「chicken out」の意味と使い方|『フレンズ』S02E21で学ぶ英会話

「chicken out」の意味と使い方を解説

海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。

一度は会おうと決めたのに、いざその場になると足がすくんで、結局引き返してしまった。そんな経験はありませんか。

そんなときにぴったりの「chicken out」を、『フレンズ』シーズン2第21話の冒頭、実の父に会いに行くかどうかを迷うフィービーが仲間に打ち明けるシーンから、一緒に見ていきましょう。

目次

「chicken out」の意味とニュアンス

chicken out
意味:怖気づいてやめる、土壇場で尻込みして引き返す

一度はやろうと決めた、あるいはやりかけたことを、恐怖や不安から直前で取りやめることを表します。最初からやらない場合には使いません。あと一歩のところで引き返す、その土壇場感がこの表現の核です。

鍵になるのは chicken という単語です。英語では古くからニワトリが「臆病者」の代名詞として使われてきました。その名詞が動詞化し、out(抜ける・降りる)を伴って「怖くて降りる」という句動詞になったのが chicken out です。

自動詞的に I chickened out と単独で使うほか、chicken out of doing の形で「〜するのを怖気づいてやめる」と対象を示すこともできます。ややくだけた表現で、自分の弱さを軽く自嘲するような場面によくなじみます。

【ここがポイント!】

  • 核は「一度は決めたことから、怖くて降りる」という土壇場の引き返し
  • chicken(ニワトリ=臆病者)が動詞化した、イメージの立つ一言
  • 最初からやらない場合には使えない、直前で尻込みする点を押さえるのがコツ

『フレンズ』S02E21のシーンで見てみよう

意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。

テレビの株価チャンネルに見入るモニカの隣で、フィービーは今日一日が「実の父に会いに行け」というサインだらけだと語り出します。回転する丸鶏を見たという話の流れで、以前一度だけ会いに行こうとして、直前で引き返した過去を明かします。

Phoebe: No, because I chickened out.. …the last time.. …when I tried to meet him. So, I mean, coincidences? I don’t think so.
(だって前回は怖気づいちゃったから……会いに行こうとしたときに。だから、偶然? そうは思えない)

Monica: Okay, so who wants the, uh, last hamburger?
(じゃあ、その、最後のハンバーガー食べたい人は?)

Phoebe: Alright, that’s it. Now I have to go see him.
(もう、決まりね。こうなったら会いに行かなきゃ)

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シーン解説と心理考察

フィービーの語り口には、彼女特有の論理が流れています。丸鶏もハンバーガーも、本来はただの偶然です。ところがフィービーは、それらすべてを父に会いに行くべき「サイン」として読み取っていきます。世界が自分に語りかけていると受け取る、彼女らしい感覚が伝わってくる場面です。

その中で chickened out という一言だけは、質が違います。ここには彼女が過去に実際に行動を起こし、そして引き返したという事実が畳み込まれています。サインの話は軽やかですが、この一語には、会いたいのに会えなかった時間の重みがにじんでいると言えます。

軽い口調で自分の臆病を認めることで、フィービーは重い主題を扱いやすくしています。だからこそ、直後に「もう会いに行かなきゃ」と自分を追い立てる決意が、空元気にも本気にも見えてくる場面になっています。

『フレンズ』流・覚え方のコツ

chicken out は、ニワトリが羽をばたつかせて後ずさりする姿でイメージすると覚えやすくなります。前に進もうとした足が、恐怖でくるりと向きを変え、来た道を戻っていく。out が示すのは、この「その場から降りる」方向です。

一度は前を向いた、という点が大切です。最初から動かなければ、そもそも降りることもできません。踏み出しかけた足が引き返すからこそ、chicken out なのです。

父の話をするフィービーが、以前ドアの前まで行きながら踵を返した姿を思い浮かべてみてください。会いたい気持ちと、直前でくじけた足。その両方がこの一語に収まっています。踏み出した足が戻る動きごと、記憶に残しておきたい表現です。

