海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
一度決めたはずなのに「やっぱりこっちにしよう」と考え直す瞬間って、よくありますよね。
今回は、そんな方向転換にぴったりの「on second thought」を、『フレンズ』シーズン1第7話のシーンから学んでいきましょう。
実際にそのシーンを見てみよう!
停電のさなか、チャンドラーはATMの入り口(vestibule)で憧れのスーパーモデル、ジル・グッドエイカーと閉じ込められています。
彼女からガムを勧められたチャンドラーは、なぜか「シュガーレスですか?」と聞いてしまい、違うと言われて断ってしまいます。
直後に猛烈に後悔し、しばらくして前言を撤回するのですが……。
Jill Goodacre: Would you like some gum?
(ガムいかが?)Chandler: Oh, is it sugarless?
(あ、シュガーレスですか?)Jill Goodacre: No. Sorry, it’s not.
(いえ、違います。ごめんなさい。)Chandler: Then, no thanks.
(じゃあ、結構です。)(中略)
Chandler: On second thought, gum would be perfection.
(考え直してみると、やっぱりガムは完璧ですね。)Jill Goodacre: “Gum would be perfection”?
(「ガムは完璧」?)Chandler: “Gum would be perfection.” Could have said, “Gum would be nice.” Could have said, “I’ll have a stick.” But no, no, no, no, for me gum is perfection. I loathe myself.
(「ガムは完璧」。「ガム、いいですね」って言えたはずだ。「1枚いただきます」って言えたはずだ。でも違う、違うんだ、俺にとってガムは完璧なんだ。自分が嫌になる。)Friends Season1 Episode7(The One with the Blackout)
シーン解説と心理考察
チャンドラーの自己ツッコミが全開のこのシーンは、『フレンズ』屈指の爆笑ポイントです。
普段は皮肉やジョークのキレ味が抜群のチャンドラーですが、憧れのスーパーモデルを前にすると途端にポンコツに。
ガムを断った後、心の中で「ジル・グッドエイカーがガムをくれると言ったら、もらうだろ。ズタズタの動物の死骸だって、もらうだろ」と猛烈に自分を責め、しばらくして勇気を振り絞って「やっぱり(on second thought)」と前言を撤回します。
ところが緊張のあまり “Gum would be perfection”(ガムは完璧だ)という変に気取ったフレーズが口をついて出てしまう。
自分でも「”Gum would be nice” って言えたはずなのに」「”I’ll have a stick” って言えたはずなのに」と選択肢を並べて激しく後悔する姿が、痛いほど共感を呼びます。
最後の “I loathe myself”(自分が嫌になる)は、チャンドラーの名セリフの一つです。
「on second thought」の意味とニュアンス
on second thought
意味:考え直してみると、やっぱり
「on(〜の時点で)」と「second thought(二番目の考え、再考)」を組み合わせた表現です。
一度決めたことや発言に対して、「もう一度考え直した結果、やっぱり変える」と方向転換するときに使います。
カジュアルな日常会話からビジネスの場面まで、とても使い勝手のいいフレーズです。
【ここがポイント!】
「on second thought」は、自分から自発的に考え直したときに使う表現です。
誰かに指摘されて仕方なく変えるのではなく、「自分の中でもう一度考えてみたら、やっぱりこっちだな」という内発的な判断の切り替えがポイント。
チャンドラーも、誰に言われたわけでもなく自分で猛省して前言を撤回しています。
日本語の「やっぱり」に近いですが、「最初の考え → 再考 → 変更」というプロセスがきちんと含まれているのがこの表現の特徴です。
実際に使ってみよう!
I was going to come to the party, but on second thought, I think I’ll stay home.
(パーティーに行こうと思ってたんだけど、やっぱり考え直して、家にいることにするよ。)
予定を変更するときの自然な言い回し。友人との気軽な会話で使えます。
I was going to suggest a new marketing strategy, but on second thought, let’s stick with the current plan.
(新しいマーケティング戦略を提案しようと思ったんですが、やっぱり考え直して、今の計画のままいきましょう。)
ビジネスの会議でも活躍します。柔軟に方針変更する際にスマートに使えるフレーズです。
I’ll have the steak. Actually, on second thought, make it the fish.
(ステーキをお願いします。あ、やっぱり考え直して、魚にしてください。)
レストランでの注文変更。日常で最もよく出会う使い方の一つですね。
『フレンズ』流・覚え方のコツ
チャンドラーがATMの入り口で “On second thought, gum would be perfection” と言った、あの場面をそのまま記憶に焼き付けてください。
最初の判断(断る)をした後、「いや待てよ」ともう一つの考えがポンと浮かんで方向転換する。
そしてその方向転換の仕方が盛大に失敗するという二重構造のおかしさが、このフレーズを絶対に忘れられないものにしてくれます。
「on second thought」自体は完璧に使えていたのに、その後の言葉選びで自爆する──教訓は「考え直す勇気は大事。でもその先の言葉は慎重に」です。
似た表現・関連表現
actually
(実は、やっぱり)
文頭や文中で、前言を軽く訂正・補足するときに使います。「on second thought」ほど「考え直した」という重みはなく、もっと気軽なトーン。「あ、やっぱり」くらいの感覚です。
I changed my mind
(気が変わった)
「on second thought」は思考のプロセスに焦点がありますが、こちらは結果として気持ちが変わったことをストレートに伝えます。理由を細かく説明しない場面で便利です。
thinking about it again
(もう一度考えてみると)
「on second thought」を文章的に分解したような表現。よりていねいに「再考のプロセス」を説明したいときに使います。日常会話では「on second thought」の方がテンポよく使えます。
知っておくと面白い豆知識:「on second thought」と「after careful consideration」の違い
「考え直す」を英語で表現するとき、カジュアルな場面では「on second thought」、フォーマルな場面では after careful consideration がよく使われます。
この2つは似ているようで、使われる場面と印象がかなり異なります。
on second thought は、日常のちょっとした場面での心変わりにぴったり。
レストランの注文を変えたり、週末の予定を考え直したり、チャンドラーのようにガムの断りを撤回したり。
「あ、やっぱりこっちで」という軽やかさと、自発的に考えが変わったという自然な響きがあります。
一方、after careful consideration は「慎重に検討した結果」という意味のフォーマルな表現です。
ビジネスメールや公式な通知、面接の結果連絡などで使われます。
たとえば、企業からの不採用通知に “After careful consideration, we regret to inform you…”(慎重に検討した結果、残念ながら……)と書かれていたら、それは組織としての正式な判断を伝えています。
簡単に言えば、「on second thought」は日常会話での”やっぱり”、「after careful consideration」は書面や公式な場での”熟慮の末”。
チャンドラーがジル・グッドエイカーに “After careful consideration, gum would be perfection” と言ったら、それはそれで面白い……けれど、場の空気はさらに凍りついていたかもしれません。
まとめ|「やっぱりこっち!」を英語で言えるようになる
「on second thought」は、一度決めたことを自分の意思で考え直して変更するときに使う表現です。
日常の些細な場面からビジネスの方針転換まで、出番の多い便利なフレーズ。
チャンドラーがスーパーモデルの前で盛大に自爆したあのシーンは、この表現を忘れられないものにしてくれます。
考え直すこと自体は恥ずかしいことではありません。
英語圏では「on second thought」と素直に前言を撤回することは、むしろ柔軟さの表れとして自然に受け止められます。
次にレストランで注文を変えたくなったとき、ぜひ “On second thought…” と切り出してみてください。
ただし、その後に続く言葉は “perfection” 以外でお願いしますね。

