海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰かに「これやってもいい?」と聞かれた時、単に「Yes」と答えるだけでは、あなたの「本音」までは伝わりません。
今回は、FBI捜査官ブースの会話から、相手の申し出に対して「好きにすれば?(自分は遠慮するけど)」というニュアンスを含んで許可を出す、大人の英語表現をご紹介します。
実際にそのシーンを見てみよう!
ラボに運び込まれた遺体の身元特定を進めるスクイント(研究員)たち。
専門用語を並べ立てて複雑な分析方法を提案するザックに対し、現場主義のブースは「結果さえ分かれば過程はどうでもいい」という態度で応じます。
Zack: I can get a jagged edge match from the kerf marks on the sternum.
(胸骨の切断痕から、ギザギザの断面を照合できます。)Booth: Great. Knock yourself out. Alright, anything more about the girl?
(すごいな。存分にやってくれ。で、その女の子について他には?)Zack: She has a titanium pin in her distal radius.
(橈骨(とうこつ)遠位端にチタン製のピンが入っています。)
BONES Season1 Episode15 (Two Bodies in the Lab)
ザックは科学的な手法(kerf marks=切り口の跡)を熱心に語りますが、ブースにとってそれは「チンプンカンプンで面倒な作業」です。
ここで Knock yourself out を使うことで、ブースは「俺には理解できない世界だが、お前がやりたいなら止めないよ」という許可を出しています。
これは単なる投げやりではありません。
「俺は現場、お前はラボ」という役割分担を明確にし、相手のオタク的な専門領域には口を出さないという、彼なりのリスペクトと処世術が見て取れるシーンです。
フレーズの意味とニュアンス
knock yourself out
意味:好きにする、ご自由にどうぞ、存分にやる
直訳すると「自分自身を殴って気絶させる(knock out)」です。
そこから転じて、「気絶するほど一生懸命やる」→「(止はしないから)気が済むまでやってくれ」という意味になりました。
【ここがポイント!】
単なる「Go ahead(どうぞ)」とは違います。
ここには、「(自分はやりたくない・大変そうだと思うけれど)あなたがそこまでやりたいなら、どうぞご勝手に」というニュアンスが含まれます。
相手が面倒な作業を申し出た時や、自分には理解できない趣味に没頭しようとしている時に、「お手並み拝見」といった距離感で使うのがポイントです。
実際に使ってみよう!
相手の提案に対して、ウィットに富んだ「許可」を出してみましょう。
A: Can I organize these files by color and date? It’s gonna take all night.
B: Knock yourself out. I’m going home.
(A: このファイル、色と日付順に整理してもいい? 一晩かかりそうだけど。/ B: 好きにして。私は帰るわ。)
「一晩かかるような面倒なこと」をあえてやりたがっている相手に対して。「私ならやらないけどね」という呆れと、「頑張ってね」という許可が入り混じった表現です。
A: Is it okay if I finish the rest of this pizza?
B: Knock yourself out. I’m stuffed.
(A: このピザ、残りを全部食べちゃっていい? / B: どうぞどうぞ。私はもうお腹いっぱいだから。)
食べ物を勧める時の定番です。「限界まで(knock outされるまで)食べていいよ」という、気前の良い歓迎のニュアンスになります。
A: I’m going to try to fix the printer myself.
B: Knock yourself out. But don’t make it worse.
(A: プリンター、自分で直してみるよ。 / B: やってみなよ。でも悪化させないでね。)
「どうせ無理だろうけど」という皮肉が少し混じることもあります。ブースがスクイントたちを見る目線に近いですね。
『BONES』流・覚え方のコツ
「ブースの丸投げポーズ」で覚えましょう。
面倒な科学捜査の話をされた時、ブースが「はいはい、どうぞご勝手に」と手を振って相手にボールを投げる姿。
「俺を巻き込むなよ(でも結果は出してね)」というサインと共に、このフレーズを口にするイメージを持ってください。
似た表現・関連表現
Be my guest.
(遠慮なくどうぞ)
Knock yourself out よりも丁寧で上品な表現です。「私の客になったつもりで、自由に振る舞ってください」という歓迎の意を表します。
Go for it.
(やってみなよ、頑張って)
よりポジティブな応援のニュアンスが強い表現です。「ご勝手に(関心なし)」ではなく、「その調子で進め!」と背中を押す時に使います。
Suit yourself.
(好きにすれば?)
こちらはネガティブな突き放しです。「忠告したのに聞かないなら、勝手にすれば?(後は知らないよ)」という、冷たい態度が含まれます。
深掘り知識:「全力」か「皮肉」か?
このフレーズは文脈によって「歓迎」にも「皮肉」にもなります。
ピザを指して “Knock yourself out.” と言えば、「お腹いっぱい食べてね!」という温かい歓迎です。
しかし、無謀な計画を話す相手に、呆れ顔で “Knock yourself out.” と言えば、「まあ、失敗するだろうけど勝手にやりなよ」という皮肉になります。
ブースの場合はその中間。
スクイントたちの能力は認めている(歓迎)けれど、オタク話には付き合いたくない(呆れ)。この絶妙な距離感こそが、彼らのチームワークを円滑にしている秘訣なのかもしれません。
まとめ|大人の余裕で「許可」を出そう
すべてを自分でコントロールしようとせず、時には相手に任せることも大切です。
誰かが張り切って何かをしようとしている時は、ブースのように余裕たっぷりに “Knock yourself out.” と言ってみましょう。
相手のやる気を尊重しつつ、自分はうまく手を抜く。そんなスマートな処世術です。


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