海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
二人が目配せを交わした瞬間に、「あ、この二人は示し合わせているな」と勘づく——そんな場面が、ドラマにも日常にもあります。証拠があるわけではないのに、二人のあいだにだけ通じている何かが、確かに見えてしまう瞬間です。
そんなときに使える「be in cahoots with」を、『メンタリスト』シーズン1第6話の中盤、容疑者の一人を帰してしまったジェーンに、リズボンが自分のオフィスで詰め寄る場面から、一緒に見ていきましょう。
「be in cahoots with」の意味とニュアンス
be in cahoots with
意味:〜とぐるになっている、裏で結託している
cahoots は「共謀」を表す語で、ほぼ常にこの複数形で使われます。in cahoots with で「〜と共謀の中にいる」、つまり表に出せない目的のために、こっそり手を組んでいる状態を指します。単なる協力とは違い、隠しごとがある点が核です。談合や癒着のような不正の文脈で使われる一方、サプライズパーティーの計画のような他愛のない共謀にも使えるのが、この表現の面白いところです。硬い法律用語ではなく、少しくだけた響きを持つため、相手を強く責めたくない場面や、冗談まじりに指摘したい場面でも選ばれます。with 以下を省いて、Are you two in cahoots? のように短く言うこともできます。be動詞のかわりに get を置いた get in cahoots with という形もあり、こちらは組みはじめる動きのほうへ焦点が移ります。共謀の中身までは言わずに、関係だけを指し示せるのが、この表現の便利なところです。
【ここがポイント!】
- 核は「狭い場所で、二人がこっそり打ち合わせている」イメージ
- 不正の共謀にも、家族のささやかな隠しごとにも使える幅のある一言
- cahoots は必ず複数形で、単数では使わないのが決まりごと
『メンタリスト』S01E06のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
不正に関わっていたディーラーを、ジェーンが独断で帰してしまった直後の場面です。規則の観点から納得できないリズボンに対し、ジェーンはすでに次の一手を見据えています。彼女を泳がせ、その動きから警備責任者マットの関与をあぶり出そうという狙いです。リズボンがその筋書きの前提を確かめようとするところに、このフレーズが出てきます。
Jane: Now you can call him and tell him that Alexandra Yee cooperated with us, and based on what she had to say, we’d like to speak to him first thing in the morning.
(彼に電話して、こう伝えるといい。アレクサンドラ・イーが協力してくれた、その話を踏まえて明朝いちばんに話がしたい、とね)Lisbon: Okay, but if he is in cahoots with Alexandra, he’s just gonna call her and ask her what she said.
(いいわ。でも彼がアレクサンドラとぐるなら、すぐ彼女に電話して、何を話したのか聞くわよ)Jane: And she will swear blind she said nothing, which will make our friend Matt even more suspicious.
(そして彼女は、何も話していないと言い張る。それでマットはますます疑わしく思うのさ)Lisbon: Which is…
(それって、つまり)Jane: Eh, details, details.
(まあ、細かいことはいいじゃないか)The Mentalist Season1 Episode6(Red Handed)
シーン解説と心理考察
リズボンが in cahoots with を使うのは、相手を糾弾するためではありません。「もし二人が組んでいるなら、こういうことが起きる」と仮定を立て、その先を筋道立てて示すためです。感情ではなく手順で考える捜査官らしさが表れています。
ジェーンはその予測を否定しません。それどころか、彼女の描いた展開こそが自分の狙いだと明かします。ところが「それって、つまり」と核心を尋ねられた瞬間、細かいことはいいと言ってかわしてしまう。説明を最後まで詰めないこの受け答えに、常に一手先を手の内に残しておく彼の性分がにじみます。追う側と、はぐらかす側。短い応酬のなかで、二人の役割が繰り返し確認されているのが分かります。共謀を疑う言葉であるはずの in cahoots with が、ここではむしろ推理の道具として使われているところも、この場面の面白さといえます。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
小屋の中に二人が身を寄せ、外に漏れないよう小声で打ち合わせをしている——そんな光景を思い浮かべてみましょう。cahoots という語には、狭い場所に二人が収まっているような響きがあります。大事なのは、その相談が外に開かれていないことです。壁の内側でだけ交わされる話だからこそ、共謀になります。劇中では、リズボンが「もし彼がアレクサンドラとぐるなら」と口にした瞬間、二人がこっそり電話でつながる図が浮かび上がりました。閉じた空間で交わされる小声のやり取り、という絵と結びつけると、この表現の「隠れて手を組む」感覚が残ります。
例文で覚える「be in cahoots with」
このフレーズは、裏で手を組んでいる関係を指摘するときに活躍します。三つの例文で、その使い方の幅を見ていきましょう。
The two companies were in cahoots to fix prices.
