海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
刑事ドラマやマフィア映画を見ていると、刑務所のことを様々なスラングで呼んでいるのに気づきませんか?
今回は、FBI捜査官ブースがギャングとの駆け引きの中でさらりと使った、少し荒っぽいけれどネイティブらしい「現場の英語」をご紹介します。
実際にそのシーンを見てみよう!
ブースが、ギャングの一員であるオルテイズから情報を聞き出すために、どのような「取引」を持ちかけたのかをブレナンに明かすシーンです。
彼は、オルテイズの妹が警察に捕まっているという情報を掴んでおり、それを交渉材料(ネタ)に使ったと語ります。
Booth: Ortez’s sister’s in the can on possession charges.
(オルテイズの妹は、薬物所持の罪でブタ箱に入っている。)Booth: I promised him I could make that go away.
(俺は彼に、その件を帳消しにしてやれると約束したんだ。)Brennan: Can you?
(そんなことできるの?)Booth: No.
(いいや。)
BONES Season1 Episode13 (The Woman in the Garden)
ここでブースがあえて prison や jail という公的な言葉ではなく、スラングの the can を使った点に注目です。
これは彼が「上品なエリート捜査官」としてではなく、ストリートの現実を知る「叩き上げの男」として、ギャングと同じ目線で交渉したことを示しています。
「お前の妹がどうなってもいいのか?」と脅しをかける際、あえて汚い言葉を使うことで、相手に「この捜査官は俺たちの世界のルールを知っている」と思わせる、ブースの巧みな威圧テクニックなんですね。
フレーズの意味とニュアンス
in the can
意味:刑務所に入って、留置所に入れられて、ブタ箱にいて
直訳すると「缶の中に入って」。
ここでの can は「刑務所(jail/prison)」を指す古いスラングです。
語源には諸説ありますが、狭くて金属に囲まれた独房が「缶詰」や「ブリキ缶」を連想させることから来ていると言われています。日本語の「ブタ箱」や「ムショ」に近い、ぞんざいな響きがあります。
【ここがポイント!】
このフレーズの核心は「敬意の欠如」と「閉塞感」です。
法的な矯正施設としての prison ではなく、人間をただ閉じ込めておく「箱」というニュアンスが強く出ます。
決して公的な場や、被害者家族への説明などで使う言葉ではありません。仲間内や裏社会の会話で使われる「荒っぽい俗語」であることを覚えておきましょう。
実際に使ってみよう!
基本的には犯罪ドラマで耳にする言葉ですが、日常会話では「閉じ込められる」という比喩や、少しワルぶった警告として使えます。
If you get caught driving like that, you’ll end up in the can.
(あんな運転をして捕まったら、ブタ箱行きだぞ。)
友人が危険な運転をしている時に、警告として使うパターンです。go to jail と言うよりも、「酷い目に遭うぞ」というニュアンスが強まります。
He’s spent half his life in the can.
(あいつは人生の半分をムショで過ごしている。)
その人が常習犯(repeat offender)であることを示す表現です。その人の人生に対する「荒廃したイメージ」が伝わります。
I felt like I was in the can working in that tiny basement office.
(あの狭い地下のオフィスで働いていると、まるで独房にいるような気分だったよ。)
比喩的な使い方です。狭くて窓がない、自由がない場所を、冗談めかして the can と呼ぶことがあります。
『BONES』流・覚え方のコツ
「缶詰にされた囚人」で覚えましょう。
狭いツナ缶の中に、人間がぎゅうぎゅうに押し込められているイラストを想像してください。
息苦しくて、金属の冷たい感じがするあの「缶(Can)」こそが、ブースたちの呼ぶ刑務所のイメージです。
似た表現・関連表現
behind bars
(鉄格子の向こうに、収監されて)
bar は「鉄格子」。視覚的なイメージが強く、ニュースや記事でもよく使われる、比較的フォーマルな慣用句です。
do time
(服役する、刑期を務める)
「時間を過ごす」=「刑期を全うする」ということ。He is doing time. のように動詞として使います。
the slammer
(ムショ、刑務所)
鉄の扉が「バタン!(Slam)」と閉まる音から来ています。in the can と同様、かなりカジュアルなスラングです。
深掘り知識:なぜ「Can(缶)」なのか?
なぜ刑務所が「缶」なのでしょうか?
実は1900年代初頭のイギリスやアメリカでは、警察署(Police Station)のことをスラングで “The Can” と呼んでいました。
これは署内の留置場が狭く、衛生状態も悪く、まるでゴミ箱(Trash can)や密閉容器のようだったからだと言われています。
そこから転じて、刑務所全体を指す言葉になりました。
日本語でも「ブタ箱(留置場)」と呼びますが、どこの国でも「自由を奪われる場所」には、汚くて狭いものの名前が付けられるのが面白いですね。
まとめ|言葉のTPOを選ぼう
in the can は、映画やドラマの雰囲気を味わえるカッコいいスラングですが、使う相手と場所を選ぶ言葉です。
ビジネスや目上の人の前では、大人しく in prison と言うのが賢明な「処世術」ですよ。


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