海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
地元のイベントやボランティアの集まりで、顔ぶれの幅広さに驚かされることがあります。年齢も職業も、それまで歩んできた道もばらばら。その多様さを一言でどう説明すればいいのか、迷った経験はありませんか。
そんなときに使える「all walks of life」を、犯罪捜査ドラマ『メンタリスト』シーズン1第11話の冒頭、刑務所の面会室で服役中の男がジェーンに情報をちらつかせる場面から、一緒に見ていきましょう。
「all walks of life」の意味とニュアンス
all walks of life
意味:あらゆる階層・職業の人々、いろいろな境遇の人たち
walk には「歩くこと」のほかに、その人が歩んできた道、つまり職業や社会的な立場を指す使い方があります。all walks of life は、その道のすべてをまとめて指す言い方です。日本語の「老若男女」「あらゆる職業の」と重なる部分はありますが、英語のほうは年齢や性別よりも、どんな仕事をして、どんな暮らしをしてきたかという経歴の幅に重心があります。
形としては people from all walks of life のように from とセットにするのが基本です。come from all walks of life、attract people from all walks of life といった形で、集まりや組織の顔ぶれの広さを説明する場面によく登場します。募集要項や案内文のような書き言葉でも硬くなりすぎず、気軽な会話でも浮きません。
含みとしては、多様さを前向きに受け止める響きが基本になります。ただし劇中のように交友関係について使うと、表の世界も裏の世界も、という別の色が加わります。
【ここがポイント!】
- 核にあるのは、その人が歩んできた道を指す walk の使い方
- 年齢や性別より、職業や暮らしぶりの幅を表すのが特徴
- people from とセットで組み立てると、形が崩れない一言
『メンタリスト』S01E11のシーンで見てみよう
意味を押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。
刑務所の面会室。服役中のジャレッド・レンフルーが、レッド・ジョンについての情報を持っていると言ってジェーンを呼び出しました。ジェーンにとっては、長く追い続けてきた相手の手がかりです。しかし相手は前科のある男で、話がどこまで本当なのかは分かりません。情報源をたずねられたレンフルーは「友達の友達だ」とだけ答えます。その友達も刑務所にいるのか。そう踏み込んだジェーンへの返しが、この一言でした。
Jane: Do you have information about Red John?
(レッド・ジョンについての情報を持っているんですか)Renfrew: I have dynamite information about Red John. Enough to catch him.
(とびきりの情報だ。あいつを捕まえられるだけのな)Jane: How do you come by this information?
(どうやってその情報を手に入れたんです)Renfrew: Red John is a friend of a friend of mine.
(レッド・ジョンは、俺の友達の友達なんだよ)Jane: Is that friend of yours in prison, too?
(その友達というのも、刑務所に?)Renfrew: I have friends from all walks of life.
(俺の友達は、あらゆる世界にいるのさ)The Mentalist Season1 Episode11 (Red John’s Friends)
シーン解説と心理考察
レンフルーの答え方には、一貫した戦略が表れています。情報はある、しかし中身は言わない。名前を聞かれれば「友達の友達」とぼかし、その友達の素性を突かれれば「あらゆる世界にいる」と広げてみせる。手札を見せないまま、手札の価値だけを大きく見せていく話し方です。
一方のジェーンは、短い質問を重ねることで相手の輪郭を測っています。「その友達も刑務所に?」という問いは、素朴な確認に見えて、レンフルーの人脈が塀の中に限られるのかどうかを試す一手です。それをかわす形で出てくる all walks of life には、余裕を装う響きがにじみます。
追い詰められているのは明らかにレンフルーの側です。それでも会話の主導権はこの男が握っている。その逆転が、この短いやり取りの見どころと言えます。
『メンタリスト』流・覚え方のコツ
walk を「歩き方」ではなく「歩んできた道」と読み替えるところから始めると、この表現は一気に像になります。街の中央広場を思い浮かべてみてください。東からも西からも、細い路地からも大通りからも、まったく違う道を通って人が集まってくる。医者の道を歩いてきた人、工場で働いてきた人、そして塀の中にいる人。出発点はばらばらでも、いま同じ広場に居合わせている。この道の多さが all walks です。
劇中では、鉄格子に囲まれた狭い面会室で、男が「自分の交友関係はあらゆる道に伸びている」と言ってみせます。閉じた部屋と、外へ広がる無数の道。その対比ごと覚えてしまうと、記憶に引っかかりが残ります。
例文で覚える「all walks of life」
この表現は、集まりや組織の顔ぶれを説明するときに力を発揮します。硬い案内文からくだけた会話まで、幅広く使える3つの形を見ていきましょう。
Our volunteers come from all walks of life.
