海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
楽しみにしていたことに、誰かが現実的なひとことを浴びせてきて、いっきに気分が冷めてしまった……そんな経験はありませんか。
そんな場面で使える「rain on someone’s parade」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン6第8話の中盤、不安がるレナードにシェルドンが統計データで容赦なく追い打ちをかけるシーンから、一緒に見ていきましょう。
「rain on someone’s parade」の意味とニュアンス
rain on someone’s parade
意味:人の楽しみに水を差す、いい気分に冷や水を浴びせる
晴れやかなパレードに雨が降れば、せっかくの催しは台無しになります。そのイメージから、「浮かれている人・期待にふくらんでいる人の気分をぶち壊す」という意味で使われます。
ポイントは、壊しているのが「楽しい気分・盛り上がり」だということです。間違いを指摘するというより、相手のうきうきした空気そのものに冷や水を浴びせる、という温度感があります。
実際の会話では、「don’t rain on my parade(水を差さないでよ)」の形で、相手の否定的な言動を押しとどめるときによく登場します。また、自分が現実的なことを言う前に「I hate to rain on your parade, but…(水を差すようで悪いけど)」と前置きするのも定番の使い方です。
【ここがポイント!】
- 核は「楽しいパレードに降る雨」、浮かれた気分に冷や水を浴びせるイメージ
- 壊しているのは事実関係ではなく、相手の「いい気分」そのもの
- don’t 〜 で制止に、I hate to 〜, but で前置きに使い分けるのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S06E08のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
ペニーの男友達に嫉妬したレナードが、「心配することなんて何もない」と自分に言い聞かせています。ところがそばにいたシェルドンが、慰めるどころか統計を持ち出して、レナードの不安をいっそう煽り立てます。
Leonard: This is silly. I have nothing to worry about.
(バカげてる。心配することなんて何もないんだ)Sheldon: That’s one point five billion handsome lads standing by, waiting to rain on your parade.
(つまり15億人ものイケメンが、君の楽しい気分に水を差そうと待ち構えてるわけだ)The Big Bang Theory Season6 Episode8(The 43 Peculiarity)
シーン解説と心理考察
シェルドンに悪気はありません。彼はただ「事実」を述べているつもりで、地球上の男性の半分はレナードより魅力的だと仮定し、その数を15億人とはじき出します。そしてその全員が、レナードの幸せを台無しにしようと待ち構えている、と理屈で畳みかけるのです。
慰めの場面のはずが、結果としてレナードの不安を最大化してしまう――この温度差が見どころと言えます。waiting to rain on your parade という言い回しは、ここでは皮肉のキメ表現として効いています。本来は誰か一人の心ない言動を指すことが多いこの表現を、シェルドンは「15億人ぶんの雨」というスケールに拡大し、淡々とした口調で言い切ります。理詰めで相手を追い込むシェルドンらしさが、この一言に重なっています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
街を挙げた盛大なパレードを思い浮かべてみてください。色とりどりの山車、楽団の音、沿道の歓声――そこへ突然、ザーッと土砂降りの雨。人々は散り散りになり、晴れ舞台は一瞬で台無しです。
この「楽しい行進に降りそそぐ雨」のイメージが、そのまま「人の楽しい気分をぶち壊す」という意味につながります。劇中では、シェルドンが「心配ない」と気を取り直そうとするレナードの上に、15億人ぶんの雨を降らせました。誰かの晴れやかな気分に冷たい雨、という絵で結びつけると、すっと覚えられます。
例文で覚える「rain on someone’s parade」
相手の気分に配慮しながら現実を伝える前置きとしても、よく使われます。場面の違う3つの例文で、使い方をつかんでいきましょう。
I hate to rain on your parade, but the trip might get cancelled.
(水を差すようで悪いけど、その旅行は中止になるかもしれない)
相手の期待に冷や水を浴びせる前に、ひとことクッションを置く言い方です。I hate to 〜, but との組み合わせが、最もよく使われる形です。
Sorry to rain on everyone’s parade, but we’re over budget.
(皆さんの盛り上がりに水を差して申し訳ないのですが、予算を超えています)
会議で現実的な問題を切り出す場面です。someone’s を everyone’s に変えると、その場の全員に向けたひとことになります。
A: I’m finally getting that promotion next month!
B: I don’t want to rain on your parade, but have they put it in writing yet?
(A:来月、ついに昇進するんだ!)
(B:水を差すつもりはないけど、それって書面でもう出てるの?)
喜んでいる相手に、気分を削ぎすぎないようやんわり確認を促す会話です。don’t want to 〜 で、配慮のニュアンスを添えています。
あわせて覚えたい関連表現
burst someone’s bubble
(人の幻想を打ち砕く)
こちらが壊すのは「思い込みや期待」です。rain on someone’s parade が「楽しい気分」を壊すのに対し、burst someone’s bubble は相手のふくらんだ思い込みを現実で割る、というイメージです。
be a wet blanket
(座を白けさせる人)
rain on someone’s parade が一回の行為を指すのに対し、こちらは「いつも雰囲気を壊す人」という人物そのものへの評価です。濡れた毛布をかぶせて火を消す様子が語源とされています。
spoil the fun
(楽しみを台無しにする)
よりまっすぐで一般的な言い方です。rain on someone’s parade のほうが比喩的で、皮肉やユーモアをまといやすい点が違います。
Note|rain on one’s parade と burst one’s bubble、壊しているものの違い
人の気分に水を差す表現としてよく並べられるのが、rain on someone’s parade と burst someone’s bubble です。どちらも日本語にすると「水を差す」「がっかりさせる」あたりに落ち着くのですが、英語の発想では、壊している対象がはっきり分かれています。
rain on someone’s parade が浴びせるのは、雨です。対象は parade、つまり「晴れやかに進行している楽しい気分・盛り上がり」です。だから、相手が浮かれて前向きになっているところへ現実を突きつけて気分を削ぐ、という場面にぴたりとはまります。一方 burst someone’s bubble が割るのは、bubble、つまり「ふくらんだ思い込みや甘い期待」です。相手が現実とずれた幻想を抱いているときに、それをパチンと割って現実に引き戻す、というニュアンスになります。たとえば、根拠なく「自分は受かる」と思い込んでいる相手にきびしい事実を伝えるなら burst your bubble、合格を喜んでいる相手の気分に水を差すなら rain on your parade、というように、相手が「いい気分」なのか「思い込み」なのかで自然と選び分けられます。
劇中のシェルドンが浴びせたのは、まさに雨のほうでした。レナードが「心配ない」と気分を立て直そうとした、その晴れ間に冷や水を浴びせたのです。
楽しい気分か、ふくらんだ思い込みか。壊す相手を見れば、選ぶ言葉も見えてきます。
まとめ|シェルドンが降らせた15億人ぶんの雨
rain on someone’s parade は、浮かれている人・期待にふくらんでいる人の気分に、冷や水を浴びせる――そんな状況を一言で表せる表現です。
事実の誤りを正すのではなく、相手の「いい気分」そのものに水を差す、という温度感がこの表現の核にあります。だからこそ、don’t rain on my parade と制止に使ったり、I hate to rain on your parade, but と前置きに使ったりと、気分への配慮とセットで登場することが多いのです。
相手の盛り上がりにそっと現実を添えたいとき、表現の引き出しに加えてみてください。シェルドンのように15億人ぶんの雨を降らせるのはやりすぎですが、ひとさじの現実をやわらかく差し出すのに、ちょうどいい一言です。


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