(その2社は、価格を操作するために結託していた)
談合やカルテルを報じる記事などで見かける形です。to 不定詞を続けると、何のための共謀かを一息で示せます。過去形にすると、すでに発覚した事実として語る響きになります。
The report suggested that a local official was in cahoots with the developer.
(報告書は、地元の役人が開発業者と結託していたことを示唆した)
調査報告や監査の文脈です。suggest と組み合わせると、断定を避けて示唆にとどめる書き方になります。確証がない段階の報道でも使いやすい組み立てです。
A: Mom’s acting weird about my birthday.
B: I think she’s in cahoots with your sister.
(A:母さん、僕の誕生日の話になると様子が変なんだ/B:妹とぐるになってるんだと思うよ)
サプライズの気配を感じ取った家庭での会話です。悪事とは限らない場面でも自然に使え、むしろ、ほほえましさを込めて言うときにこそ持ち味が出ます。
あわせて覚えたい関連表現
be in league with
(〜と手を組んでいる)
やや硬く、文語寄りの響きがあります。敵対勢力や好ましくない相手との結託を指すことが多く、be in cahoots with のような冗談まじりの使い方にはあまり向きません。物語や歴史を語る文章でよく見かける言い方です。
conspire with
(〜と共謀する)
捜査や裁判で使われる正式な動詞です。conspiracy という名詞形もあり、be in cahoots with よりはるかに重い響きになります。日常会話でこの語を選ぶと、事の重さを強調する調子が出ます。
be in on it
(その計画に一枚噛んでいる)
知っていて加わっている、という点に焦点があります。誰と組んでいるかではなく、その件に関与しているかどうかを問う言い方です。Are you in on it? と尋ねれば、計画を知っているのかどうかを確かめられます。
Note|cahoots はどこから来たのか
be in cahoots with の cahoots は、この慣用句以外ではほとんど見かけない不思議な語です。いったいどこから来たのでしょうか。
この語がアメリカ英語の記録に現れるのは19世紀に入ってからとされ、当時は西部の開拓地や商取引の場で使われた口語だったと説明されます。語源については複数の説があり、決着はついていません。よく挙げられるのが、小屋や粗末な住まいを意味するフランス語 cahute から来たとする説です。開拓期のアメリカにはフランス語圏からの移住者が多く、その語彙が英語に取り込まれた例はほかにもあります。もうひとつが、隊や囲い地を意味するラテン語 cohors を経由したとする説で、英語の cohort と同じ系統に位置づける考え方です。興味深いのは、どちらの説も「限られた空間を共有する」という発想でつながっている点でした。狭い小屋にせよ、囲われた隊にせよ、外から見えない場所に人が集まっている——その像が、隠れて手を組むという現在の意味と重なります。もうひとつの特徴が、この語がほぼ常に複数形 cahoots でしか現れないことです。初期には in cahoot with という単数形の記録も見られるものの、現在ではまず使われません。共謀には最低でも二人が必要だという事情が、語形に残ったと説明されることもありますが、これも確かめようのない後づけの解釈にとどまります。
劇中でリズボンが口にした in cahoots with も、この「閉じた場所で二人が組んでいる」という像をそのまま引き継いでいます。彼女が思い描いたのは、捜査の外側でひそかにつながる一本の電話でした。
語源は分からなくても、語の手ざわりは意味をよく伝えてくれるものですね。
まとめ|隠れて手を組む関係を言い表す一言
be in cahoots with は、閉じた場所で二人が組んでいるという像から、表に出せない目的のためにこっそり手を結んでいることを表す表現でした。談合のような不正から、サプライズの計画のようなささやかな隠しごとまで、幅広く使えます。責める調子にも、からかう調子にも寄せられる懐の深さがあります。
誰かと誰かが示し合わせている気配を感じたとき、この一言があると、強く責める調子にならずに、その関係を言い当てられます。証拠が出そろう前の、まだ推測の段階でも使えるのが便利なところです。
推理の前提としてこの言葉を置いたリズボンの一言は、疑いを筋道に変える使い方の見本と言えます。


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