海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回扱うのは、BONES シーズン2 第13話に登場する、精神科医ワイアットの自宅裏庭で交わされるバーベキューをめぐるやり取りです。カウンセリングのセッションと並行して、英国出身のワイアットは、アメリカの裏庭で肉を焼くという習慣に戸惑いながらも向き合っていきます。
紅茶からコーヒーへ、そしてバーベキューピットの完成まで。裏庭でゆっくりと育まれていく習慣を、劇中の言葉とともにたどります。
「Assimilate」しきれない一杯の紅茶――アメリカに馴染む英国紳士
ワイアットは白い柵付きの一軒家に暮らし、身の回りをアメリカ流に整えていますが、紅茶だけは譲れないようです。
Wyatt: Oh, I don’t know. I think I’ve assimilated quite well. Typical American house right down to the white picket fence, truck that’s the, uh what is, the heartbeat of America. But tea, tea is uh, sacrosanct. Thank you very much.
(いやはや、なんともいえないね。かなりうまく assimilate できていると思うよ。白い柵まで揃った典型的なアメリカの家に、アメリカの鼓動ともいえるトラックまである。だがお茶だけは、神聖不可侵なものでね。失礼するよ。)Booth: Me, I’m a coffee drinker. Hey listen pal –
(おれはコーヒー派なんだ。なあ、ちょっと聞いてくれ―)Wyatt: You know, in an effort, to understand your culture better I’ve been trying to embrace this very American practice of preparing meat in the garden.
(実はね、きみたちの文化をもっと理解しようと、庭で肉を焼くといういかにもアメリカ的な習慣を取り入れようとしているんだよ。)Booth: Barbecue.
(バーベキューだろ。)Wyatt: Hmm… it’s a delightful word, isn’t it? Barbecue. I think it’s from the Caribbean, bar-ra-bi-cue, which means some sort of sacred fire pit.
(うーん…実に魅力的な響きの言葉じゃないか。barbecue。カリブ海由来で、bar-ra-bi-cue、神聖な炉を意味する言葉から来ていると思うんだ。)BONES Season2 Episode13 (The Girl in the Gator)
assimilate は「(新しい環境や文化に)同化する」という意味の動詞で、移民や外国出身者が現地の生活様式に馴染んでいく様子を表す時によく使われます。white picket fence(白い柵)は、庭付きの郊外住宅というアメリカの理想的な家庭像を象徴する言い回しとして使われることが多い表現です。ワイアットが車も柵も揃えながら紅茶だけは譲らないという語り口には、アメリカに溶け込みながらも自分の出自を保とうとする姿勢が表れています。
ワイアットが語る barbecue の語源については、カリブ海の先住民タイノ族の言葉「バラビク(barabicu)」に由来するという説が広く知られており、木の枠を使って肉や魚をいぶす調理法を指す言葉だったとされています。この語がスペイン語の barbacoa を経て英語に取り入れられ、現在の barbecue になったという流れが、複数の語源辞典・語源解説記事でも紹介されています(放送当時から現在までで大きく変わっていない一般的な説明です)。
コーヒーとバーベキューピット――男同士の儀式めいた時間
最後のセッションでは、ブースが裏庭でバーベキューピットを組み立てる様子を、ワイアットがコーヒー片手に眺めています。
Wyatt: You know what, I’m in America, we’re men, let’s drink coffee, not tea, eh? Oh, I say, marvelous job.
(いいだろう、ここはアメリカだ、男同士なんだから、紅茶じゃなくコーヒーを飲もうじゃないか。いやはや、実に見事な仕事ぶりだ。)BONES Season2 Episode13 (The Girl in the Gator)
紅茶を「神聖不可侵」と言い切っていたワイアットが、ここでは「男同士だからコーヒーを」とあえて飲み物を切り替えているところに、裏庭での力仕事を通じてアメリカ流の振る舞いを取り入れようとする様子がうかがえます。バーベキューピットづくりが、単なる調理設備の準備ではなく、二人の距離を縮める儀式のような時間として描かれています。
エピソードの終盤、完成したバーベキューピットを前に、ワイアットはブースにこう注文します。
Wyatt: Medium-rare please, Mr. G-man.
(ミディアムレアで頼むよ、Gメンさん。)BONES Season2 Episode13 (The Girl in the Gator)
medium-rare はステーキの焼き加減を伝える定番の表現で、肉の中心にまだ赤みが残る程度の焼き具合を指します。紅茶をめぐる会話から始まったやり取りが、最後は自分で焼き加減を注文するところまでたどり着く流れに、ワイアットなりのアメリカへの馴染み方が見えてきます。
まとめ|裏庭という場所で完成していくもの
assimilate・white picket fence・barbecue・medium-rare といった言葉を通して、英国出身のワイアットがアメリカの裏庭文化にどう向き合っていくかが見えてきます。紅茶からコーヒーへ、そしてバーベキューピットの完成へと続く流れは、単なる食習慣の紹介にとどまらず、異なる文化に身を置く人がどこで折り合いをつけていくかを映し出す時間でもあります。
このエピソードの英語表現は、フレーズ記事やエピソードまとめでも扱っています。
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