海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
パーティーや集まりの場で、気になる相手にどう話しかけようか迷った経験はありませんか。
そんな場面で使える「chat someone up」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン3第12話の前半、出会いの場に行きたいラージを、シェルドンが自分の空想世界に引き込んでしまうシーンから、一緒に見ていきましょう。
「chat someone up」の意味とニュアンス
chat someone up
意味:異性に親しげに話しかけて口説く
chat は「雑談する」という意味ですが、そこに up が加わると、ただの会話が「相手に近づいて気を引こうとする会話」へと方向づけられます。出会いの場で異性にアプローチするときに使われる口語で、特にイギリス英語でよく耳にする表現です。ナンパの決まり文句を指す chat-up line(口説き文句)という名詞形も広く使われています。必ずしも恋愛目的だけでなく、「人と打ち解けて話す」という意味で使われることもありますが、中心にあるのは「親しげに話しかけて距離を縮める」という働きです。アメリカ英語では同じ意味で別の表現が好まれることが多く、地域による色の違いが出やすいフレーズと言えます。
【ここがポイント!】
- 「chat someone up」の核は、雑談に up が加わって生まれる「接近」の方向性
- 異性に話しかけて口説く、イギリス英語でおなじみの一言
- 恋愛目的だけでなく「打ち解けて話す」意味にもなる、幅のある表現
『ビッグバン★セオリー』S03E12のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
大学の交流会に行きたいラージが、外出を渋るシェルドンを説得します。するとシェルドンは、彼が空想する二次元世界「フラットランド」での疑似交流会にラージを引き込み、一本の「線分」を女性に見立てて声をかけるよう促します。
Sheldon: Well, you’re in luck, there’s a mixer here in Flatland. Oh, look, there’s a sexually attractive line segment, you should chat her up.
(運がいいな、フラットランドにも交流会があるぞ。ほら、あそこに魅力的な線分がいる。声をかけて口説いてみろよ)Raj: What?
(え?)The Big Bang Theory Season3 Episode12(The Psychic Vortex)
シーン解説と心理考察
現実の交流会に行きたいラージの願いを、シェルドンは自分の空想世界での出来事にすり替えてしまいます。幾何学図形である「線分」を「魅力的な女性」に見立て、chat her up(口説いてみろ)と大真面目に促すミスマッチが笑いの核になっています。恋愛文脈の生々しい表現を、二次元の図形に向かって平然と使うシェルドンのずれ方が際立つ場面です。困惑して What? としか返せないラージとの温度差からも、二人の噛み合わなさが伝わってきます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
chat は「雑談する」、そこに up(上向き・接近)が加わると、ただの会話が「相手に近づいて気を引く会話」へと変わります。バーで気になる相手にそっと近づき、話しかけて距離を縮めていく図を思い描いてみましょう。劇中でシェルドンが線分に向かって chat her up とけしかける場面を思い出すと、「狙った相手に話しかけてグイッと寄っていく」という up の働きが頭に残ります。
例文で覚える「chat someone up」
口説きの場面から、ビジネスの交流まで幅広く使えるフレーズです。3つの例文でニュアンスの広がりを見ていきましょう。
He spent the whole party trying to chat up the girl by the window.
(彼はパーティーの間ずっと、窓際の女性を口説こうとしていた)
パーティーでの恋愛模様を描く、最も典型的な使い方です。「気を引こうと話しかけ続ける」様子が伝わります。
I’m terrible at chatting people up at networking events.
(僕は交流イベントで人に親しげに話しかけるのが本当に苦手だ)
ビジネスの交流会の場面です。恋愛に限らず「初対面の人と打ち解けて話す」意味で使われる例です。
A: Why is that guy talking to my sister?
B: Relax, he’s just trying to chat her up.
(A:あの男、なんで妹に話しかけてるんだ?)
(B:落ち着けよ、ただ口説こうとしてるだけだ。)
身内の恋愛を気にする会話で使えます。chat someone up が「口説く」という意味で軽く使われる典型例です。
あわせて覚えたい関連表現
hit on
(口説く、言い寄る)
アメリカ英語で「あからさまに言い寄る」ときによく使われます。chat someone up はイギリス英語寄りで、まず会話で距離を縮めるニュアンスがある点が違います。
flirt with
(いちゃつく、思わせぶりにふるまう)
態度やしぐさも含めた「思わせぶり」全般を指します。chat someone up は「話しかけて口説く」という行動に焦点がある点で異なります。
make a move on
(アプローチをかける)
告白や誘いといった決定的な一手を指します。chat someone up はその手前の「まず話しかける」段階を表します。
Note|chat up は「イギリスの口説き文句」
シェルドンが線分に向かって放った chat her up。この表現には、実は英語圏の「お国柄」がよく表れています。
chat someone up は、イギリス英語で特に定着した「口説く」の言い回しです。ナンパの決まり文句そのものを指す chat-up line(チャットアップ・ライン)という名詞もあり、「君、どこかで会ったことある?」のような使い古された口説き文句を笑い話にするときなどに使われます。一方、アメリカ英語では同じ「口説く」を hit on で表すことが多く、こちらは「あからさまに言い寄る」瞬間を強調しがちです。つまり同じ行為でも、大西洋を挟んで言葉が変わるわけです。映画やドラマでどちらが使われているかに注目すると、その作品がイギリス寄りかアメリカ寄りか、言葉の色合いから感じ取れることもあります。
アメリカのドラマである本作であえて chat up が選ばれているのも、理屈っぽいシェルドンらしい言葉選びとして味わえます。
言葉は、どこで使われるかで表情を変えるのです。
まとめ|「話しかけて距離を縮める」一言
chat someone up は、異性に親しげに話しかけて口説くことを表すフレーズです。雑談を意味する chat に up が加わることで、「相手に近づいて気を引く」という方向性が生まれます。
この表現を知っていると、出会いの場面の描写がぐっと豊かになります。恋愛目的の「口説く」から、交流会で「打ち解けて話す」まで、人との距離を縮める場面で幅広く使えます。イギリス英語ならではの響きごと、英語の引き出しに加えてみてはいかがでしょうか。


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