海外ドラマを使って英語表現を学ぶ『ドラマdeエイゴ』へようこそ。
『フレンズ』シーズン2第18話には、kind of と a little が何度も登場します。どちらも「ちょっと」と訳せますが、作中の使われ方を並べると、やわらげ方に違いがあります。
人のことを評する、質問に半分だけ認める、自分の用意したものを控えめに言う。日本語なら「なんか」「まあ」「ちょっとした」で済ませる場面を、二つの言葉がどう分け合っているのかを見ていきます。
「He’s kind of intense, huh?」と人物評をやわらげる
チャンドラーの部屋に、ルームメイトのエディの元恋人ティリーが、エディの水槽を持って訪れます。エディの話題になると、二人はこう言葉を交わします。
Tilly: He’s kind of intense, huh?
(彼って、なんか強烈よね?)
Chandler: Yes! Hey, can I ask you, is Eddie a little..?
(そう! ねえ、聞いてもいいかな、エディってちょっと……?)
Eddie: A little what?
(ちょっと、何だ?)
Friends Season2 Episode18(The One Where Dr. Ramoray Dies)
intense は「(性格や態度が)強烈な、熱量が高すぎる」という意味の形容詞です。ティリーはそこに kind of を付けて「なんか」「ちょっと」とぼかし、文末の huh? で相手の同意を求めています。人の性格を評するとき、kind of を挟むと言い切りの強さが和らぎます。くだけた会話では kinda と縮めて発音・表記されることも多い言葉です。
チャンドラーの a little..? は、形容詞を言う前に止めた形です。a little + 形容詞 は「少し〜」という程度の表現ですが、ここでは後ろの言葉を言わずに濁したまま問いかけます。そこへ当のエディが現れ、A little what?(ちょっと、何?)と続きを問われてしまいます。a little のあとを飲み込むと、聞き手には「何か言いにくいことを言おうとしている」と伝わる、という点がよく分かるやりとりです。
kind of も a little も形容詞の前に置けますが、kind of は「そういう感じ」とぼかし、a little は「少し」と量を小さく見せる、という違いがあります。たとえば He’s kind of shy. は「なんか人見知りっぽい」と印象をぼかす言い方で、He’s a little shy. は「少し人見知り」と程度を控えめに伝えます。
「Well, kind of, yeah.」と半分だけ認め、kind of で動きをぼかす
カフェのセントラルパークに、ジョーイが自分の載った雑誌を持ってきてフィービーに見せます。記事を読んだフィービーが尋ねます。
Phoebe: Hey, is this true? That you write a lot of your own lines?
(ねえ、これ本当? 自分の台詞をたくさん書いてるって。)
Joey: Well, kind of, yeah.
(まあ、そんな感じかな。)
Friends Season2 Episode18(The One Where Dr. Ramoray Dies)
kind of は、このように単独でも返事になります。Well, kind of, yeah. は「まあ、そんなところ」と、全面的には認めずに半分だけ認める答え方です。a little を単独で返事に使うこともありますが、その場合は「少しだけ」と量の話になり、kind of のように「おおむね当たっている」という含みは出にくいとされます。
ジョーイは、渡された脚本の台詞の言い回しを自分で変えた例を挙げます。それを聞いたフィービーと、ジョーイの答えが続きます。
Phoebe: Oh, okay, I see what you did there.
(ああ、なるほど、そういうことね。)
Phoebe: Aren’t you afraid though that the writers are going to be kind of mad when they read this?
(でも、脚本家の人たちがこれを読んだら、ちょっと怒るんじゃないかって心配じゃないの?)
Joey: Huh. I never really thought about the writers. The scripts just kind of come to my house.
(へえ。脚本家のことなんて、あんまり考えたことなかったな。台本はなんとなく家に届くんだよ。)
Joey: But you know what? This makes me look good, which makes the show look good
(でもさ、これで俺がよく見えるだろ、そうすると番組もよく見える)
Joey: which makes the writers look good.
(で、脚本家もよく見える。)
Joey: So how could they be mad about that?
(だったら、怒るわけないだろ?)
Friends Season2 Episode18(The One Where Dr. Ramoray Dies)
フィービーの I see what you did there. は「なるほど、そう来たか」と、相手の工夫に気づいたことを伝える一言です。
続く kind of mad は、「怒る」と言い切らずに「ちょっと怒る」と心配を控えめに口にする形です。ジョーイの kind of come は、動詞の前に kind of を置いた例です。脚本がどういう仕組みで届くのかを本人もよく分かっておらず、「なんとなく届く」とぼかしているわけです。a little は動詞の前に置く形ではあまり見かけないとされ、こうした「過程をぼかす」使い方は kind of に多い形です。
「I got a little surprise」と控えめに差し出す
後の場面で、チャンドラーはエディに同居のことを切り出そうとして、エディになぜ笑っているのかと尋ねます。エディはこう答えます。
Eddie: I got a little surprise. Look, I got us a new fishie.
(ちょっとしたサプライズがあるんだ。ほら、俺たちに新しい魚ちゃんを買ってきた。)
Eddie: I named him, uh… “Chandler,” you know, after… after you.
(名前は、えっと……「チャンドラー」にした。ほら、お前にちなんでさ。)
Friends Season2 Episode18(The One Where Dr. Ramoray Dies)
a little + 名詞 は「ちょっとした〜」と、相手に差し出すものを控えめに言う形です。a little gift(ちょっとした贈り物)と同じ型で、kind of a surprise と言うと「サプライズみたいなもの」と、それがサプライズと言えるかどうかをぼかす響きに変わります。自分から何かを渡すときに I have a little something for you.(ちょっとしたものがあるんだ)と言うのも、同じ型です。なお、エディが見せた「魚」は、チャンドラーに言わせると本物の魚ではありませんでした。
ここまでの使い分けを整理すると、次のようになります。
| 形 | 作中の例 | 働き |
|---|---|---|
| kind of + 形容詞 | kind of intense / kind of mad | 評価や心配を「なんか」とぼかす |
| kind of(単独) | Well, kind of, yeah. | 「まあ、そんなところ」と半分認める |
| kind of + 動詞 | kind of come | 過程や様子を「なんとなく」とぼかす |
| a little + 形容詞 | a little..? | 程度を「少し」と小さく見せる |
| a little + 名詞 | a little surprise | 「ちょっとした」と控えめに差し出す |
まとめ|「ぼかす」kind of と「小さく見せる」a little
kind of は形容詞・動詞の前や単独の返事で「そういう感じ」とぼかし、a little は形容詞や名詞の前で量や程度を小さく見せる言葉でした。同じ「ちょっと」でも、やわらげ方の方向が違うことが見えてきます。
ティリーやジョーイの言い回しを思い出しながら、次回も『フレンズ』と一緒に英語を学んでいきましょう。
同じエピソードのフレーズ記事やほかのコラムも、この回の英語を別の角度から取り上げます。


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