海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
今回は大人気ドラマ『BONES』シーズン4エピソード15から、「make it about」という表現を紹介します。
相手と意見が食い違ったときや、会話の論点がズレてしまったときに、軌道修正を図ることができる非常に実用的な大人のフレーズです。
さっそく一緒に学んでいきましょう。
実際にそのシーンを見てみよう!
ブースの背中の痛みを治すため、ブレナンがカイロプラクティックのように骨を鳴らして矯正しようと提案している場面です。
以前の痛い経験から必死に拒否するブースと、純粋に医学的な治療をしようとするブレナンの噛み合わないやり取りに注目してください。
Brennan: Just a small misalignment. I’d be happy to fix it for you.
(ただの少しのズレよ。喜んで治してあげるわ。)
Booth: No, no, no. Last time you did that, I almost ended up in a wheel chair.
(いやいやいや。前回君がそれをやった時、俺は危うく車椅子生活になりかけたんだぞ。)
Brennan: Don’t you trust me?
(私のこと、信用してないの?)
Booth: You know what? Let’s not make it about trust!
(あのさ、それを信用の問題にするのはやめよう!)
Brennan: Well, It’s a fact, it’s not what I make of it. You ready?
(まあ、これは事実であって、私がどうこうする問題じゃないわ。準備はいい?)
BONES Season4 Episode15 (The Princess and the Pear)
シーン解説と心理考察
以前ブレナンに背中の骨を鳴らしてもらった時にひどい目に遭ったブースは、彼女の提案を恐怖から必死に拒絶します。
しかし、自分の医学的知識に絶対の自信を持っているブレナンは、ブースの「物理的な恐怖」による拒絶を、「自分への不信感」と受け取ってしまい、「私の腕が信じられないの?」と感情的な問題にすり替えてしまいます。
それに対してブースが「いや、そういう信用うんぬんの話じゃないだろ!」と慌ててツッコミを入れていますね。
この直後、ブースの抵抗も虚しくブレナンに背中をバキッと鳴らされてしまうのですが、事実のみを追求するはずのブレナンが個人的な感情を持ち込み、ブースがそれをたしなめるという、ユーモラスなやり取りが魅力のシーンです。
フレーズの意味とニュアンス
make it about
意味:(〜の)話にする、(〜の)問題にする、(〜を)中心にする
「make」は「〜を…にする」、「about」は「〜について」という意味を持ちます。
ここでの「it」は、今直面している状況や、現在進行中の会話そのものを指しています。
直訳すると「今の状況を、〜についてのものにする」となりますが、日常会話では「論点をすり替えて〜の問題にする」「話を〜の方向へ持っていく」というニュアンスで使われます。
特に、単なる事実や物理的な問題に対して、相手が個人的な感情やプライド、あるいは全く別の要因を持ち込んできた際に、「Don’t make it about…(〜の問題にしないでくれ)」「Let’s not make it about…(〜の話にするのはやめよう)」と否定形で使われることが非常に多い表現です。
【ここがポイント!】
この表現の核心的なコアイメージは、「会話の焦点(フォーカス)を、本来の場所から別の場所へ意図的にズラすこと」です。
例えば、仕事の単純なミスについて客観的な事実確認をしているだけなのに、相手が「私が嫌いだから責めているんでしょ」と泣き出してしまったとします。
これはまさに、業務上の課題を「個人的な感情の問題」にズラしてしまった状態です。
このような時に「Let’s not make it about feelings.(感情の問題にするのはやめよう)」と伝えることで、感情的になりかけた場を冷静な大人の対話へと引き戻すことができます。
ネイティブスピーカーの心理的な境界線や、論理的な対話を重んじる文化が色濃く反映された、とてもスマートな言い回しです。
実際に使ってみよう!
Why do you always make it about money?
(どうしていつもお金の話にするの?)
家族やパートナーとの口論でよく登場するフレーズです。純粋な将来の夢や旅行の計画を楽しく話しているのに、相手がすぐに「でも費用はどうするんだ」と現実的な話にすり替えてしまうことへの不満を表しています。
Please don’t make it about yourself. This is her special day.
