海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
都合の悪いことを聞かれて、思わず話を逸らしたり、別の話題に切り替えたりして、その場をやり過ごそうとした経験はありませんか。
そんなやりとりにぴったりの「dodge the question」、質問にまともに答えずはぐらかす、という表現を、『ビッグバン★セオリー』シーズン7第1話の冒頭、研究航海に出たレナードに電話をかけたシェルドンが、相手の言い逃れを見抜くシーンから、一緒に見ていきましょう。
「dodge the question」の意味とニュアンス
dodge the question
意味:質問をはぐらかす、まともに答えずにかわす
dodge は、飛んでくるものをひょいと身をかわしてよける、という動作を表す動詞です。dodge the question は、その動作を質問に当てはめた表現で、聞かれたことに正面から答えず、話を逸らしたり別の話題に切り替えたりしてやり過ごす様子を指します。
単に「答えない」のではなく、答えたくない核心をうまく避けている、という含みがあるのが特徴です。都合の悪い質問をされた人が、笑ってごまかしたり、急に別の話を始めたりする。そんな場面で使われます。
報道やインタビューで、はっきり答えない政治家に対して使われることも多く、「あの人は質問をはぐらかした」と批判的なニュアンスで響くこともあります。日常会話からニュースまで、幅広く登場する表現です。
【ここがポイント!】
- 核は「飛んでくる質問を、身をかわしてよける」という身体的なイメージ
- 「答えない」ではなく「答えを巧みに避けている」と読み取るのがコツ
- 相手が話を逸らした瞬間を捉えて指摘する、その場で使える一言
『ビッグバン★セオリー』S07E01のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
研究航海で北海に出ているレナードに、シェルドンが衛星電話をかけています。話題はなんと、DVDのケースが入れ替わっていた件。犯人はレナードかと問い詰めるシェルドンに、嵐で慌ただしいレナードが話を切り上げようとした、まさにその瞬間が見どころです。
Sheldon: So, did you do that, or am I in the house with an intruder?
(それで、君がやったのか、それとも僕は侵入者と一緒にこの家にいるのか?)Leonard: Sheldon, I gotta go inside. It’s getting rough out here.
(シェルドン、中に入らないと。こっちは荒れてきてるんだ)Sheldon: You’re dodging the question. I knew it was you.
(質問をはぐらかしているな。やっぱり君だったんだ)The Big Bang Theory Season7 Episode1(The Hofstadter Insufficiency)
シーン解説と心理考察
嵐の北海という非常事態のなかでも、シェルドンの関心はただ一点、「誰がDVDのケースを入れ替えたのか」に向けられているのが見どころです。レナードが「中に入らないと」と話を切り上げようとした、まさにその瞬間を、シェルドンは「質問をはぐらかしている」と即座に言い当てています。
ここでのシェルドンは、相手が答えをはぐらかす動きに人並み外れて敏感な人物として描かれています。論理と一貫性を何より重んじる彼にとって、質問への直接的な回答を避ける態度は見逃せないものとして響きます。
一方のレナードは、嵐の状況を理由に会話から逃れようとしている、その後ろめたさがにじむ場面です。dodge the question が、まさに「逃げようとした相手を捕まえる」一言として会話の温度を変えています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
dodge という動詞は、ドッジボールの dodge と同じ単語です。コートの中で、飛んでくるボールを体をひねってひょいとよける、あの動きを思い浮かべてみてください。
dodge the question では、飛んでくるボールが「質問」に置き換わります。レナードが「中に入らないと」と話を逸らした瞬間、シェルドンの目には、レナードがボールをひょいとよけた姿がはっきり見えたわけです。
質問というボールを投げる。相手がそれを身をかわしてよける。この一連の動きを、コートの上の二人の姿として頭の中で再生してみてください。体の動きと一緒に覚えると、dodge the question が「質問をかわす・はぐらかす」だと、ふっと口から出てくるようになります。
例文で覚える「dodge the question」
質問を避ける場面はもちろん、相手のはぐらかしを指摘するときにも使える表現です。3つの例文で、使い方の幅を見ていきましょう。
Stop dodging the question and tell me what really happened.
(はぐらかすのはやめて、本当に何があったのか教えて)
友人や家族を問い詰める、カジュアルな場面です。Stop dodging で「はぐらかすのはやめて」と、相手のごまかしにストップをかける言い方になります。
The minister dodged the question about the tax increase.
(その大臣は増税についての質問をはぐらかした)
ニュースや報道でよく見かける使い方です。はっきり答えない政治家の態度を、客観的に描写するときに使われます。
A: Did you actually finish the report?
B: Well, you know, these things take time…
A: You’re dodging the question.
(A:報告書、本当に終わったの?)
(B:いや、ほら、こういうのは時間がかかるもので…)
(A:はぐらかしてるでしょ)
相手が言い訳がましく話を逸らした瞬間を捕まえる会話です。劇中のシェルドンの使い方に近く、その場で指摘する形が自然に出ています。
あわせて覚えたい関連表現
evade the question
(質問を回避する)
dodge とほぼ同じ意味ですが、evade はややフォーマルで、意図的・計画的に避けるニュアンスが強くなります。dodge の方が口語的で軽い響きです。
change the subject
(話題を変える)
話を逸らす行動そのものを指す表現です。dodge the question が「答えを避けた」という評価を含むのに対し、change the subject は単に話題を切り替える動作を表します。
beat around the bush
(遠回しに言う、核心を避ける)
直接言わず、回りくどく話すこと全般を指します。質問への回答に限らず使える点が、質問に特化した dodge the question との違いです。
Note|「身をかわす」dodge の身体性
dodge the question の dodge は、いったいどこから来た言葉なのでしょうか。実はこの単語には、今でも私たちが体で知っている動きが詰まっています。
dodge は、もともと「素早く身をかわす」「ひらりとよける」という、体の動きを表す動詞です。この身体的な意味は、現代でもしっかり生きています。代表的なのが球技のドッジボール(dodgeball)で、これはまさに「ボールを dodge する(よける)ゲーム」です。さらに、車が急にハンドルを切って何かをよけるときにも dodge が使われますし、税金を巧みに逃れることを tax dodge と呼んだりもします。つまり dodge は、物理的に何かをよける動作から、責任・義務・質問といった抽象的なものを「うまく避ける」意味へと広がってきた言葉だと読み取れます。
質問を dodge するという表現も、この延長線上にあります。飛んでくる質問を、まるでボールのように身をかわしてよける。そう考えると、dodge the question が持つ「巧みに、ひらりと避ける」という感覚が、より立体的に見えてきます。
体の動きが、そのまま言葉の意味になっているのですね。
まとめ|シェルドンが見逃さなかった「逃げ」
dodge the question は、質問に正面から答えず、ひらりと身をかわすようにはぐらかす、という表現です。単なる「答えない」ではなく、答えたくない核心を巧みに避けている、というニュアンスが核にあります。
相手がふいに話を逸らしたとき、「今、質問をかわしたな」と気づける。あるいは、自分が誰かのごまかしを指摘したいとき、この一言があれば、その場の空気を的確に言い表せます。会話の流れを読む力が、ぐっと上がるはずです。
嵐の中でも相手の「逃げ」を見逃さなかったシェルドンのように、やりとりの中の小さなはぐらかしに気づける表現として、会話のレパートリーに加えてみてください。


コメント