海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
自分の出した数字や結論を疑われて、「だったら、どうやって出したか全部見せようか?」と言い返したくなったことはありませんか。
そんな場面で登場する「show one’s work」は、計算の途中式や、結論にたどり着いた過程を相手に見せるという表現です。『ビッグバン★セオリー』シーズン2第18話の前半、ペニーの手作り事業の利益をシェルドンが計算してみせる場面から、一緒に見ていきましょう。
「show one’s work」の意味とニュアンス
show one’s work
意味:計算の途中式を見せる/結論に至った過程・根拠を示す
元々はアメリカの算数・数学の授業で、答案に「答えだけでなく解き方も書きなさい」と求められることに由来する表現です。答えが合っているかどうかだけでなく、どうやってそこにたどり着いたかという過程(work)を見せる、という発想が核にあります。
そこから意味が広がり、日常やビジネスの場面でも「結論だけでなく、その根拠やプロセスを開示する」という意味で使われるようになりました。数字を扱う場面はもちろん、判断や主張の裏づけを示すときにも自然に使えます。work を「仕事」ではなく「解いた過程・作業の跡」と捉えるのがポイントになります。
【ここがポイント!】
- 「show one’s work」の核は、答えではなく”そこに至る過程”を見せること
- 数学の答案が出発点で、今は根拠・プロセス全般に広がった表現
- 結論を疑われたときの「根拠を全部見せようか?」という切り返しで生きる一言
『ビッグバン★セオリー』S02E18のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ペニーが手作りのフラワーバレッタ事業で稼げると意気込むなか、シェルドンが製造効率を計測し、実質の日当がわずか5.19ドルだと突きつけます。信じられないペニーが反論すると、シェルドンが計算の正しさを示そうとする見せ場です。
Sheldon: You’re questioning my math? Want me to show my work?
(僕の計算を疑うのか?途中式を見せようか?)Penny: Oh, God, no, no. Just please tell me what to do about it.
(もういい、結構よ。どうすればいいか教えて。)The Big Bang Theory Season2 Episode18(The Work Song Nanocluster)
シーン解説と心理考察
シェルドンにとって、計算の正しさは揺るがない真理です。ペニーの「そんなはずない」という一言は、彼にとっては感情的な反発ではなく、純粋に数式への異議申し立てに聞こえています。だからこそ返ってくるのが「Want me to show my work?(途中式を見せようか?)」という、まるで数学教師のような切り返しになります。
このやり取りには、ペニーを言い負かそうという悪意はほとんど感じられません。シェルドンはただ、自分の計算を疑うなら過程をすべて開示する用意がある、と申し出ているだけです。その無邪気な自信と、相手の気持ちへの無関心さが同居しているところに、シェルドンらしさが伝わってきます。一方、うんざりして「結構よ」と話を打ち切るペニーの反応も、二人の関係性をよく表していると言えます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
学校の数学のテストを思い出してみてください。答案用紙に「Show your work」と印刷されていて、答えが合っていても式を書かないと減点された——あの記憶と結びつけると忘れにくくなります。
シェルドンが「途中式を見せようか?」と言う姿は、まさに黒板の前で解法を一段ずつ書き出す教師の姿に重なります。頭の中の計算を、外に取り出して相手の目の前に並べていくイメージです。work を「仕事」ではなく、答案の余白に残された”計算の足あと”として思い描くと、このフレーズの意味がすっと入ってきます。
例文で覚える「show one’s work」
数字を扱う場面から、判断の根拠を求める場面まで、幅広く使えるフレーズです。3つの例文で使い方の幅をつかんでいきましょう。
If you want full credit, you have to show your work, not just the answer.
(満点が欲しいなら、答えだけじゃなくて途中式を見せないとダメだよ。)
学校で先生が生徒に解き方を書くよう促す場面です。このフレーズの最も原義に近い、教室での使い方になります。
Don’t just give me the final number—show your work so I can verify it.
(最終的な数字だけじゃなく、確認できるように過程を見せて。)
上司が部下の試算レポートを確認する場面です。ビジネスで「根拠やプロセスを開示してほしい」と求めるときの典型的な言い方です。
A: I’m sure the budget will balance out.
B: Want to show your work? The board will ask how you got there.
(A:予算はちゃんと収まるはずです。)
(B:根拠を見せてもらえる?取締役会はどうやって出したか聞いてくるよ。)
会議で説明責任を求める場面です。劇中のシェルドンの言い回しに近い形で、相手に過程の提示を促すニュアンスが出ています。
あわせて覚えたい関連表現
walk someone through ~
(〜を順を追って説明する)
show one’s work が「過程を見せる」のに対し、こちらは相手に寄り添って一歩ずつ案内するイメージです。より丁寧で対話的なニュアンスがあります。
back up one’s claim
(主張を裏づける)
証拠やデータで主張を補強する表現です。show one’s work が特に「計算や論理の過程」を見せるのに対し、こちらは裏づけ全般を指します。
break it down
(噛み砕いて説明する)
複雑なものを分かりやすく分解する表現です。show one’s work の「隠さず過程を開示する」という点とは、力点が少し違います。
Note|数学の答案から会話表現へ広がった “Show your work”
「show your work」という表現は、もともとアメリカの算数・数学教育の現場に深く根ざしています。
アメリカの数学の答案では、最終的な答えだけでなく解法のプロセスを書くことが求められ、過程が正しければ答えが間違っていても部分点(partial credit)がもらえる、という採点文化があります。逆に、答えだけが書いてあると、たとえ正解でも「偶然合っただけかもしれない」「カンニングかもしれない」と見なされ、満点はもらえません。つまり「show your work」は、理解しているという証拠を残す行為そのものなのです。この教育習慣が世代を超えて共有されてきたことで、「show your work」は教室を飛び出し、ビジネスや日常会話でも「結論だけでなく根拠・過程を見せる」という意味で自然に使われるようになりました。
劇中でシェルドンが「Want me to show my work?」と言うとき、その背景にはこの採点文化の記憶があります。「僕の答えを疑うなら、解法を全部見せて証明してやる」という、数学の答案そのままの発想がにじんでいると読み取れます。
教室の余白に残された計算の跡が、いまも会話のなかで生きている表現です。
まとめ|過程を見せることば
「show one’s work」は、答えや結論そのものではなく、そこへたどり着くまでの過程を相手に開いて見せる表現です。数学の答案から生まれ、いまでは根拠やプロセスを示すあらゆる場面に広がっています。
このフレーズを知っていると、誰かに数字や判断を疑われたときに、「根拠を全部見せようか」と落ち着いて返せるようになります。結論だけでなく過程を共有する姿勢は、説明に説得力を持たせてくれます。
会話のなかで根拠を示したい場面に出会ったら、英語の引き出しからそっと取り出してみてください。


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