海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は『BONES』シーズン8第7話のセリフから、日常会話でよく耳にする「butter up」の意味と使い方をご紹介します。
褒めているようで、実はちゃっかり下心がある——そんな場面を英語で表現したい時にぴったりのフレーズです。
実際にそのシーンを見てみよう!
ブースとブレナンの家に一時同居中のスイーツを交えた、夜の会話シーンです。
スイーツは元交際相手のデイジーと別れた後、自分の部屋を探しているはずなのに、なかなか動けずにいます。
そんな状況でブース捜査官が珍しくブレナン博士を全面的に褒め称える様子に、心理学者のスイーツがすかさずツッコミを入れます。
Brennan:Well, we have a murderer to catch, Booth.
(まあ、私たちには捕まえるべき殺人犯がいるわ、ブース。)Booth:Yeah, Dr. Brennan’s 100% right on this.
(ああ、ブレナン博士の言うことが100%正しいよ。)Sweets:Okay, just because you’re, you know, you’re buttering her up doesn’t mean you have to stop looking for a place.
(分かってますよ。彼女にごまをすっているからといって、部屋探しをやめる理由にはなりませんからね。)Booth:I’m not buttering her up. I don’t think…
(ごまなんかすってない。そんなことは…。)Bones Season8 Episode7(The Bod in the Pod)
シーン解説と心理考察
この場面でブースが言う「Dr. Brennan’s 100% right」という言葉は、不自然なほど全面的な同意です。
スイーツはすぐにその裏を読みます。「あなたは部屋探しをサボりたいスイーツに何も言わなくてすむよう、ブレナンのご機嫌をとっているだけでしょう」というわけです。
ブースが下心を否定しようとしたところで、さりげなくブレナンにワインをすすめるという行動が、その言い訳をさらに台無しにしていますね。
心理学者スイーツの「見透かす力」と、ブースのおちゃめな計算が同時に楽しめるシーンです。
「butter up」の意味とニュアンス
butter up
意味:〜におべっかを使う、〜にごまをする、〜をおだてる
カリカリのトーストにバターをたっぷり塗って表面を滑らかにするように、相手に甘い言葉をかけて気分よくさせる、という視覚的で面白い成り立ちのイディオムです。
純粋な称賛ではなく、「自分の頼みごとを聞いてもらいたい」「自分に有利になるよう立ち回りたい」という明確な意図が含まれている時に使われます。
【ここがポイント!】
このフレーズの核心的ニュアンスは「下心のあるお世辞」です。
少しネガティブな響きもありますが、親しい間柄で「またごまをすって〜」と冗談めかして使うことも多い、ユーモアのある表現です。
文法的な注意点として、目的語が代名詞(me、him、her、them など)の場合は必ず butter と up の間に挟みます。「butter her up」はOKですが「butter up her」はNGです。
実際に使ってみよう!
Don’t try to butter me up just because you want a favor.
(お願いごとがあるからって、私をおだてようとしないでよ。)
相手の下心を見透かして「そんな手には乗らないわよ」とピシャリと釘を刺す、定番の使い方です。代名詞「me」が butter と up の間に挟まっているのがポイントです。
He is always trying to butter up the boss to get a promotion.
(彼は昇進したくて、いつも上司にごまをすっているんだ。)
職場であからさまなアピールや媚びへつらう様子を、客観的に表現する時に使えます。
I need a big favor from my mom, so I’m going to butter her up with some fancy chocolates.
(お母さんに大きなお願いがあるから、高級チョコレートで機嫌をとっておこう。)
with を使って「〜を使って機嫌をとる」という具体的なアクションを加えることもできます。こちらも「butter her up」の形に注目です。
『BONES』流・覚え方のコツ
冷蔵庫から出したての冷たくて固いトーストに、ナイフでバターをたっぷり塗り込んで、みるみる表面が滑らかになっていく様子をイメージしてみてください。
「冷たくて固い人間関係(または相手の態度)に甘いバターを塗り込んで、自分の要求をスルッと通しやすくする」——そのイメージがそのままフレーズの意味です。
ブースが事件の会話の合間にワインをすすめるシーンと重ねると、「さりげない計算」の感覚ごと記憶に残りますよ。
似た表現・関連表現
flatter
(お世辞を言う、おだてる)
「butter up」よりもフォーマルな単語です。下心がある場合にも使いますが、純粋に相手を褒めていい気分にさせるポジティブな場面でも幅広く使われます。
sweet-talk
(甘い言葉で丸め込む、おだてて〜させる)
言葉巧みに相手を操るニュアンスが強い表現です。特に恋愛関係や親しい人に対して、優しい言葉をかけて思い通りに動かそうとする時に使われます。
brown-nose
(上司などにへつらう、ごまをする)
「butter up」よりもかなりネガティブで、下品なニュアンスを含む強烈なスラングです。権力者に露骨に媚びへつらう様子を軽蔑する文脈で使われるため、フォーマルな場では避けた方が無難です。
深掘り知識:古代インドの儀式に由来するという説
「butter up」の語源には諸説ありますが、一説によると古代インドの宗教的な慣習にルーツがあるとも言われています。
神様からの恩恵や許しを得るために、神像に向かってバターの玉を投げて祈りを捧げる儀式があったそうです。
神様の機嫌をとるためにバターを捧げるという行為が、現代の「相手の機嫌をとる」という行動に繋がっていると考えると、言葉の歴史の奥深さを感じますね。
こうした語源のエピソードは、フレーズを記憶に定着させるのにも役立ちます。
まとめ|ニュアンスを知って会話のスパイスに
「ごまをする」と聞くと少し計算高く聞こえますが、ネイティブの日常会話では、相手へのちょっとしたお願いをユーモアとして表現する際に頻繁に登場します。
スイーツがブースの下心をすぐに見抜いた場面のように、前後の文脈とキャラクターの心理まで読み取れるようになると、ドラマ視聴がさらに楽しくなります。
代名詞の位置というシンプルなルールとセットで覚えて、ぜひ日常の「ちょっとした計算」を英語で語る時に活かしてみてください。


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