海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン3第18話では、モニカが働く店の客ピートが、モニカをデートに誘います。断っていたモニカが、やがて「食事をするだけ」と言って出かけるまでのやりとりに、誘いの英語がいくつも出てきます。
同じ相手との約束でも、go out with と言うか have dinner with と言うかで、伝わる意味は変わります。二つの言い方の距離を、場面の順に見ていきます。
「go out with」はデートや交際の話
まず、モニカが働くダイナーの場面です。昼食中のレイチェルの近くで、モニカが客のピートに声をかけます。
Monica: Can I get you something else?
(ほかに何かお持ちしましょうか?)
Pete: Cheesecake and a date, if you’re giving them out.
(チーズケーキと、デートを一つ。配ってるならね。)
Monica: Heh. Haven’t we covered that topic?
(その話はもう済んだんじゃなかった?)
Friends Season3 Episode18(The One with the Hypnosis Tape)
ピートは、モニカの「ほかに何か」という問いに合わせて、チーズケーキと並べて a date を注文してみせます。if you’re giving them out は「配っているなら」で、デートを店の品物のように扱う冗談の形です。ここでの date は数えられる名詞で、「デートの約束」を指します。モニカの Haven’t we covered that topic? は「その話題はもう扱ったでしょう」という意味で、cover は「(話題を)取り上げる、話し終える」という意味の動詞です。
場面がモニカとレイチェルの部屋に移ると、レイチェルはピートと出かけるよう勧めますが、モニカは気乗りしないと答えます。その後、ピートが大金持ちだと分かると、レイチェルとモニカはこう言い合います。
Rachel: Oh, my God. Monica’s gonna go out with a millionaire.
(うそでしょ。モニカが大金持ちとデートするなんて。)
Monica: No, I’m not gonna go out with him.
(いいえ、彼とデートなんてしないわ。)
Friends Season3 Episode18(The One with the Hypnosis Tape)
go out with + 人 は、文脈によって「〜とデートする」「〜と付き合う」の意味になります。レイチェルもモニカも同じ go out with を使っていて、話題になっているのは食事の中身ではなく、ピートとデートをするかどうかという関係のほうです。gonna は going to のくだけた発音を表す書き方です。二人とも「これから〜する」という予定の形で話を進めます。
「One meal」と条件を小さくする誘い
場面が移り、モニカはピートの会社で小切手の件を問いただします。言い合いのあと、ピートが改めて誘い、モニカは迷います。
Monica: I don’t know.
(どうかな。)
Pete: Why not?
(どうして?)
Monica: I don’t wanna encourage this behavior.
(こういうことを助長したくないの。)
Pete: One meal. That’s all I’m asking for. Please?
(食事を1回だけ。お願いはそれだけだ。頼むよ。)
Pete: We go out, we eat. If you don’t have a good time, I’ll give you 10 grand, we’re even.
(出かけて、食べる。楽しくなかったら1万ドル払うよ、それで貸し借りなしだ。)
Friends Season3 Episode18(The One with the Hypnosis Tape)
モニカの encourage は「励ます」のほかに、「(行動を)助長する、あおる」の意味でも使われ、ここでは後者です。this behavior が指すのは、直前まで話していた高額のチップの件と読み取れます。誘いに応じれば、そうしたやり方を後押しすることになる、という理由の言い方です。ピートの Why not? は「どうしてだめなの?」と、断る理由を短く聞き返す一言です。
ピートの One meal. は「食事1回」とだけ言い切る形で、続く That’s all I’m asking for. で「頼んでいるのはそれだけ」と条件の小ささを強調しています。We go out, we eat. の go out は with が付かず「出かける、外出する」の意味で、デートという語を使わずに、出かけて食べるという行動だけを並べた文です。grand は1,000ドルを表すくだけた語で、we’re even は「これで貸し借りなし」という意味です。
「I’m just gonna have dinner with him」と言い直す
モニカがデートの支度をしている部屋には、仲間の姿もあります。迎えのブザーが鳴ってレイチェルが声を上げると、モニカはこう言います。
Monica: Guys, please. I’m just gonna have dinner with him.
(みんな、お願い。彼と夕食を食べるだけよ。)
Chandler: Okay, just because he buys you dinner does not mean you owe him anything.
(いいか、夕食をおごってもらったからって、あいつに何か借りができるわけじゃないからな。)
Monica: I know.
(分かってる。)
Chandler: Okay, then get the lobster.
(よし、じゃあロブスターを頼め。)
Friends Season3 Episode18(The One with the Hypnosis Tape)
have dinner with + 人 は「〜と夕食をとる」で、それ自体には交際の意味は含まれません。モニカは just を加えて「食べるだけ」と範囲を絞り、go out with と言わずに約束の中身を食事に言い直しています。チャンドラーの Just because A does not mean B は「AだからといってBということにはならない」という形で、owe ~ anything は「〜に何か借りがある」です。最後の lobster の一言は、忠告の形を取ったあとの冗談のオチです。
ピートが誘った店は、ローマのピザの店でした。会計の場面のやりとりです。
Pete: You’re not paying for the pizza.
(ピザ代は君に払わせないよ。)
Monica: Come on, it’s only fair. You paid for the flight.
(いいじゃない、これで公平よ。飛行機代はあなたが払ったんだから。)
Friends Season3 Episode18(The One with the Hypnosis Tape)
it’s only fair は「それが公平というもの」と、支払いを分け合う理由を示す一言で、only が「当然」に近い強めの意味を足します。続く You paid for the flight. の pay for ~ は「〜の代金を払う」です。ピートの You’re not paying for the pizza. も同じ pay for を進行形で使い、「君には払わせない」と相手の行動を止める言い方です。「食事だけ」のはずの約束が飛行機代にまで広がっていたことが、このやりとりから分かります。
まとめ|「デート」と「ただの食事」の言い分け
go out with はデートや交際、have dinner with は食事そのもの、という違いを、One meal や I’m just gonna have dinner with him の流れとあわせて見てきました。just ひとつで約束の範囲が変わることも分かります。
誘う側と誘われる側の言葉選びを追いながら観ると、二人の距離感がよりはっきり見えてきます。
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