海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン1第8話には、モニカとレイチェルの部屋に仲間が次々とやって来て、みんなで出かける支度をする場面があります。遅れて着いたフィービーの一言に、レイチェルは音のよく似た別の語を挙げて聞き返します。
慣用句の意味と、相手の言葉を確かめる聞き返し、そして出かける直前の短い声かけ。ひとつの場面に詰まった日常の英語を、順に見ていきます。
「I couldn’t find my bearings」の意味と、言葉を確かめる聞き返し
部屋にはモニカとレイチェルがいて、先に来たロスに続いてフィービーが入ってきます。
Phoebe: Hi. I’m sorry I’m late. I couldn’t find my bearings.
(ハイ。遅れてごめんね。どっちに行けばいいか分からなくなっちゃって。)
Rachel: Heh. You mean your earrings?
(ふふ。イヤリングのこと?)
Phoebe: What did I say?
(私、何て言った?)
Friends Season1 Episode8(The One Where Nana Dies Twice)
bearing には「方位」「方角」という意味があり、find one’s bearings は、自分がどこにいてどちらへ進めばよいかをつかむことを表す言い方とされています。航海や地図の読み方に結びついた語で、そこから新しい職場や土地で「勝手がわかってくる」「状況をつかむ」という意味でも使われます。たとえば It took me a few weeks to find my bearings at the new job.(新しい仕事に慣れるまで数週間かかった)のように、時間をかけて慣れていく様子を言うこともできます。
フィービーの I couldn’t find my bearings は否定の形なので、字義どおりには「方向がつかめなかった」となり、遅れた理由を述べる一文として読めます。同じ意味で get one’s bearings という形もあり、反対に方向感覚を失うことは lose one’s bearings と言います。
一方、bearings と earrings は後半の音がよく似ています。レイチェルの You mean ~? は「〜のこと?」と相手の言葉を確かめる聞き返しで、言い間違いか聞き間違いかを決めつけずに確認できる点が便利です。You mean Tuesday?(火曜日のこと?)のように、日付や名前の確認にもそのまま使えます。
フィービーの What did I say? は「私、何て言った?」と、自分の発言を確かめ直す一言です。直前に just を入れた What did I just say? という形もあり、話している途中で自分の言葉に引っかかったときにも口にされます。冒頭の I’m sorry I’m late. は、遅れて着いたときのあいさつとして場面を選ばず口にできます。
「You guys ready?」と「We ready to go?」、出かける前の短い声かけ
フィービーより先に部屋へ入ってきたロスは、モニカとレイチェルにこう声をかけています。
Ross: How we doing? You guys ready?
(どうだい? 二人とも準備できた?)
Friends Season1 Episode8(The One Where Nana Dies Twice)
How we doing? は How are we doing? の are を落とした形です。we を使うことで、相手だけでなく自分も含めた「みんなの準備の具合」を尋ねる響きになります。You guys ready? も Are you guys ready? の Are を省いた形で、you guys は複数の相手に呼びかけるくだけた言い方です。
その少しあと、ジョーイがチャンドラーと一緒に入ってきます。
Joey: Morning. We ready to go?
(おはよう。出かける準備はできた?)
Chandler: Don’t we look nice all dressed up?
(みんなきちんとした格好だと、なかなか決まってるじゃないか。)
Friends Season1 Episode8(The One Where Nana Dies Twice)
Morning. は Good morning を短くしたあいさつで、We ready to go? は Are we ready to go? の Are を落とした形です。省略された形と元の形を並べると、次のようになります。
| 作中の形 | 省略しない形 |
|---|---|
| How we doing? | How are we doing? |
| You guys ready? | Are you guys ready? |
| Morning. | Good morning. |
| We ready to go? | Are we ready to go? |
いずれも友人や家族のあいだで交わされる口語の形で、改まった場では省略しない形のほうが無難です。be 動詞を落としても、語尾を上げて言えば質問として伝わります。さらに短く Ready? の一語で済ませることもでき、聞かれた側は Almost.(もうすぐ)や Just a sec.(ちょっと待って)のように短く返すと会話のテンポがそろいます。
チャンドラーの Don’t we look nice ~? は否定疑問の形で「〜じゃない?」と同意を誘う言い方です。all dressed up は「すっかり身なりを整えて」という意味で、普段よりきちんとした服装をしている様子を表します。もとになる dress up は「正装する」「着飾る」という動詞で、子どもの仮装を指して使われることもあります。否定疑問で同意を誘う形は、Isn’t this place great?(ここ、いいところじゃない?)のように、気に入ったものを相手と分かち合いたいときにも使えます。
まとめ|聞き返しと声かけで場面をつなぐ
find one’s bearings の意味、You mean ~? の聞き返し、be 動詞を落とした You guys ready? などの声かけを見てきました。短い一言にも、相手の言葉を確かめ、みんなの準備をそろえる働きがあります。
次回も『フレンズ』と一緒に、仲間どうしの何気ない英語を拾っていきましょう。
同じエピソードのほかのコラムやフレーズ記事では、皮肉の言い方や電話の英語も取り上げています。


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