海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
食事のあとの会計で、「ここは割り勘にしようか」と切り出す場面は、誰にでもありますよね。
その「割り勘にする」を表す「go Dutch」を、『CHUCK』シーズン2第1話の中盤、武装した相手に連行されかけたチャックが、極度の緊張をごまかすように会計の心配をしてしまうシーンから、一緒に見ていきましょう。
「go Dutch」の意味とニュアンス
go Dutch
意味:割り勘にする、各自が自分の分を払う
食事やデートなどの支払いを、各自が自分の分を負担する、あるいは折半することを表します。直訳すると「オランダ式でいく」。なぜオランダなのかは後ほど触れますが、現代では国名のニュアンスはほとんど意識されず、「割り勘にする」という意味の決まり文句として広く使われています。
似た表現の split the bill(勘定を分ける)とほぼ同じ意味ですが、go Dutch のほうがやや口語的でカジュアルな響きです。友人同士の食事や、デートでの支払いをどうするか相談する場面でよく登場します。気取らない、対等な関係を感じさせる言い回しと言えます。
【ここがポイント!】
- 「オランダ式でいく」が直訳、中身は「各自が自分の分を払う」
- split the bill とほぼ同義だが、go Dutch のほうがカジュアルな響き
- 対等でフラットな関係を感じさせる、気取らない一言
『CHUCK』S02E01のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
サラとの念願のデートを楽しんでいたチャックの前に、武装した雇われ屋コルトが現れます。「会計はこっちで持つ」と言われて連行されかけたチャックは、命の危機を前にしながら、なぜか割り勘やチップの心配を口走ってしまいます。その的外れな軽口に、このフレーズが使われています。
Colt: Let’s go. We’ll take care of the check.
(行こう。会計はこっちで持つ。)Chuck: Um, you know, are you sure? The moo goo gai pan is very expensive here, so we could probably go Dutch or something. How much do bad guys normally tip?
(えっと、本当にいいの?ここの鶏ときのこ炒めは高いから、割り勘にでもしようか。悪党って普通どれくらいチップを払うものなの?)Chuck Season2 Episode1(Chuck Versus the First Date)
シーン解説と心理考察
銃を突きつけられているのに、思わず「割り勘にしよう」「チップはいくら?」と口走ってしまう──チャックのずれた緊張ぶりが、このシーンの可笑しさの中心です。命の危機よりも目の前の会計を心配してしまう間の抜け方に、彼の人柄がよく表れています。
極限状況でも反射的にジョークが出てしまうのは、チャックというキャラクターの不安への対処法であり、シリーズ全体のユーモアを支える核でもあります。深刻なはずの連行シーンと、日常的な「割り勘」という話題の落差が、緊張と笑いを同時に生み出しています。怖さとおかしさが背中合わせになった、いかにも『CHUCK』らしい一場面と言えます。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
レストランの会計で、それぞれが財布を取り出して自分の分だけを払う──その合理的な光景を、「オランダ式の支払い方」としてイメージするのが覚え方のコツです。Dutch(オランダの)という国名が入っているのが、最大の手がかりになります。
劇中では、銃を向けられているのに「割り勘にしよう」と言い出すチャックの、命より会計を心配するずれっぷりが見どころでした。この間の抜けた緊張感と「go Dutch」を結びつけておくと、「各自が自分の分を払う」という意味が、笑いとともに記憶に残ります。First Date(初デート)というエピソードのテーマとも相性のいいフレーズです。
例文で覚える「go Dutch」
会計の場面でそのまま使える、実用度の高い表現です。気取らないカジュアルなトーンを意識してみましょう。
Let’s go Dutch this time—you paid last week.
(今回は割り勘にしよう。先週は君が払ってくれたし。)
友人との食事で支払いを提案する、最も自然な使い方です。気兼ねのない対等な関係がにじみます。
They decided to go Dutch on their first date.
(二人は初デートで割り勘にすることにした。)
第三者の話として語る例です。まさに「First Date」回にちなんだ、デートの支払い観を表す一文になります。
A: I’ll get the bill this time.
B: No, no, let’s just go Dutch. We always do.
(A:今回は私が払うよ。)
(B:いやいや、割り勘にしようよ。いつもそうしてるじゃん。)
おごると言う相手に割り勘を提案する、会話での使い方です。習慣として割り勘にしている間柄の気軽さが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
split the bill
(勘定を分ける、割り勘にする)
より直接的で広く通じる標準表現です。go Dutch が慣用句的でカジュアルなのに対し、こちらはフォーマルな場でも使いやすい、という違いがあります。
pay one’s own way
(自分の分は自分で払う)
各自負担という原則を指す表現です。一回の会計というより、生き方や姿勢としての「自立」のニュアンスを帯びる点で、go Dutch とは射程が異なります。
it’s on me
(ここは私のおごり)
割り勘とは逆に、自分が全額払うと申し出る表現です。go Dutch と対で覚えておくと、会計シーンで使える語彙がひと通りそろいます。
Note|なぜ「オランダ式」なのか──go Dutch の背景
割り勘を表すのに、なぜ「オランダ(Dutch)」という国名が使われるのでしょうか。
この背景には、英語圏で Dutch という語が独特の使われ方をしてきた歴史があります。17世紀、イギリスとオランダは貿易や海上覇権をめぐって激しく対立していました。その時代、英語圏では Dutch を冠した否定的・皮肉めいた言い回しがいくつも生まれたとされます。たとえば Dutch courage(酒の力を借りた勇気)などが知られています。割り勘を意味する go Dutch も、こうした流れの中で、「おごり合うのではなく各自が払う」スタイルを Dutch と結びつけて表現したものと考えられています。もっとも、由来には諸説あり、はっきり一つに定まっているわけではありません。現代では否定的な響きはほとんど薄れ、対等でフェアな支払い方を表すフラットな表現として、日常的に使われています。
国名の由来を知ると、go Dutch がただの慣用句ではなく、長い歴史を背負った言葉だと分かります。チャックが緊張のあまり口にした一言の裏にも、こうした言葉の来歴が静かに横たわっているのですね。
何気ない会計の一言にも、数百年の歴史が息づいています。
まとめ|チャックのずれた緊張から学ぶこと
「go Dutch」は、食事やデートの支払いを各自が自分の分だけ負担する、「割り勘にする」を表すカジュアルな表現です。split the bill より気軽で、対等な関係を感じさせる響きがあります。
会計の場面でそのまま使える実用度の高さが魅力で、it’s on me(おごるよ)と対にして覚えておくと、支払いのやり取りに困りません。Dutch という国名を手がかりにすれば、意味も忘れにくくなります。
友人との食事でもデートでも、さらりと支払いの相談ができる一言として、表現の引き出しに加えてみてください。
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