海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
気難しい相手と長い時間を過ごさなければならないと分かったとき、「自分はあの人に耐えられるだろうか」と身構えてしまうことはありませんか。
そんな状況にぴったりの「put up with」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン2第23話、3か月の北極遠征にシェルドンと同行するかどうかを3人で相談するシーンから、一緒に見ていきましょう。
「put up with」の意味とニュアンス
put up with
意味:(不快な人・物事に)耐える/我慢する/辛抱する
「put up with」は、嫌だけれど受け入れて我慢する、というニュアンスを持つ句動詞です。気に入らない人、わずらわしい状況、不便な環境などを、文句を言いつつもなんとか耐えてやり過ごす場面で使われます。三つの語が一つのまとまりになった表現で、この順番は固定されており、間に別の語を割り込ませることはできません。日常会話で非常によく使われる、くだけた響きの表現です。重要なのは、心から納得して受け入れているわけではない、という点です。「本当は嫌だけれど、しかたなく耐える」という、どこか不満を含んだ我慢を表します。だからこそ、人間関係のぼやきや、不便な状況への愚痴まじりの場面に、しっくりとなじむのです。
【ここがポイント!】
- 「put up with」の核は、嫌だけれどしかたなく受け入れて耐える我慢
- 三語の順番は固定で、間に別の語を入れられないのが特徴
- 心から納得した我慢ではなく、不満まじりの辛抱を表すと読み取るのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S02E23のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
国立科学財団の北極遠征に、シェルドンが3人を誘います。乗り気なレナードとラージに対し、ハワードは現実的です。3か月もの間、あの気難しいシェルドンと狭い小屋で過ごすことになる。本当に耐えられるのか、と仲間に念を押します。
Howard: So you guys are seriously considering this? And you think you can put up with Sheldon?
(それで、お前らマジで考えてるのか? シェルドンに我慢できると思ってんのか?)Raj: Well, I’m a Hindu. My religion teaches that if we suffer in this life we are rewarded in the next.
(まあ、僕はヒンドゥー教徒だからね。この世で苦しめば来世で報われるって教えなんだ。)The Big Bang Theory Season2 Episode23 (The Monopolar Expedition)
シーン解説と心理考察
「put up with Sheldon」という言いまわしに、仲間たちがシェルドンをどう見ているかが端的に表れています。尊敬する優秀な物理学者であると同時に、一緒にいるには相当な忍耐を要する相手。その本音が、ハワードの問いかけに凝縮されています。注目したいのは、ラージの返しです。「苦しめば来世で報われる」と宗教を持ち出してまで参加を正当化するそのおどけた理屈が、3か月の遠征がどれほどの試練かを逆説的に物語っています。誰もシェルドンを嫌っているわけではない、けれど我慢が必要なのは間違いない。その微妙な距離感が、友情とからかいの入り混じったこの場面の温度をかたちづくっています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
何か重いものを頭の上に「put up(持ち上げて置く)」して、それを「with(一緒に)」抱えたまま我慢する。そんな姿を思い浮かべてみてください。手放したいのに下ろせない荷物を、文句を言いながらも背負い続ける。その「不本意ながら抱え込む」動きが「put up with」の中心にあります。ハワードが思い浮かべた「シェルドンという重荷を3か月背負う」イメージと重ねておくと、「put up with=しかたなく耐える」が体の感覚として残ります。
例文で覚える「put up with」
「put up with」は、不快な人や状況を我慢する場面で活躍します。三つの例文で使い方の幅を見てみましょう。
I can’t put up with this noise any longer.
(この騒音にはもうこれ以上耐えられない。)
我慢の限界を訴える、典型的な使い方です。「can’t put up with」で「もう耐えられない」と、不満をはっきり示しています。
She put up with a lot during those difficult years.
(彼女はあのつらい年月の間、多くのことに耐えた。)
長期間にわたる辛抱を振り返る使い方です。具体的な対象を「a lot」とぼかすことで、苦労の総量をにじませています。
A: How do you work with such a demanding boss?
B: Honestly, I just put up with it for the paycheck.
(A:あんなに要求の多い上司とよく働けるね?)
(B:正直、給料のために我慢してるだけだよ。)
職場の愚痴を打ち明ける会話です。「給料のために」という一言が、納得ではなくしかたなくの我慢であることを伝えています。
あわせて覚えたい関連表現
tolerate
(〜を許容する/我慢する)
「put up with」とほぼ同じ意味ですが、一語で表すぶんややかための響きです。「put up with」のほうが口語的で、日常会話になじみます。
can’t stand
(〜に耐えられない/大嫌いだ)
「put up with」と対になる表現で、「我慢できない」という強い拒否を表します。耐えるか拒むか、セットで覚えておくと便利です。
bear with
(〜を辛抱して待つ/大目に見る)
「Bear with me(少々お待ちください)」のように、相手に辛抱や理解を求める場面で使われます。我慢の方向が自分ではなく相手に向くのが違いです。
Note|なぜ三語そろって「我慢する」になるのか
「put up with」の興味深いところは、「put」「up」「with」という、それぞれは「我慢」とまったく関係のない三語が組み合わさって、まったく別の意味を生み出している点です。
句動詞の中でも、二つの小詞(up と with)を伴うこのタイプは「三語句動詞」と呼ばれ、英語の中でも特に意味が予測しにくいグループに属します。「put」は「置く」、「up」は「上へ」、「with」は「〜とともに」。語をいくら分解しても、「我慢する」という意味はどこからも出てきません。こうした表現は、語のつなぎ合わせから意味を推測するのではなく、ひとかたまりの「決まり文句」として丸ごと覚えるのが近道です。歴史をたどると、「put up」にはかつて「(宿などに)泊める、受け入れる」という意味があり、そこから「好ましくないものを受け入れる→我慢する」へと意味が広がったと考えられています。「with」が付くことで「〜を相手に我慢する」と対象が示されるようになりました。三語が固く結びついて分離できないのも、長い時間をかけて一つの慣用表現として固まった証拠です。
シェルドンに「put up with」できるか、というハワードの問いは、まさにこの「受け入れて我慢する」の核心を突いた使い方でした。
語の足し算では解けない表現こそ、まとめて覚える価値があります。
まとめ|仲間の本音から学ぶ「我慢する」の一言
「put up with」は、嫌だけれどしかたなく受け入れて耐える、という不満まじりの我慢を表す表現です。三語が固く結びついたひとかたまりの句動詞で、人間関係のぼやきや不便な状況への愚痴まじりの場面に、自然となじみます。
この表現を知っておくと、「もう耐えられない」「給料のために我慢している」といった本音を、肩の力を抜いたくだけた言いまわしで伝えられます。日常会話での登場頻度が非常に高い、覚えておいて損のない一語です。
シェルドンへの我慢を覚悟しながらも遠征を選んだ仲間たちのやり取りとともに、表現の引き出しに加えてみてくださいね。


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