海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
厄介なトラブルや、消してしまいたい過去の過ち。
そんな「頭の痛い問題」をきれいに処理したい時、権力者は英語でどう表現するのでしょうか?
今回は、FBI捜査官ブースが容疑者を落とすために使った、少し裏の香りがする「大人の英語表現」をご紹介します。
実際にそのシーンを見てみよう!
ギャングの一員であるオルテイズから情報を引き出したいブース。
彼はオルテイズの最大の弱みである「刑務所にいる妹」をネタに、司法取引を持ちかけます。
妹の罪を帳消しにするという、捜査官としてはかなり際どい条件を提示したことをブレナンに明かす場面です。
Booth: Ortez’s sister’s in the can on possession charges.
(オルテイズの妹は、薬物所持の罪でブタ箱に入っている。)Booth: I promised him I could make that go away.
(俺は彼に、その件を「なかったことにしてやる」と約束したんだ。)Brennan: Can you?
(そんなことできるの?)Booth: No.
(いいや。)
BONES Season1 Episode13 (The Woman in the Garden)
ここでのブースは完全に「ハッタリ」をかましています。
「make that go away(それを消し去る)」という言葉には、権力を使って問題を「もみ消す」という裏取引の響きがあります。
ブレナンの「本当にできるの?」という純粋な問いに対し、即座に「No(できないよ)」と答えるブース。
犯人を自白させるためなら、平然とできない約束もしてみせる。彼の「清濁併せ呑む」捜査官としてのしたたかさが光るシーンです。
フレーズの意味とニュアンス
make ~ go away
意味:(問題や悩みなどを)取り除く、解消する、追い払う、もみ消す
直訳すると「〜をどこかへ行かせる(go away)ようにする(make)」。
痛みや恐怖を取り除くという日常的な意味でも使われますが、クライムサスペンスやビジネスの文脈では「不都合な事実を闇に葬る」「邪魔なものを排除する」という意味で使われることが多い表現です。
【ここがポイント!】
このフレーズの核心は「責任逃れの婉曲表現」です。
「証拠を破棄する」や「買収する」と言ってしまうと犯罪になりますが、「Go away(どこかへやる)」と言えば具体的ではありません。
「方法は聞くな、とにかく目の前から消してやる」という、権力者特有の曖昧さと強引さが含まれているのがポイントです。
実際に使ってみよう!
日常では「痛み」や「悩み」に対して、ドラマチックな場面では「トラブル」に対して使ってみましょう。
Take this pill, and it will make the pain go away.
(この薬を飲めば、痛みは消えるわよ。)
日常会話で最もよく使うクリーンなパターンです。頭痛やストレスなどを「取り除く」というポジティブな意味です。
I have a problem with the press. Can you make it go away?
(マスコミとのトラブルを抱えているんだ。なんとか揉み消してくれないか?)
政治ドラマやサスペンスで頻出の表現。「穏便に処理する」「黙らせる」といった含みがあります。
He thinks money can make any problem go away.
(彼はお金さえあれば、どんな問題でも解決できると思っている。)
ここでの make go away は「安易な解決」や「隠蔽」を批判する文脈で使われています。「臭いものに蓋をする」ようなニュアンスですね。
『BONES』流・覚え方のコツ
「ブースの空約束(カラヤクソク)」で覚えましょう。
「任せろ、消してやるよ」と自信満々に言いながら、実は手の中に消しゴムなんて持っていないブース。
あのニヒルな笑顔とセットで覚えれば、「口先だけで問題を処理する」というこのフレーズの狡猾な一面も忘れられないはずです。
似た表現・関連表現
cover up
(隠蔽する、隠す)
不祥事や犯罪を隠すこと。make go away にもこのニュアンスが含まれますが、cover up はより直接的に「隠す行為」そのものを指します。
take care of
(処理する、始末する)
文脈によっては「(人を)殺す」や「(問題を)片付ける」という意味になります。マフィア映画の定番フレーズです。
sweep under the rug
(臭いものに蓋をする、隠す)
直訳は「ラグの下に掃き入れる」。不都合な問題を、見えない場所に隠してなかったことにするイディオムです。make go away と非常に近い精神性を持っています。
深掘り知識:「Go away」に込められた子供心
Go away!(あっちへ行け!)という言葉、子供が嫌いなものに対して言うイメージがありませんか?
実は make it go away という表現には、大人が使っていても「その問題が本当に嫌でたまらないから、魔法のように消えてほしい」という、ある種の幼稚な願望や忌避感が隠れていることがあります。
論理的に解決するのではなく、「とにかく今すぐ消えてくれ!」という感情が先走っている時に、つい口に出てしまう言葉なんですね。
まとめ|魔法の言葉には裏がある
ドラマの中では「犯罪のもみ消し」というブラフに使われていましたが、日常では「頭痛」や「不安」を消す優しい表現としても使えます。
ただし、誰かに「問題を消してやるよ(I’ll make it go away)」と言われたら…ブースのように嘘をついている可能性も疑った方がいいかもしれませんね。


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