Eva, we’ve done some excellent work here.
(さて、エヴァ、我々はここで素晴らしい仕事をしたな。)Friends Season1 Episode6(The One with the Butt)
シーン解説と心理考察
レイチェルがジョーイの写真を見て素直に興奮しているのに対し、チャンドラーは「タイトルの感嘆符が怖い」と皮肉まじりにイジっています。
ジョーイの過去の劇を観てきた経験から、すでに「嫌な予感」を感じているのでしょう。
一方ロスは「静かに。魔法が始まるぞ」と、わざと芝居がかった言い方で制止します。
ここでの「magic」は、本気で感動を期待しているわけではなく、親友ジョーイの舞台への愛情と茶目っ気が入り混じったものです。
ロスが「be about to」を使うことで、「今この瞬間に何かが起こる」というワクワク感——あるいは「覚悟しろ」という面白い緊張感——がしっかり伝わってきます。
この後、実際の舞台が始まると全員が固まることになるのですが…それはぜひ本編で確認してみてください。
「be about to」の意味とニュアンス
be about to
意味:まさに(今)〜しようとしている、〜するところだ
この表現は、ある出来事や行動が「カウントダウン状態」に入っていることを表します。
単なる未来の予定(will や be going to)とは違い、「あと数秒、数分で起こる!」という切迫感やハラハラ・ワクワクする感覚が最大の特徴です。
たとえば「The movie is about to start.」と言えば、「映画がまさに始まるところだよ」という、今この瞬間の臨場感が伝わります。
【ここがポイント!】
「be about to」の核心は、時間的な近さにあります。
will が「いつか起こる未来」、be going to が「すでに決まっている予定」を表すのに対し、be about to は「あと数秒〜数分」の世界です。
「もう始まるよ!」「今やるところだった!」のように、目の前で何かが起こる(起こりかけている)瞬間を描写したいときに、ぴったりハマる表現です。
また、過去形の「was about to」にすると、「〜しようとしていたところだった(けど実際にはしなかった)」という未遂のニュアンスも出せます。
実際に使ってみよう!
Quiet! He is about to open the door!
(静かに!彼がまさにドアを開けるところだよ!)
サプライズパーティーでの定番シーン。この切迫感は will では出せません。
Phew, I was about to send the email to my boss!
(ふぅ、まさに上司にそのメールを送るところだったよ!)
間違いに気づいてギリギリセーフ。「was about to」で「寸前だった」という冷や汗の感じが伝わります。
I was just about to call you!
(ちょうどあなたに電話しようとしてたところだよ!)
絶妙なタイミングで相手から連絡が来たとき。日常会話でとてもよく使われるフレーズです。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
ロスが客席で「Shh. The magic is about to happen.」と言ったあの場面を思い出してみてください。
劇場の照明が暗くなり、ざわめきが静まり、まさに幕が上がる「あの瞬間」です。
チャンドラーの皮肉を遮って、ロスが少しドヤ顔で「魔法が始まるぞ」と言う——あの声色とセットで覚えると、臨場感ごと頭に入ります。
「about」には「すぐ近くに」というイメージがあり、「to」には「〜に向かう」という方向性があります。
行動のスタートラインのすぐ手前に立っていて、今にも足を踏み出そうとしている状態。
開演のベルが鳴る直前の劇場の空気を思い浮かべると、このフレーズの感覚がスッと入ってきます。
似た表現・関連表現
just going to do
(ちょうど〜しようとしているところ)
be about to よりほんの少しだけ余裕があるニュアンスです。「I was just going to say that.」のように、「ちょうどそうしようと思ってたんだ」と柔らかく伝えたいときに使えます。
on the verge of doing
(〜の寸前で、今にも〜しそうで)
be about to よりもさらにドラマチックな響きを持つ表現です。「She was on the verge of tears.」(彼女は泣く寸前だった)のように、感情の爆発や大きな変化の直前に使われることが多いです。
almost
(もう少しで〜するところだった)
過去形と組み合わせて、「I almost forgot!」(もう少しで忘れるところだった!)のように、未遂に終わった出来事を振り返るときに使います。
ニュアンス比較:「I’m going to cry.」と「I’m about to cry.」はどう違う?
同じ「泣きそう」でも、この2つには温度差があります。
「I’m going to cry.」は「泣きそうだな」「泣くかもしれない」というやや落ち着いたトーンで、未来の予測に近い響きです。
場合によっては「このままだと泣くことになるだろう」のようにも聞こえます。
一方「I’m about to cry.」は、「今まさに涙が出そう!」「もう限界!」という切迫した感情を伝えます。
目の奥が熱くなり、涙がこぼれ落ちるまであと数秒——そんな瞬間のリアルさが詰まっています。
たとえば感動的な映画のラストシーンを観ているとき。
友達に「I’m going to cry.」と言えば、「泣くかもしれないなぁ」という予告のような軽さです。
でも「I’m about to cry.」と言えば、声が震え始め、ティッシュを探し始める——そんなギリギリの臨場感が伝わります。
会話のなかで感情の切迫感を相手に伝えたいときには、「about to」を使ったほうがはるかに効果的です。
「I’m about to cry.」と言われたら、聞いた相手も「あ、本当にまずい」と感じ取ります。
嬉しいサプライズを受けたとき、悔しくてたまらないとき——感情がピークに達する瞬間にこそ、この表現の出番です。
まとめ|「あと数秒」の臨場感を英語で伝えよう
「be about to」は、何かが起こる「まさにその瞬間」を切り取る表現です。
will や be going to では表しきれない、「今ここ」の切迫感やドキドキ感を、たった3語で伝えることができます。
ロスが劇場で「The magic is about to happen.」と言ったように、日常の中にも「be about to」がぴったりハマる場面はたくさんあります。
映画が始まる直前、友達にサプライズを仕掛ける瞬間、電話をかけようとしていたらちょうど相手からかかってきたとき。
そんな「あと数秒」の瞬間に出会ったら、ぜひこの表現を思い出してみてください。
使えば使うほど、会話に臨場感が生まれて、英語がぐっと楽しくなるはずです。

