「hold out for」の意味と使い方|『ビッグバン★セオリー』S02E19で学ぶ英会話

「hold out for」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

目の前の選択肢に飛びつかず、「もっといい条件が来るまで待とう」と踏ん張った経験はありませんか。

そんなときにぴったりの「hold out for」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン2第19話の中盤、女優志望のペニーが新しい隣人アリシアに向かって、自分の仕事観を語るシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「hold out for」の意味とニュアンス

hold out for
意味:(よりよいものを求めて)粘る/妥協せずに待つ

hold out には「(攻撃などに)持ちこたえる・耐える」という意味があり、そこに for が付くことで「〜を求めて耐える=条件が満たされるまで妥協せずに待つ」という表現になります。

ポイントは、ただ受け身で「待つ」のではなく、「安易な妥協はしない」という意志が含まれているところです。目先の役・仕事・給料・チャンスに飛びつかず、より条件のよいものを狙って踏ん張る——そんな能動的な粘りを表します。就職や転職の条件交渉、買い物のタイミング、よりよい機会を待つ場面など、何かを「待ちながらも譲らない」状況で広く使われます。

【ここがポイント!】

  • 核は hold out(持ちこたえる)+ for(〜を求めて)=妥協せず粘る、という一言
  • ただ待つのではなく「安売りしない」という意志がにじむのが持ち味
  • for の後ろに「待っている目的(the right part など)」を置くのがコツ

『ビッグバン★セオリー』S02E19のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

新しい隣人アリシアも女優志望だと判明します。すでに全国CMや昼ドラのレギュラーを得ているアリシアに対し、まだ目立った仕事のないペニー。同業者としての対抗心から、自分がカフェで働いている理由を、少し見栄を張りながら説明します。

Alicia: I’ve been out here three months, and all I’ve gotten is a couple of national commercials and this recurring thing on a soap.
(こっちに来て3か月、取れたのは全国CMが2本と、昼ドラのレギュラーっぽいのが1つだけ。)

Penny: That’s why I work at the Cheesecake Factory, I’m holding out for the right part.
(だから私はチーズケーキ・ファクトリーで働いてるの。いい役が来るまで粘ってるのよ。)

The Big Bang Theory Season2 Episode19 (The Dead Hooker Juxtaposition)

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シーン解説と心理考察

「holding out for the right part(いい役が来るまで粘っている)」というペニーの言葉は、前向きで芯のある宣言に聞こえます。けれど直前のアリシアの発言と並べてみると、その響きは少し変わってきます。すでに仕事を得ているアリシアに対し、目立った役のないペニーが「自分は妥協しないだけ」と言い換えている構図がにじむ場面です。

hold out for には本来「安売りしない」という誇りが込められていますが、ここでは現実をうまく言い換える盾としても働いています。対抗心と強がり、そしてほんの少しの本音が、この一言に重なっています。前向きな表現がキャラクターの心理によって別の色を帯びる——その二重性が見どころと言えます。

『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ

hold out for は、崖っぷちで片手を伸ばしたまま持ちこたえている姿をイメージしてみてください。下からは何本もロープが投げられてくるけれど、「もっと丈夫なロープが来るまで」と、安易な一本には飛びつかずにじっと耐えている——その「耐えながら待つ」感覚が hold out for です。

カフェのエプロン姿で「妥協はしないの」と胸を張るペニー。その姿を思い浮かべると、このフレーズが「ただ待つ」のではなく「譲らずに粘る」という、意志のこもった表現だということが手元に残ります。

例文で覚える「hold out for」

妥協せず粘る hold out for は、条件交渉や選択の場面で力を発揮します。場面を変えて三つ見てみましょう。

I’m not taking the first offer—I’m holding out for a better salary.
(最初のオファーは受けないよ。もっといい給料が出るまで粘るつもり。)
転職の給与交渉で、安易に妥協しない姿勢を示す場面です。hold out for の「条件を待つ」という核心がもっとも素直に出る使い方です。

Don’t sell your shares now—hold out for a higher price.
(今は株を売るな。もっと高値になるまで待て。)
売買のタイミングについて助言する場面です。命令形にすると「焦って手放すな、粘れ」という強めのアドバイスになります。

A: Did you take that apartment you saw last week?
B: No, I’m holding out for one with a balcony.
(A:先週見たあの部屋、決めた?)
(B:ううん、バルコニー付きのが出るまで粘ってるんだ。)
住まい探しで希望条件を譲らない場面です。会話の中では「まだ妥協してないよ」という前向きな粘りのニュアンスが伝わります。

あわせて覚えたい関連表現

settle for
((不本意ながら)〜で手を打つ/妥協する)
hold out for のほぼ反対の表現です。settle for が「妥協して受け入れる」のに対し、hold out for は「妥協を拒んで待つ」。セットで覚えると、両者の対比がくっきりします。

wait for
(〜を待つ)
単純に「待つ」だけの中立的な表現です。hold out for には「耐える・妥協しない」という意志が加わる点が決定的に違い、待ち方の温度が異なります。

hold off
((行動を)見合わせる/先延ばしにする)
同じ hold を使いますが、hold off は「実行を保留する」、hold out for は「条件を満たすまで粘る」。off と out for で向かう方向が変わります。

Note|交渉文化と “hold out” ― 妥協しない粘りを肯定する感覚

ペニーが口にした hold out for the right part。この「粘って待つ」という言い回しは、英語圏の交渉文化と深くつながっています。

英語圏では、提示された最初の条件をすぐに受け入れず、”hold out for a better deal(もっといい条件を求めて粘る)” ことが、しばしば賢い交渉戦略として肯定的に語られます。たとえば労働組合のストライキ報道では、組合側が賃上げ要求を取り下げずに「hold out している」と表現されることがよくあります。ここでの hold out は、頑固さというより「安易に折れない交渉力」として、むしろ評価のまなざしで描かれます。就職時の給与交渉でも、最初のオファーで即決せず hold out for a higher offer する人は、自分の価値を理解している人として受け止められる土壌があります。日本語の「粘る」がときに往生際の悪さを連想させるのとは、少し温度感が異なる感覚です。

この背景を知ると、ペニーの hold out for the right part が、単なる強がりだけでなく「自分の価値を安売りしない」という前向きな宣言として響くことが見えてきます。

譲らずに待つことを、力として捉える——hold out にはそんな文化の手ざわりが宿っています。

まとめ|「粘る」を前向きに言える一言

hold out for は、目先の選択肢に飛びつかず、より条件のよいものを求めて妥協せずに待つ、という表現です。「待つ」だけでなく「安売りしない」という意志がこもっているのが、このフレーズの芯になります。

給料、役、タイミング、チャンス——譲りたくないものがあるとき、この一言は「ただ待っている」のではなく「自分の基準を守って粘っている」という前向きな姿勢を伝えてくれます。交渉や選択の場面で、自分の立ち位置をしなやかに示せる表現です。

妥協しないことを弱さではなく力として語れる、そんな英語の感覚を、表現の引き出しに加えてみてください。

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