海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
親しい人を突然亡くした知らせを聞いて、しばらく何も手につかないほど気持ちが沈んでしまった経験はありませんか。悲しみの重さに、なかなか立ち直れなかったという人も多いはずです。
そんな気持ちを表すtake it hardを、『BONES』シーズン12第8話の前半、事件の被害者サラの姉テスが、祖母を亡くした妹の当時の様子を捜査官に語る場面から、一緒に見ていきましょう。
「take it hard」の意味とニュアンス
take it hard
意味:つらく受け止める、こたえる、深く落ち込む
take(受け取る)、it(その出来事)、hard(きつく、厳しく)という3つの要素が組み合わさり、悲しい知らせや困難な出来事を精神的に重く受け止め、なかなか立ち直れない様子を表します。単に「悲しむ」と言うよりも、その影響の大きさや、気持ちに尾を引く感じが強調される表現です。
主語になるのは人だけでなく、チームや組織など集団になることもあります。身近な人を亡くしたとき、大切な関係が終わったと知らされたとき、仕事で大きな失敗や不採用の知らせを受けたときなど、深刻さの度合いはさまざまですが、共通しているのは「軽く受け流せなかった」という重さです。
進行形で taking it hard とすれば「今まさにつらい思いをしている」状態を表せ、相手を気づかう声かけにもよく使われます。
【ここがポイント!】
- 核はtake(受け止める)+ hard(重く、きつく)の組み合わせ
- 悲しみの深さや、立ち直りにくさが伝わる表現
- 声かけにも使える一言で、相手を気づかう場面で役立つ
『BONES』S12E08のシーンで見てみよう
take it hardの重さを押さえたところで、実際のドラマシーンを見ていきましょう。事件の被害者サラについて、その姉テスが捜査官の事情聴取を受ける場面です。幼い頃に両親を交通事故で亡くした姉妹が、その後どう育ったのかが語られる中で、この表現が登場します。
Booth: Your mom’s mom, right? Stella Louis. She passed away four months ago?
(お母さんのお母さん、つまりステラ・ルイスだね。4ヶ月前に亡くなったのか?)Tess: Yes, Sarah and Grandma Stella were super close. She took it hard.
(ええ。サラは祖母のステラととても仲が良くて。だいぶこたえていました。)Booth: It’s understandable.
(無理もないな。)Tess: She was sort of adrift. I thought traveling would help.
(なんだか心ここにあらずという感じで。旅行をすれば気が紛れるかと思ったんです。)BONES Season12 Episode8 (The Grief and the Girl)
シーン解説と心理考察
事情聴取という淡々とした場面の中に、家族の喪失という重みがそっと差し込まれています。祖母ステラを亡くしたサラの様子を、姉テスは「took it hard」の一言で説明していますが、そのあとに続く「なんだか心ここにあらずという感じで」という描写が、単なる悲しみ以上の状態を物語っています。
ブースの「It’s understandable(無理もないな)」という短い相槌には、事件捜査という職務の枠を超えた共感がにじみます。サラがなぜ祖母の故郷ニューファンドランドへ旅立ったのか、その動機がこのやり取りの中で少しずつ形になっていく様子も見どころです。身近な人を失った悲しみが、次の行動へとつながっていく心の動きが、短い会話の中に丁寧に描かれています。
『BONES』流・覚え方のコツ
平らな地面に、重い荷物がドスンと落ちてくる場面を思い浮かべてみましょう。hardが「硬く、重く」の感覚を担い、その重みをtake(受け止める)側がそのまま抱え込む様子です。ニュースや別れの知らせが「重い荷物」として降りかかり、それを支えきれずに膝が沈むようなイメージが、take it hardの「重く受け止める」感覚とぴったり重なります。
劇中では、身近な人を亡くした喪失感が、そのままテスの言葉として語られていました。この「重みをそのまま受け止める」感覚ごと覚えておくと、フレーズが記憶に定着しやすくなります。
例文で覚える「take it hard」
take it hardは日常のさまざまな場面で使える表現です。誰かを気づかうときにも、自分の状態を伝えるときにも役立つ、3つの使い方を見ていきましょう。
She took it hard when her best friend moved away.
(親友が引っ越してしまったとき、彼女はひどく落ち込みました。)
友人との別れを話題にする日常会話で使える一文です。過去の出来事として、当時の落ち込みぶりを振り返るときの定番の形です。
He took the layoff news pretty hard.
(彼はリストラの知らせをかなり深刻に受け止めました。)
職場での予期せぬ知らせについて話すビジネス寄りの場面です。pretty hardと組み合わせることで、落ち込みの程度をやわらかく強調できます。
A: I heard your team lost the final game.
B: Yeah, we took it really hard. It was such a close match.
(A:決勝で負けたって聞いたよ。)
(B:うん、本当にこたえたよ。あんな僅差の試合だったから。)
スポーツの結果を話す会話での往復形式です。人以外にもteamのような集団を主語にできる柔軟さが伝わります。
あわせて覚えたい関連表現
be devastated
(打ちのめされる、深く傷つく)
take it hardよりも衝撃の度合いが強く、なかなか立ち直れないほどの打撃を表します。take it hardはもう少し日常的な強さの落ち込みにも使える表現です。
have a hard time with ~
(〜に苦労する、〜がうまく受け入れられない)
take it hardが知らせを受け止めた瞬間の反応に焦点があるのに対し、こちらは受け止めたあとの継続的な苦労を表します。
get over it
(それを乗り越える)
take it hardが落ち込んだ状態そのものを指すのに対し、get over itはそこから回復していくプロセスを表す、いわば対になる表現です。
Note|「take it hard」と似た表現、つらさの強さで整理する
英語には「つらく受け止める」を表す言い回しがいくつも存在し、それぞれ落ち込みの深さや続く期間が微妙に異なります。take it hardはどのあたりの強さに位置する表現なのか、整理してみましょう。
まず、be devastatedは衝撃の度合いが最も強い部類に入り、言葉を失うほどの打撃や、立ち直りに長い時間がかかる状況で使われます。反対に、be down about ~ やfeel blue about ~ は、一時的な気分の落ち込みを軽く表す表現で、take it hardほどの深刻さは伴いません。この2つの間に位置するのがtake it hardで、「軽い気分の落ち込み」よりは重く、「言葉を失うほどの衝撃」よりは日常的に使える強さです。だからこそ、身近な人との死別や大切な関係の終わりといった、誰にでも起こりうる出来事に幅広く使われています。
劇中でテスが妹サラについて語った「took it hard」も、祖母を亡くしたことへの深い悲しみを表しつつ、なお日常会話として自然に成立する強さの表現でした。強すぎず弱すぎない、この中間の強さこそがtake it hardの使いやすさの理由です。
似た表現との強さの違いを意識しておくと、相手の状態に合わせて、より的確な一言を選べるようになります。
まとめ|テスの言葉から見えてくること
take it hardは、悲しい出来事を重く受け止め、なかなか立ち直れない様子を表す表現でした。be devastatedほど深刻ではなく、日常のちょっとした落ち込みよりは重い、ちょうど中間の強さを担っています。
誰かを気づかいたいとき、あるいは自分の状態を素直に伝えたいとき、この一言があれば気持ちの重さをきちんと言葉にできます。
身近な人の喪失を語る短いやり取りの中に、思いやりと共感がにじんでいた今回のシーンとあわせて、表現の引き出しに加えてみてください。


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