例文で覚える「chicken out」

chicken out は、勇気が必要な場面で土壇場に引き返すことを、軽い自嘲を込めて語るときに活躍します。フォーマル度の異なる3つの場面で見ていきましょう。

I was going to ask her out, but I chickened out at the last minute.
(彼女をデートに誘うつもりだったのに、土壇場で怖気づいちゃった)
好きな相手を誘えなかった顛末を友人に打ち明ける場面です。at the last minute を添えることで、直前でくじけたという土壇場感がはっきり伝わります。

Don’t chicken out now — you’ve practiced this speech a hundred times.
(今さら尻込みしないで。このスピーチ、百回は練習したでしょう)
本番前に緊張する相手を励ます場面です。命令形の否定にすることで、「ここまで来たのだから引くな」という後押しの言葉になります。

A: Weren’t you going to go skydiving today?
B: Yeah… I totally chickened out. Maybe next time.
(A:今日スカイダイビング行くんじゃなかったの?)
(B:うん……完全に怖気づいた。また今度にするよ)
予定していた挑戦を諦めた顛末を語る会話です。totally を添えると、自分の尻込みを潔く認める軽さが出ます。

あわせて覚えたい関連表現

back out
(手を引く、約束を撤回する)
恐怖に限らず、いったん引き受けた取り決めから抜けることを広く指します。chicken out が「怖くて」という理由に限定されるのに対し、back out は理由を問わず約束を反故にする点が違います。

get cold feet
(土壇場で怖気づく)
結婚や大きな決断の直前に足がすくむ感覚を表す近縁表現です。chicken out が実際に引き返す行動を指すのに対し、こちらは「足が冷たくなる」ような心理状態そのものに焦点があります。

lose one’s nerve
(勇気をくじかれる、度胸が出なくなる)
あと一歩の度胸が続かなくなることを表します。chicken out がくだけた口語なのに対し、こちらはやや落ち着いた響きで、緊張の高い場面でも使いやすい表現です。

Note|チキンレースが映す、英語圏の「度胸」文化

chicken が「臆病者」を指す比喩は、単語の中だけにとどまりません。英語圏では、この比喩を軸にした度胸試しの遊びが、文化として根を張ってきました。その代表がチキンレースです。

チキンレース(chicken game)は、二台の車が正面から突っ込み合い、先にハンドルを切って避けた側が chicken、つまり臆病者と呼ばれる度胸試しです。1955年の映画『理由なき反抗』に登場する、崖に向かって車を走らせて先に飛び降りた方が負けという勝負の場面で、この遊びは広く知られるようになりました。さらに冷戦期には、ゲーム理論の研究者たちが核対立の構造を「チキンゲーム」として分析し、引いた側が負けを認めるこの構図は学術用語にまでなっています。臆病者と呼ばれることを避けるためなら危険さえ冒す。そんな価値観が、遊びから国際政治の語彙にまで、chicken という一語を通して埋め込まれてきたわけです。

chicken out は、この文化のいわば裏返しの表現です。チキンと呼ばれることへの圧力が強い文化だからこそ、自分から chickened out と認める言い方には、肩の力の抜けた自嘲の軽さが宿ります。フィービーの語り口が深刻にならないのは、この軽さのおかげでもあります。

度胸を競う文化が、この一語の背景に静かに横たわっています。

まとめ|サインに背中を押されたフィービー

chicken out は、一度は前を向いた足が、恐怖で引き返す表現です。最初から動かない臆病ではなく、踏み出しかけたからこそ生まれる尻込み。chicken という一語が、その心もとなさをそのまま運んでいます。

会いたい相手に会えなかった、挑戦しかけてやめてしまった。そんな土壇場の引き返しは、誰の記憶にもひとつはあるものです。それを深刻にしすぎず、軽く自嘲を込めて語れるのが、この表現の懐の深さと言えます。

あと少しの勇気が出なかった、と誰かに打ち明けたくなったとき。chicken out を思い出せば、その心細さも軽やかに言葉にできるはずです。表現の引き出しに加えてみてください。

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