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普段なら絶対にしないことでも、追い詰められると「もうこうなったら仕方ない」と腹をくくってしまうこと、ありませんか。
そんな気持ちを表す「desperate times call for desperate measures」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン9第11話の冒頭、お目当ての映画のチケットがなかなか取れずパニックになったシェルドンが思わず神に祈り出すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「desperate times call for desperate measures」の意味とニュアンス
desperate times call for desperate measures
意味:窮地には非常手段が必要だ/背に腹は代えられない
切羽詰まった状況(desperate times)では、それに見合った思い切った対策(desperate measures)を取らざるを得ない、という意味のことわざです。call for は「〜を必要とする/求める」という句動詞で、「ひどい状況がひどい手段を呼び寄せる」という構図になっています。
このフレーズの便利なところは、普段なら避けるような極端な行動・妥協・出費に踏み切るときの前置きとして使える点です。深刻な非常事態だけでなく、「面倒だけど徹夜するしかない」「好みじゃないけど我慢する」といった、ちょっとした諦めや開き直りにも、半分ユーモアを込めて添えられます。desperate という強い単語が前後で2回繰り返されるリズムも、口にしたときの印象を強めています。
【ここがポイント!】
- 「ひどい状況」と「ひどい対策」を desperate でそろえた、対句のことわざ
- 普段しない極端な行動を正当化する前置きとして使えるのが便利なところ
- 深刻な場面にも軽い開き直りにも効く、振り幅の広い一言
『ビッグバン★セオリー』S09E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
新作スター・ウォーズのチケットが予定より早く発売され、サイトがフリーズして仲間全員がパニックに。普段は神の存在を否定しているシェルドンが、ここぞとばかりにとんでもない手段に打って出ます。
Raj: Guys, they’re gonna sell out.
(みんな、売り切れちゃうよ。)Sheldon: All right, this goes against everything I stand for, but desperate times call for desperate measures. Lord, this is Sheldon Cooper. You’re good friends with my mom.
(いいだろう、これは私の信条すべてに反するが、窮地には非常手段が必要だ。主よ、シェルドン・クーパーです。あなたは母の親友ですね。)The Big Bang Theory Season9 Episode11(The Opening Night Excitation)
シーン解説と心理考察
無神論を貫いてきたシェルドンが、チケット欲しさのあまり天を仰いで祈り始める——その落差そのものが、このシーンの見どころと言えます。「私の信条すべてに反するが」という前置きを自分で口にしているあたり、彼自身も矛盾を自覚していることが伝わってきます。それでもなお祈らずにいられないほど、スター・ウォーズへの執着が常軌を逸していることが、この一言に重なっています。
祈りの最中に仲間がチケットを確保すると、シェルドンは即座に「これからも(あなたの存在を)否定し続けます」と前言を撤回します。窮地が去ったとたん信条に戻るという身勝手さもまた、彼らしさが表れている場面です。ことわざが大げさな祈りの導入として置かれることで、直後の滑稽さがいっそう際立っています。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
崖っぷちに立たされた人が、普段は絶対に開けない非常用の箱に手を伸ばす——そんな映像を思い浮かべてみてください。desperate times(切羽詰まった状況)という赤いランプが点滅し、その横の desperate measures(非常手段)のレバーをためらいながら引く。シェルドンが「信条に反するが」と言いつつ天を仰いだ姿は、まさにその非常用レバーに手をかけた瞬間です。前半と後半で desperate がそろう対句の形を、「状況」と「対策」が鏡のように向き合っているイメージで捉えると、リズムごと記憶に残ります。
例文で覚える「desperate times call for desperate measures」
深刻な場面からちょっとした開き直りまで幅広く使えるこのフレーズを、3つの場面で見てみましょう。
The deadline is tomorrow, so I pulled an all-nighter. Desperate times call for desperate measures.
(締め切りが明日だから徹夜したよ。背に腹は代えられないからね。)
課題や仕事に追われて普段はしない無理をしたときの一言です。「やりたくはないけど状況が状況だから」という気持ちを、軽く正当化するニュアンスがあります。
Sales dropped sharply this quarter, so we had to cut prices in half. Desperate times call for desperate measures.
(今四半期は売上が急落したので、価格を半額にせざるを得ませんでした。非常時には非常手段です。)
業績悪化で思い切った決断を下す、ビジネスの場面でも自然に使えます。普段なら取らない大胆な策を説明する前置きとして機能しています。
A: You’re really asking your little brother for help?
B: I never do, but desperate times call for desperate measures.
(A:本当に弟に助けを求めるの?)
(B:普段は絶対しないけど、こうなったら背に腹は代えられないよ。)
プライドを曲げて誰かに頼るときの会話です。シェルドンの「信条に反するが」と同じ構図で、自分らしくない行動への言い訳として添えられています。
あわせて覚えたい関連表現
by any means necessary
(どんな手段を使ってでも)
こちらは目的のために手段を選ばない強い決意を表します。desperate times〜が「状況ゆえの仕方ない言い訳」なのに対し、自ら進んで覚悟を決めるニュアンスが強い表現です。
when push comes to shove
(いざとなったら/切羽詰まったら)
窮地に至る「条件」を述べる接続的な表現で、文の前段に置かれることが多い言い回しです。desperate times〜が結論側の正当化だとすると、こちらは「その時が来たら」という前振りに当たります。
last resort
(最後の手段)
ほかの方法をすべて試した後に残る最終選択を指します。desperate measures が「追い詰められた末の極端さ」に重きがあるのに対し、last resort は「順番として最後」という点に焦点があります。
Note|古代ギリシャ医学から来たとされることわざ
シェルドンが神頼みの前置きに使ったこのことわざ、実は数千年の歴史をさかのぼる由緒ある一文だとされています。
起源としてよく挙げられるのが、古代ギリシャの医師ヒポクラテスの『箴言(Aphorisms)』にある一節です。そこでは「極端な病には極端な治療が適している」という趣旨のことが説かれていたとされ、もともとは重い病気にどう対処するかという医療の文脈で語られた言葉でした。それが時代を経て英語に取り込まれる過程で、病気に限らず「追い詰められた状況全般」に当てはまる格言へと意味を広げていったと言われています。17世紀頃には現在に近い形の英語のことわざとして定着していたとされ、長い時間をかけて医療の知恵が日常の処世訓に変わっていったことになります。
こうした来歴を知ると、シェルドンが「信条に反するが」とまで言って非常手段に出る場面で、はるか昔に「重病には強い薬を」と説いた医師の知恵が顔を出しているのは、なかなか味わい深いものがあります。
言葉の重みは、その背負ってきた歴史の長さからも伝わってきます。
まとめ|シェルドンが祈った夜から学ぶこと
desperate times call for desperate measures は、「ひどい状況には、それ相応の思い切った手段を」という諦めと決断のことわざです。call for(〜を求める)が、状況の方が手段を呼び寄せるという独特の構図を作り出しています。
このフレーズを知っておくと、普段はしない無理や妥協に踏み切るとき、その理由をひとことで、しかも少しのユーモアとともに伝えられるようになります。深刻な場面でも、軽い開き直りでも、同じ一文が状況に寄り添ってくれます。
無神論者のシェルドンが天を仰いだあの夜のように、人を「らしくない行動」へと押し出す力が、この言葉の背景には透けて見える場面でした。


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