(自分の話にするのはやめて。今日は彼女の特別な日なんだから。)
友人の結婚式や誕生日パーティーなどで、誰かが主役の座を奪って自分の苦労話や自慢話を始めようとした時に、ピシャリとたしなめる表現です。
I’m just giving you constructive feedback. Let’s not make it about your pride.
(建設的なフィードバックをしているだけだよ。プライドの問題にするのはやめよう。)
ビジネスシーンで部下や同僚を指導する際に役立つ表現です。相手が指摘を個人的な攻撃だと受け取ってムキになってしまった時に、冷静に論点を本来の業務へと戻すことができます。
BONES流・覚え方のコツ
診察台の上で怯えるブースと、彼の背中に腕を回して首の骨を鳴らそうと待ち構えるブレナンの姿を思い浮かべてみてください。
「痛いから嫌だ」というシンプルな恐怖を、「私のことが信用できないのね」という重いテーマにすり替えられてしまい、「いや、そういう話じゃないから!」と必死に抵抗するブースの困り果てた表情。
このコミカルな映像とセットにして、「make it about = 別の問題にすり替える」というイメージを記憶に定着させてくださいね。
似た表現・関連表現
make an issue of
(〜を問題にする、〜を争点にする)
make it aboutと非常に近い意味で使われます。「Don’t make an issue of it.(それを問題にしないで)」のように、本来は気にするほどでもない小さなことを、ことさら取り上げて大きな問題にしようとする相手に対して使われます。
take it personally
(個人的に受け取る、気にする)
相手の言葉や行動を、自分への個人的な攻撃や批判として受け止めてしまうことを指します。make it aboutと組み合わせて「Don’t take it personally. This isn’t about you.(気にしないで、あなたの問題じゃないから)」とフォローする際によく使われます。
play the victim
(被害者ぶる)
自分が悪い状況であっても、まるで自分が被害者であるかのように振る舞い、論点をすり替える行為を指します。他人のせいにして自分の責任を逃れようとする、少しネガティブなニュアンスの強い表現です。
深掘り知識:会話を支配する「Conversational Narcissism」への対処法
例文でも少し触れましたが、ネイティブスピーカーの日常会話で「make it about」が最も頻繁に登場するのは、実は「make it about oneself(自分の話にする)」という形です。
英語圏の心理学やコミュニケーションの分野では、他人が話しているトピックを巧みに奪い取り、最終的にすべて自分の話題にすり替えてしまう行動を「Conversational Narcissism(会話のナルシシズム)」と呼んでいます。
例えば、友人が「昨日、愛犬が病気になって本当に大変だったの」と悲しんでいる時に、「わかる!私の犬も先月病気になって、その時の病院代が本当に高くて…」と、いつの間にか自分のペットの苦労話にフォーカスを移してしまうような行動です。
日本語の会話では、相手への共感を示すためにあえて自分の似た経験を語ることが「思いやり」とされる場面もあります。
しかし、自己主張と対話のキャッチボールを明確に分ける英語圏の文化において、過度に「making it about me(私についての話にする)」ことは、相手のスポットライトを奪うマナー違反だと見なされることが多いのです。
もし、ネイティブの友人との会話で相手がこの傾向を見せた時は、「Anyway, back to your story…(とにかく、あなたの話に戻るけど…)」と優しく軌道修正をするのが大人の対応です。
言葉の表面的な意味だけでなく、こうした「会話におけるスポットライトの当て方」という文化的な違いを知っておくと、よりスムーズで対等なコミュニケーションが築けるようになります。
相手を主役にする姿勢も意識しながら、豊かな人間関係を広げていきたいですね。
まとめ|論点のすり替えに気づくための重要フレーズ
今回は「make it about」の意味と使い方を紹介しました。
相手と意見が衝突したときや、会話の方向性が感情的なものにズレてしまったときに、「Let’s not make it about…」と提案することで、冷静な大人の対話を取り戻すことができる非常に実用的な表現です。
日常会話からビジネスシーンまで幅広く使えるため、ぜひマスターしてご自身の英語の表現力をさらに一段階引き上げてみてくださいね。


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