海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
良かれと思った相手の親切が、だんだん度を越してきて、「もう少し控えてくれないかな」と感じたこと、ありませんか。
そんなときに使える「rein it in」は、行き過ぎた言動を抑える、自制するという意味で使われます。今回は『ビッグバン★セオリー』シーズン9第20話から、妊娠中の妻に世話を焼きすぎる親友ラージに、ハワードが少し苛立つシーンを一緒に見ていきましょう。
「rein it in」の意味とニュアンス
rein it in
意味:(暴走しかけているものを)抑える、自制する、度を越さないようにする
rein は馬を御すための「手綱」のこと。rein in は、その手綱を自分の体の方へ引き寄せて、馬の勢いを抑える動作から生まれた表現とされています。そこから、支出・感情・発言・行動など、放っておくと加速してしまうものを引き戻して、適度な範囲に収めるという意味で使われるようになりました。
ポイントは、「完全に止める」のではなく「行き過ぎを抑える」という点です。it の部分は him / her / yourself など、抑える対象に応じて入れ替わります。”rein in spending”(支出を抑える)のように、経済の話題でもよく登場する表現です。
【ここがポイント!】
- 核にあるのは、暴れ馬の手綱を引いて勢いを抑えるイメージ
- 止めるのではなく「行き過ぎを抑える」という加減のある表現
- 間の it は him・her・yourself など、抑える対象で入れ替えるのがコツ
『ビッグバン★セオリー』S09E20のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
妊娠中のバーナデットに、親友ラージが過剰なほど世話を焼きます。父親であるはずのハワードは自分の立場が薄れていくように感じ、ラージに一言言おうとして、まず妻に同意を求めます。
Howard: Raj just pulled up. I’m gonna say something to him.
(ラージが来た。あいつに一言言ってくるよ)Bernadette: Leave it alone. He means well.
(やめときなって。悪気はないんだから)Howard: So you don’t think he needs to rein it in a little?
(じゃあ、あいつは少しくらい控えるべきだとは思わないのか?)Bernadette: No, not really.
(別に、そうは思わないわ)The Big Bang Theory Season9 Episode20(The Big Bear Precipitation)
シーン解説と心理考察
ハワードの “rein it in” には、ラージの暴走を抑えたいという苛立ちがにじむ場面です。乳腺コンサルタントのリストを送り、出産動画を一緒に見て、超音波マイクまで注文するラージに対し、ハワードは自分こそが父親だという思いを抑えきれずにいます。
一方のバーナデットは “He means well”(悪気はない)と取り合わず、むしろラージの気遣いを歓迎している様子が会話の温度を変えています。同じ状況を見ても、夫婦の受け止め方がまるで違う。その温度差が、ハワードの “rein it in” という一言をいっそう際立たせています。抑えたいハワードと、抑える必要を感じないバーナデット。そのすれ違いがコメディとして転がっていく入口になっていると言えます。
『ビッグバン★セオリー』流・覚え方のコツ
馬に乗った自分を思い浮かべてみましょう。前を走る馬(=ラージの暴走)が走り出そうとした瞬間、手綱(rein)を自分の体の方へぐっと引き寄せる(in)。この「引き戻す」動作が、そのまま「行き過ぎを抑える」という意味に重なります。
ハワードが「ラージという暴れ馬の手綱をなんとか引きたい」と思っている図を重ねると、rein it in の手綱のイメージが記憶に残りやすくなります。引いて、勢いをやわらげる。その一連の動きごと覚えてしまうのがおすすめです。
例文で覚える「rein it in」
支出・感情・言動など、加速しがちなものを抑える場面で広く使えます。3つの例文で、対象の入れ替え方を見ていきましょう。
You need to rein in your spending before the holidays.
(休暇シーズンの前に、出費を抑えないとね。)
家計を心配して家族に声をかける場面です。rein in の最も定番の組み合わせが、この spending を抑えるという使い方です。
I had to rein myself in before I said something I’d regret.
(後悔するようなことを言う前に、自分を抑えなきゃならなかった。)
感情的になりかけた自分にブレーキをかける場面です。間に myself を入れると、「自制する」という意味になります。
A: Our new intern keeps emailing the CEO directly.
B: Someone needs to rein him in before this gets out of hand.
(A:うちの新しいインターン、CEOに直接メールを送り続けてるんだ。)
(B:収拾がつかなくなる前に、誰かが彼を抑えないとね。)
職場で暴走気味の人物について話す場面です。him を間に挟むことで、「彼を抑える」と具体的な相手を示せます。
あわせて覚えたい関連表現
hold back
(抑える、控える)
気持ちや行動をためらって出さないという、より一般的な表現です。rein in が「暴走を制御する」方向に特化しているのに対し、hold back は出し惜しみのニュアンスも含みます。
keep a tight rein on ~
(〜を厳しく管理する)
同じ rein を使った表現で、手綱を締めて常に管理している状態を表します。rein in が「今ある暴走を抑える」動作寄りなのに対し、こちらは継続的な管理を指します。
tone it down
(控えめにする、トーンを落とす)
派手さや激しさを和らげる表現です。rein it in と置き換えられる場面もありますが、tone down は「強さ・大げささ」を弱める色が濃くなります。
Note|rein は馬の「手綱」── 同じ音の reign との取り違えに注意
rein it in を文字で書くとき、ネイティブでもよく間違える落とし穴があります。それが reign との取り違えです。
rein は、ラテン語で「引き留める」を意味する retinēre に由来するとされ、もともとは馬を御すための革の「手綱」を指す言葉でした。一方の reign は「統治する・君臨する」という、まったく別の意味の単語です。発音はどちらも同じなのに綴りが違うため、”rein in” と書くべきところを “reign in” と書いてしまう誤記が、英語圏でも繰り返し指摘されています。手綱を自分の体側に引く(in)動作が意味の核なので、正しいのは rein in のほうだと押さえておくと安心です。
この「手綱を引く」という由来を知っておくと、rein it in が「勢いのあるものを引き戻して抑える」表現だということが、より腑に落ちます。
手綱のイメージひとつで、綴りも意味もまとめて覚えられる表現です。
まとめ|ハワードの苛立ちから学ぶ「抑える」の一言
rein it in は、暴走しかけているものを引き戻して、ちょうどいい範囲に収めるという表現です。完全に止めるのではなく、加減して抑えるというニュアンスが、馬の手綱というイメージにぴったり重なります。
支出を抑えたいとき、感情をコントロールしたいとき、暴走気味の誰かをなだめたいとき。さまざまな場面で、この一言が使えます。
ラージへのハワードの苛立ちと一緒に、「行き過ぎを抑える」という手綱の感覚を、表現の引き出しに加えてみてください。


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