海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
誰かに嫌なことをされて、「よし、やり返してやる」と思う瞬間は、誰にでもありますね。深刻な復讐とまではいかない、ちょっとした仕返しやいたずらの応酬。そんな日常の「やり返す」を、英語ではよく使う句動詞で言い表せます。
それが「get back at someone」、(人に)仕返しする、報復する、という意味のフレーズです。『CHUCK』シーズン3第5話、バイ・モアの店員たちが新しい上司への報復を相談する場面から、一緒に見ていきましょう。
「get back at someone」の意味とニュアンス
get back at someone
意味:(自分にひどいことをした人に)仕返しする、報復する
自分にひどいことをした相手に対して、同じようにやり返すことを表します。直訳の「(人)のところへ戻る」だけでは意味がつかみにくいですが、at が「相手をめがけて」という照準を加えることで、「やられた分を相手に返しに行く」というニュアンスが生まれます。
このフレーズのポイントは、revenge(復讐)よりもずっと口語的で、日常的に使える点です。深刻な復讐劇から、いたずらの応酬のような軽い仕返しまで、幅広くカバーします。後ろには at + 仕返しする相手が続き、さらに for + 理由(~のことで)や by + 手段(~することで)を加えると、状況をより具体的に描けます。会話やドラマで非常によく登場する、実用度の高い表現です。
【ここがポイント!】
- 「get back at someone」の核は、やられた分を相手をめがけて返しに行くイメージ
- revenge より口語的で、軽い仕返しにも使える
- at の後ろに相手、for で理由、by で手段を続けられるのがコツ
『CHUCK』S03E05のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。バイ・モアでは、新たに店長代理になったモーガンに店員たちが反発しています。ジェフとレスターも報復を企てようとしますが、レスターの様子がどうもおかしいのです。
Jeff: Lester, dude, what are we going to do? About Morgan and his new goon?
(レスター、なあ、どうする? モーガンとあの新しい用心棒のことだよ)Lester: Morgan?
(モーガン?)Jeff: Yeah. How are we gonna get back at him?
(ああ。どうやってあいつに仕返しする?)Lester: Morgan Grimes is the kindest, warmest, most understanding human being I’ve ever known in my life.
(モーガン・グライムスは、僕が人生で出会った中で一番親切で温かくて理解のある人間だよ)Chuck Season3 Episode5(Chuck Versus First Class)
シーン解説と心理考察
ジェフの How are we gonna get back at him? は、新上司モーガンへの対抗心をまっすぐ表しています。やられたら、やり返す――その当然のような構えで、相棒のレスターに報復の相談を持ちかけているのです。get back at が日常の仕返しにごく自然に使われることが、このセリフからよく分かります。
ところが、肝心のレスターはもう戦意を失っています。実はケイシーの催眠術によって、モーガンを絶賛するよう仕込まれていたのです。「仕返ししよう」と意気込むジェフと、うっとりとモーガンを褒めちぎるレスター。この落差が、バイ・モアらしいコメディの笑いを生んでいます。ジェフの get back at という問いかけが、思いがけないオチへの絶妙な振りになっているのが見どころです。
『CHUCK』流・覚え方のコツ
誰かに軽く小突かれたら、その相手のところへ「戻って(back)」、同じだけ小突き返す――そんな動きを思い浮かべてみてください。get back at の at は「相手をめがけて」という照準を表します。やられた分を、相手に狙いを定めて返しに行く。その往復の動きが、このフレーズの絵になっています。
劇中のバイ・モアは、いたずらや小競り合いの仕返し合戦が日常です。ジェフが「どう get back at する?」と相棒に持ちかける構図そのものが、この表現の使い所をそのまま示しています。やり返しに行く動きと、バイ・モアのドタバタした応酬を重ねると、「仕返しする」という意味が体の感覚ごと記憶に残ります。
例文で覚える「get back at someone」
日常の仕返しからいたずらまで、幅広く使える表現です。3つの場面で確かめてみましょう。
He’s just trying to get back at you for what you said.
