海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
相手にやめてほしいことを、角を立てずに伝えたい——そんなとき、ストレートに言う前にワンクッション置きたくなることはありませんか。
今回は、そんな前置きにぴったりの「for future reference」を、『ビッグバン★セオリー』シーズン9第11話の中盤、いつものノックをからかわれたシェルドンが皮肉まじりに言い返すシーンから、一緒に見ていきましょう。
「for future reference」の意味とニュアンス
for future reference
意味:今後の参考までに/次回のために覚えておいて
これから先(future)のために、この情報を参照(reference)できるようにしておいて、という意味の前置き表現です。相手に「今後はこうしてほしい」「これを覚えておいてね」と伝えるとき、文の頭に置いてやわらかく切り出すのに使います。
直接「やめて」「こうして」と言うと角が立つ場面でも、for future reference を前に置くことで、注意や忠告のトゲをやわらげることができます。軽い指摘から、職場での申し送り、ときには皮肉のクッションまで、フォーマル・カジュアルの両方で活躍する便利な言い回しです。just for future reference のように just を添えると、さらに軽く柔らかい響きになります。本来はビジネス的な注意喚起の表現ですが、日常会話でも幅広く使われています。
【ここがポイント!】
- 「これから先の参照のために」=今後のために覚えておいて、という前置き
- 直接的な注意のトゲをやわらげる、便利なクッション表現
- フォーマルにも皮肉まじりにも使える、振り幅の広い一言
『ビッグバン★セオリー』S09E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
シェルドンには、ドアを3回ノックして相手の名前を呼ぶ、という独特の儀式があります。それをペニーとバーナデットがわざとからかい、さんざん待たせたところ、シェルドンが皮肉で反撃します。
Penny: We’re sorry. What do you need?
(ごめんなさい。何の用?)Sheldon: For future reference, if I want to watch Mean Girls, I’ll stream it on Netflix.
(今後の参考までに言っておくが、『ミーン・ガールズ』が観たければNetflixで配信を観るからね。)The Big Bang Theory Season9 Episode11(The Opening Night Excitation)
シーン解説と心理考察
からかわれて苛立っても、シェルドンは正面から怒鳴ったりはしません。「for future reference」と丁寧に前置きしてから皮肉を返すあたりに、理屈で武装する彼らしさが表れています。意地悪な女子高生を描いた映画『ミーン・ガールズ』を引き合いに出すことで、「君たちの意地悪はあの映画並みだ」と上品に当てこすっているわけです。
本来は事務的な注意喚起に使うこの前置きが、ここでは皮肉を包む包装紙として使われているのが面白いところです。怒りをそのままぶつけず、形式ばった言い回しでくるんで返す——その温度差が、このシーンの可笑しさを生んでいます。フレーズの汎用性の高さが、思わぬ形で際立つ場面と言えます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
相手の頭の中にある「メモ帳」を思い浮かべてみてください。for future reference は、その未来のページに「この件、次から気をつけてね」と一行書き足してもらう動作のイメージです。シェルドンが皮肉を言う前に、わざわざこの前置きを挟んだのも、相手のメモ帳に「次はノックで遊ばない」と書き込ませようとしたようなもの。reference(参照)という単語を「あとで見返すための付箋」と捉え、それを未来(future)に向けて貼る、という絵で覚えると、前置きとしての役割がつかみやすくなります。
例文で覚える「for future reference」
注意・申し送り・好みの共有など、いろいろな場面で使えるこのフレーズを、3つの形で見てみましょう。
For future reference, the meeting room needs to be booked a day in advance.
(今後の参考までに、会議室は前日までに予約する必要があります。)
職場で手順をやんわり注意するときの定番の使い方です。直接「予約を忘れないで」と言うより、角が立たずに伝わります。
For future reference, I don’t drink coffee, just tea.
(今後のために言っておくと、私はコーヒーは飲まなくて、紅茶だけなんです。)
自分の好みを覚えておいてほしいときにも使えます。相手を責めるニュアンスがなく、さらりと伝えられるのが便利なところです。
A: Sorry, I didn’t know you needed it by noon.
B: No worries. Just for future reference, I usually need these reports in the morning.
(A:ごめん、正午までに必要だって知らなかったよ。)
(B:大丈夫。ただ今後のために言っておくと、こういう報告書はたいてい午前中に必要なんだ。)
行き違いのあとに、次回への申し送りを穏やかに伝える会話です。just を添えることで、責めるのではなく共有する空気になっています。
あわせて覚えたい関連表現
just so you know
(一応言っておくと)
どちらも情報を添える前置きですが、just so you know は今この場の状況を共有するニュアンスです。for future reference が「これから先のため」と未来に向くのに対し、こちらは「今知っておいてね」に近い表現です。
keep in mind
(心に留めておいて)
相手に記憶・留意を直接うながす言い方です。for future reference が前置きの名詞句として使われるのに対し、keep in mind は「〜を覚えておいて」と動詞で促す形になります。
going forward
(今後は)
「これから先は〜する」と方針を述べる、ビジネスでよく使う表現です。for future reference が「覚えておいて」という申し送りなのに対し、going forward は「今後の運用はこうします」と宣言するニュアンスがあります。
Note|やんわり伝える英語のクッション表現
シェルドンが皮肉の前に置いたこの前置き、英語の会話作法という視点で見ると、なかなか奥行きのある一言です。
英語には、率直な注意や要望を伝える前に、それをやわらげるためのクッション表現が数多くあるとされています。for future reference もその一つで、ほかにも with all due respect(失礼を承知で申しますと)、I hate to say this, but(言いにくいのですが)、no offense, but(気を悪くしないでほしいんだけど)といった前置きが、同じ役割を担っています。これらに共通するのは、本題に入る前にワンクッション置くことで、相手の心の準備を促し、関係を壊さずに言いたいことを伝える、という発想です。直接的な物言いがぶつかり合いを生みやすい場面で、こうした前置きは会話の潤滑油として働きます。for future reference が「今後のために」と未来を向いているのも、「今あなたを責めているのではない」というメッセージを含んでいるからこそ、注意がやわらかく届くわけです。
シェルドンの場合は、その丁寧な包装紙の中身が皮肉だったわけですが、前置きのおかげで嫌味が直接的になりすぎず、コメディとして成立しています。
ひとことの前置きが、伝え方の印象を大きく左右するのですね。
まとめ|注意のトゲをやわらげる前置き
for future reference は、「今後の参考までに」と前置きして、注意や要望をやわらかく切り出すための表現です。reference(参照)を未来(future)に向ける、という成り立ちが、「今を責めるのではなく、次に向けた共有」というニュアンスを生んでいます。
この前置きを覚えておくと、相手にやめてほしいことや覚えておいてほしいことを、角を立てずに伝えられるようになります。職場の申し送りから日常の好みの共有まで、関係をなめらかに保つ潤滑油として働いてくれます。
からかいに皮肉で応じたシェルドンのように、言いにくいことをひとことでくるんで返せる、そんな表現と言えます。


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