(うちのボランティアは、本当にいろいろな立場の人たちです)
地域の団体を人に紹介する場面です。come from とセットにするのが最も基本の形で、メンバーの多様さを一言で伝えられます。
This scholarship is open to students from all walks of life.
(この奨学金は、あらゆる背景の学生に開かれています)
募集要項や案内文を英語で書く場面です。書き言葉でも硬くなりすぎず、門戸の広さを示す一文として収まります。
A: What’s the book club like?
B: Pretty interesting. The members come from all walks of life.
(A:その読書会ってどんな感じ?)
(B:なかなか面白いよ。メンバーがいろんな経歴の人たちでね。)
友人同士の気軽なやり取りです。集まりの魅力を説明するとき、顔ぶれの幅そのものが答えになります。
あわせて覚えたい関連表現
all kinds of people
(いろいろな人)
最も口語的で、幅の広さをざっくり伝える言い方です。all walks of life が職業や社会的な立場に焦点を当てるのに対して、こちらは対象を限定しない分だけ輪郭がぼやけます。
from all over
(あちこちから、各地から)
こちらは地理的な広がりを指します。出身地の多様さを言うなら from all over、歩んできた道の多様さを言うなら all walks of life、と住み分けると迷いません。
a cross-section of society
(社会の縮図)
調査や報道で使われる硬い表現です。社会の各層を代表しているという含みがあり、日常会話に持ち込むと重くなります。
Note|「歩んできた道」で人を分けるという発想
all walks of life を日本語にするとき、「あらゆる職業の」「老若男女」といった訳が並びます。どれも間違いではないのですが、元の英語が持っている感覚とは少しずれています。何がずれているのでしょうか。
日本語で人の多様さを表すとき、私たちは属性を並べる方法を取ります。老若男女、職業も年齢も性別もばらばら。いずれも、いまその人が何であるかというラベルの列挙です。一方 walk of life が指すのは、その人がどこから歩いてきたかという経路になります。静止画ではなく、軌跡なのです。
この違いは、経歴を語る英語のあちこちに顔を出します。background(背景)、path(道)、track record(たどってきた跡)、career(その人の進んできた道のり)。人の来歴を語るとき、英語は移動の比喩を驚くほど多く使います。日本語が「経歴」「履歴」と、通ってきた線を字で示すのに対して、英語はその線を実際に歩く身体ごと言葉にしている。同じことを語りながら、視点の置き場所が違っています。
そう考えると、all walks of life を「あらゆる職業の」で止めてしまうのが少し惜しくなります。いまの肩書きだけでなく、そこに至るまでの道のりごと含んだ言い方だからです。
人を、いまの姿という点ではなく、歩いてきた線で見る言葉なのです。
まとめ|「どの道を歩いてきたか」でまとめる一言
all walks of life は、職業も暮らしも出身もばらばらな人たちを、歩んできた道の違いという一つの軸でまとめて言い表す表現です。
集まりの顔ぶれを説明するとき、組織の門戸の広さを伝えるとき、この一言があれば長い列挙は要りません。people from all walks of life と言うだけで、多様さと、それを歓迎する姿勢の両方が伝わります。
使ってみたい場面を思い浮かべながら、表現の引き出しに加えてみてください。劇中では塀の中の男が自分の人脈を大きく見せる道具として使い、案内文では門戸の広さを示す看板にもなる。立場によって表情を変えられる、懐の深い表現と言えます。


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