海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
友人が試合に負けたり、あと一歩でチャンスを逃したり——そんなとき、深刻になりすぎず「あー、運が悪かったね」と軽く声をかけたい場面はありませんか。英語には、ちょっとした不運にさらりと寄り添える便利な決まり文句があります。
今日の表現は「tough break」。「災難だったね、ついてなかったね」と軽く同情するフレーズです。『ビッグバン★セオリー』シーズン4第2話の冒頭、不死をつかみ損ねたと本気で嘆くシェルドンに、レナードがそっけなく返す場面から、一緒に見ていきましょう。
「tough break」の意味とニュアンス
tough break
意味:災難だったね、運が悪かったね
「tough break」は、相手の不運に対して「それは気の毒に」と軽く同情を示す、カジュアルな決まり文句です。深刻な悲劇というより、試合の敗北やチャンスを逃したことなど、ちょっとした残念な結果に対して使われます。
ポイントは、ここでの break が「壊す」ではなく「巡ってくる運・転機」を指している点です(a lucky break なら「幸運」)。その運が悪い方に転んだのが tough break、というわけです。トーン次第で、心からの同情にも、シェルドンへのレナードのような形だけの慰めにもなる、表情の幅がある表現です。
【ここがポイント!】
- break は「壊す」ではなく「巡ってきた運・転機」——その運が悪い方に転んだのが tough break
- 深刻な悲劇より、ちょっとした不運・残念な結果にさらっと使うのがコツ
- 言い方ひとつで本気の同情にも軽いあしらいにもなる、トーン依存の一言
『ビッグバン★セオリー』S04E02のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。シェルドンは、意識を機械に移して不死になる「特異点」に寿命が60年足りないと本気で落胆しています。その大げさな嘆きに、レナードがどう応じるかに注目です。
Leonard: So, you’re upset about missing out on becoming some sort of freakish self-aware robot?
(つまり、自我を持った気味の悪いロボットになりそこねるのが不満なわけだ?)Sheldon: By this much.
(これっぽっちの差でね)Leonard: Tough break. You want eggs?
(残念だったな。卵いる?)The Big Bang Theory Season4 Episode2(The Cruciferous Vegetable Amplification)
シーン解説と心理考察
「tough break」という同情の言葉と、直後の「卵いる?」という朝食への話題転換。この落差に、このシーンの笑いが詰まっています。レナードは言葉のうえでは慰めていますが、トーンからはシェルドンの悩みをまるで取り合っていないことが伝わってきます。
不死をつかみ損ねたという、本人にとっては世界の一大事を、「tough break」のひと言でさらりと流し、即座に卵の話に移る。この温度の低さが、シェルドンの大仰さを際立たせています。「tough break」が、本気の同情ではなく「はいはい、それは残念でしたね」という軽いあしらいとして使われている好例だと言えます。慰めの言葉が、文脈次第でこれほど冷たくも響く——その機微が見どころです。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
break を「目の前に巡ってきた運の分かれ道」として思い描いてみてください。道が良い方へ折れれば lucky break(幸運)、悪い方へ折れれば tough break(災難)。同じ break という分岐点が、転ぶ方向で明暗を分けるイメージです。
シェルドンが不死という幸運を、ほんのわずかな差で取り逃がした「運の悪い分かれ道」。それを、レナードが卵焼きでも作るような気軽さで「tough break」と流していく——その対比ごと覚えると、このフレーズの軽い手触りが記憶に残ります。
例文で覚える「tough break」
相手の不運に軽く寄り添う相づちとして使えます。重くなりすぎないのが、このフレーズの持ち味です。
Tough break losing in the final round.
(決勝で負けるなんて、ついてなかったね)
スポーツや勝負事のあとで使う形です。losing と動名詞をつなげて「〜なんて災難だったね」と表せます。
That’s a tough break, but you’ll get another chance.
(それは災難だったけど、またチャンスは来るよ)
慰めと励ましをセットにした言い方です。同情だけで終わらせず、前を向かせる温かさが出ます。
A: I missed the train by ten seconds.
B: Oof, tough break.
(A:10秒差で電車に乗り遅れた)
(B:うわ、ついてないね)
日常のちょっとした不運への、軽い相づちです。会話の中で「災難だったね」とさらっと返す典型的な使い方です。
あわせて覚えたい関連表現
bad luck
(運が悪い、不運)
より一般的で中立的な表現です。tough break はこれよりカジュアルで口語的、相手への相づちにそのまま使いやすい点が違います。
that’s a shame
(それは残念だ)
結果への残念さ全般を表します。tough break が特に「運・巡り合わせの悪さ」に焦点を当てるのに対し、こちらはもう少し広く使えます。
hard luck
(不運、お気の毒に)
意味はほぼ同じですが、こちらはイギリス英語寄りの言い回しです。tough break はアメリカ口語でよく耳にする同義表現と覚えておくとよいでしょう。
Note|break が持つ「運・転機」という意味
「tough break」を初めて見ると、「厳しく壊す? どういう意味だろう」と戸惑うかもしれません。鍵を握るのは、break という単語が「壊す」以外の顔を持っていることです。
英語の break には、「巡ってくる好機・運の転機」という意味があります。たとえば a lucky break は「幸運な巡り合わせ」、ショービジネスで使う a big break は「大ブレイクのきっかけ・出世の好機」を指すとされます。日本語の「ブレイクする(=人気が出る)」も、この「好機・転機」としての break から来た外来語です。つまり break には、何かが「ぱっと開ける瞬間」という前向きなイメージが宿っているわけです。tough break は、その「巡ってきた運」が厳しい(tough)方に転んだ状態——だから「災難・不運」を表します。
この語感がわかると、tough break が単なる「ひどいこと」ではなく、「運の巡り合わせがたまたま悪かった」という、本人の責任ではないニュアンスを含むことが見えてきます。だからこそ、相手を責めずに寄り添う相づちとして機能するのです。
一語の隠れた意味を知ると、慰めの温度まで伝わってきます。
まとめ|「運が悪かったね」をさらりと
「tough break」は、相手のちょっとした不運に「災難だったね」と軽く寄り添う、カジュアルな決まり文句だと言えます。break が持つ「運・転機」の意味を知れば、なぜ「壊す」ではなく「不運」を表すのかも腑に落ちるはずです。
深刻になりすぎず、でも相手の気持ちにはちゃんと触れる——そんな絶妙な距離感の同情を、この二語で表せます。友人が小さな不運に見舞われたとき、肩の力を抜いて寄り添えるひと言として、表現の引き出しに加えてみてください。


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