海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
マフィア映画や刑事ドラマで必ず登場する「裏切り者」。
今回は、相手を軽蔑と怒りを込めて非難する時に使われる、少しダークなスラングをご紹介します。
実際にそのシーンを見てみよう!
両親の過去を知るため、ブースとブレナンは証人保護プログラムを受けている元殺し屋のマクヴィカーを追いつめます。
BRENNAN: They found your blood in the car.
(車からあなたの血が見つかったわ。)
BOOTH: You hurt lots of people, Vince. You bashed in their heads.
(たくさんの人を傷つけたな、ヴィンス。頭を殴り割って。)
MCVICAR: Well, they never proved that, or I wouldn’t be in Witness Protection.
(まあ、証明はされなかったけどな。じゃなきゃ証人保護プログラムなんて受けてない。)
BOOTH: Yeah, we know how it works, Vince. You rat out your crew. Everybody loses interest in a few old murders…
(ああ、どういう仕組みかは知ってるさ、ヴィンス。仲間を密告するんだろ。そうすりゃ、誰も昔の殺人なんて気にしなくなるからな……)
BONES Season1 Episode22 (The Woman in Limbo)
かつて強盗団の殺し屋だったマクヴィカーは、過去の罪を追及されても「証明されなかった」と開き直ります。
しかしブースは、彼が法を逃れた本当の理由を突きつけます。
それは「自分の身を守るために仲間を売った(rat out)」という卑怯な事実です。
正義感の強いブースが、保身に走った凶悪犯に向ける冷ややかな目と、底辺の犯罪者を見るような深い軽蔑の念が、この短い言葉にたっぷりと込められていますね。
フレーズの意味とニュアンス
rat out
意味:密告する、チクる、裏切る
名詞の rat は「ドブネズミ」ですが、動詞として使うことで「密告する」という意味になります。
【ここがポイント!】
なぜ「out」が付くのでしょうか?
英語の out には「内側に隠れていたものを、明るみに出す」というコアイメージがあります。
仲間内だけで共有していた秘密を、外側(警察や権力者)へ漏らすから out なのですね。
ただ報告するのではなく、「自己保身のために卑怯な手段で仲間を売る」という極めてネガティブな響きを持っています。
実際に使ってみよう!
本来は犯罪ドラマで使われる重い言葉ですが、ネイティブは日常のちょっとした「裏切り」に対して、あえて大げさにジョークや皮肉を込めて使うことがあります。
I can’t believe he ratted me out to the boss.
(あいつが上司に私のことをチクったなんて信じられない。)
オフィスでの定番フレーズです。自分がミスをした時に、同僚が自分を守るために上司に告げ口をしたような、腹立たしい状況が目に浮かびますね。
If you don’t tell mom the truth, I’ll rat you out.
(もしママに本当のことを言わないなら、チクるからね。)
兄弟ゲンカなどでよく聞く表現です。犯罪者のような深刻な裏切りではありませんが、「言いつけるよ!」という強めの脅し文句として大げさに使われています。
The thief ratted out his accomplices to get a lighter sentence.
(その泥棒は減刑のために共犯者を密告した。)
ニュースなどで耳にする本来の使い方です。自分の利益(減刑)のために仲間を売るという、まさにこのイディオムのコアイメージ通りですね。
『BONES』流・覚え方のコツ
「沈みゆく船から逃げ出すネズミ」をイメージしましょう。
英語圏には “rats abandoning a sinking ship”(沈みゆく船から逃げ出すネズミ=形勢が不利になると真っ先に仲間を見捨てる卑怯者)という表現があります。
自分だけ助かるために仲間を見捨て、こそこそと警察に秘密をしゃべるネズミ(Rat)。
その情景を思い浮かべると、「チクる」という言葉の重みが腑に落ちるはずですよ。
似た表現・関連表現
sell out
(裏切る、売る)
rat out に似ていますが、こちらは「お金や個人の利益のために、信念や仲間を売り渡す」というニュアンスが強くなります。アーティストが商業主義に走った時などにも使われます。
throw someone under the bus
((保身のために)誰かを犠牲にする、見捨てる)
文字通り「走っているバスの下に人を投げ込む」という恐ろしい表現ですが、ビジネスシーンで頻出します。自分のミスを隠すために、部下や同僚に責任を押し付けるような場面で使います。
snitch
(密告する、チクる)
こちらも「チクる」を表す代表的なスラングです。rat out が動作に焦点が当たるのに対し、snitch は名詞として「チクリ魔、密告者」という人の性質を罵倒する時によく使われます。
深掘り知識:「Rat」と「Mouse」の違い
英語にはネズミを表す単語が2つありますが、この使い分けに文化が表れています。
「Mouse(ハツカネズミ)」は、ミッキーマウスに代表されるように、小さくて可愛らしいイメージです。
一方、「Rat(ドブネズミ)」は大きく、病気を媒介する不潔で恐ろしい存在として忌み嫌われています。
そのため、英語圏で誰かを “You rat!(このネズミ野郎!)” と呼ぶことは、人間性を否定するほどの最大級の侮辱になります。
マクヴィカーに向けたブースの怒りの深さが、この単語選びから伝わってきますね。
まとめ|言葉に宿る感情を読み取ろう
同じ「密告する」という行為でも、どのような言葉を選ぶかで話し手の感情は全く異なります。
ドラマのセリフを通して、その言葉の裏にある「軽蔑」や「怒り」を感じ取ってみてくださいね!


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