(彼はただ、君が言ったことへの仕返しをしようとしてるだけだよ)
人間関係のもめごとを説明する場面です。for + 理由を続けて、「何への仕返しか」を具体的に示す典型的な形です。
She got back at her rival by stealing the spotlight.
(彼女は注目を奪うことで、ライバルに仕返しした)
具体的な仕返しの方法を描く場面です。by + 手段を続けると、「どうやって返したか」まで一文で表せます。
A: Why did you hide his keys?
B: He pranked me first, so I’m just getting back at him.
(A:なんで彼の鍵を隠したの?)
(B:先に向こうがいたずらしてきたんだ。だから仕返ししてるだけだよ。)
いたずらの応酬についての会話です。劇中のバイ・モアのような、軽い仕返しの文脈にぴたりとはまります。
あわせて覚えたい関連表現
take revenge (on)
((人に)復讐する)
より重く、深刻な「復讐」を表す表現です。get back at が日常の小さな仕返しにも気軽に使えるのに対し、take revenge は大きな恨みや本格的な報復を語るときに使われます。
get even (with)
((人に)仕返しする、五分に戻す)
「貸し借りをチャラにする」という発想の表現です。get back at とほぼ同じ意味ですが、get even は「やられた分とちょうど同じだけ返して対等に戻す」というニュアンスをより強く持ちます。
pay someone back
((仕打ちに)報いる、お返しする)
悪い行いへの「仕返し」にも、良い行いへの「恩返し」にも使える両義的な表現です。get back at が基本的にネガティブな仕返し専用なのに対し、pay back は文脈によってプラスにもマイナスにもなる点が異なります。
Note|get back at / get even / pay back の「仕返し」の温度差
「仕返しする」と一口に言っても、英語にはいくつもの言い方があります。get back at・get even・pay back――この3つは意味が近い分、使い分けに迷いやすい表現です。それぞれの温度差を整理してみましょう。
まず get back at someone は、3つの中で最も日常的で気軽な表現です。いたずらの応酬のような軽い仕返しから、それなりに本気の報復まで幅広くカバーしますが、深刻さや重さはそれほど強くありません。劇中のジェフが新上司への仕返しを相談するときに使っているのも、この「日常の延長としての仕返し」というトーンが合っているからです。
次に get even with someone は、「even(対等・五分)」という語が示すとおり、「やられた分とちょうど同じだけ返して、貸し借りをゼロに戻す」という発想が核にあります。「あいつには借りがある、必ず五分に戻してやる」という、収支を合わせる感覚が前面に出る表現です。get back at が「やり返す行為」そのものに目を向けるのに対し、get even は「対等に戻す」という結果に重心があります。
そして pay someone back は、この3つの中で最も両義的です。「報いる・返す」が基本の意味で、悪い仕打ちへの「仕返し」にも、受けた恩への「恩返し」にも使えます。I’ll pay you back と言われたとき、それが仕返しなのか恩返しなのかは、文脈で判断することになります。get back at が仕返し専用でネガティブに振り切れているのとは、対照的です。
同じ「返す」でも、get back at は気軽な仕返し、get even は対等への回復、pay back は仕返しと恩返しの両面――こうして並べると、それぞれの輪郭がくっきり見えてきますね。
まとめ|気軽な「やり返す」を一語で
get back at someone は、やられた分を相手をめがけて返しに行く、というイメージから生まれた、「(人に)仕返しする」という表現です。revenge より口語的で軽い仕返しにも使える、という核を押さえておけば、日常会話のさまざまな場面で応用できます。
ちょっとしたいたずらにやり返すとき、誰かの仕打ちへの仕返しを話題にするとき、この一言があれば「やり返す」気持ちを的確に言い表せます。劇中のジェフが新上司への仕返しを相談したように、日常の延長としての「仕返し」を語る表現として、引き出しに加えてみてくださいね。
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